目次
■タイトル写真:クランクケースとシリンダーの黒が蘇ると、エンジンがグッと引き締まってきました。
まずはドデカいバッテリーケース、次にアンダーカバーの研磨&錆封じ
前号では、親愛なる前オーナー三平氏が数々のハーレーショベル用の予備部品を供出してくれたお陰で、心理的に余裕が出来ました。
リヤブレーキのバナナキャリパーの改造と中身の修理を終えて、本来ならブレーキのマスターシリンダーも処置したいところですが、補修用のインナーキット代を捻出するには懐が少々サブい状況でした。そんなこともあり、基礎となるフレームの下側や右側面で目立つ部品の一つ=バッテリーケースの錆具合を確認してみて、自家研磨&塗装を施してみようかと考えました。

元々載っていたバッテリーは腐食でダメだろうなーと思っていましたが、案の定で、外すにも端子が車体の内側を向いていて整備性はあまり良くないし、苦労して外しても、充電器で充電しても、電解液を追加してもダメ。後々同等のMFバッテリーに換装する方向で考えることにします。

またフレームから補機類と共に外したバッテリーケースは、電解液の液漏れがあったためでしょうが、随所に傷みが見受けられました。しかしサイズがデカい! 過去に自分が所有した車両の中ではトップクラスの大きさで、匹敵しそうなものはモトグッチ・ルマン用だけかも。
大きくて重いバッテリーに耐えうるような鉄板で出来ているので、随所に錆が浮き侵食も多いものの厚みはありました。そこで、高原の空にまたたくあまたの星のごとく点在する錆のアバタをつぶすべく必死にポリッシャーで削ってみましたが、板厚をペラペラにするわけにはいきません。
程々に削ったところで、窪んだ部分の深い赤錆は黒錆に変換。さらに、侵食を止めるべくサビキラーを投入して、封じ込める手法を取ってみました。ハケ塗りしてみると、サビキラーは粘性があるのでムラになりやすいのはまあ良いとして、表面に飛び出た部分は後日再びサンディングして平滑化し、また塗布。それを繰り返しては、鉄板用の普通の黒塗料を重ね塗りをしていくと、徐々にたくさんあった錆の窪みが目立たなくなってきました(長期戦だった!)。















これと同様の措置を講じたのが、エンジン下でフレームに取り付けられているアンダーカバーです。油汚れと土埃、その他の化合物が長い間に堆積しており、外した当初はその汚物の除去は、スクレーパーを使って削ぎ落とし→556で油分を軟化させて拭き取り→パーツクリーナーで拭き取りの後、中性洗剤でまる洗いしてアセトンで脱脂……という手順で、長年染み込んだ油分との根比べでした。
ここも表側は錆で傷んでおり、脱脂後に錆落としをしてから、サフの重ね塗りや黒の重ね塗りをしてはサンディング。窪みと面の段差を減らすべく奮闘。「なんでパテを使わなかったんだ?」と後になって思ったのですが、缶入りポリパテも価格が上がってきて、その時期はなかなか手が出せませんでした。それと、この部材は後からでも外しやすいので、比較的気楽に考えていたかもしれません。






バッテリーケースはテカリを抑えた塗装とし、クランクケースの塗装ハゲに対処
かくして、バッテリーケースの受け部分はかなり光沢を取り戻したので、後は上側と目立つ側面の対処です。上側は純正品を参照しつつシルバー基調の手持ち塗料を見てみたら、モデルガン用(?)のステンレス調シルバーがあったので「これで行こう♪」と、上側を塗装。


次に取り掛かったのは、外側からよく見えて目立つ、元はクロームめっきだった側面カバーです。エンジンと並んで目立つこの部分ですが、「ショベルのVツインより目立って欲しくないなぁ」と一考。金属感を残しつつ光沢を抑える方法として、ヘアライン調にサンディングの目を入れつつギラギラ感を抑えた上で、ラジコンカーの窓ガラスによく使われる塗料=スモークグレーの重ね塗りで濃度調整をしてみようと思い付いたわけです。
ただ、この手の塗料は丈夫ではないので、上塗りにデイトナ製の耐ガソリンペイント“クリヤー”を使用して、その威力に期待。ただ、上塗りのクリヤーを吹くには、ある程度まとまった部品を一気に塗らないと、2液性ウレタンなので日が経つと硬化して無駄になってしまいます。なので、時期の調整が必要です。
アンダーガード的なカバーを外した事だし、車体下を這いまわってエンジンやミッション下の油汚れを執念深く掃除して脱脂作業をしました。古いバイクであっても油汚れは嬉しくないですからね。見回してみると、フレームの黒、クランクケース側面の黒の剥がれ落ちた部分がアルミの地肌になっています。
折良くバッテリーケースやアンダーカバーの「塗ってはペーパーがけ」を繰り返していた時期なので、この機に乗じてとばかりにクランクケースの耐熱塗装に踏み切りました。一方、エキパイには艶消しのチタンカラーを選択して、フラットな反射を楽しむ魂胆です。
ケースの方は半つやブラックという名の耐熱塗料がデイトナから発売されており、これを使用。クランクケースがツヤツヤの黒だと、この車には少し合わないと考え、半つや耐熱ブラックが良いだろうと判断した次第です。そしてこの半つや耐熱ブラック、塗った直後は艶々していますが、乾燥させていくと徐々にしっとりした黒になりました。これは良い!
作業工程の記述をまるで省いていましたが、プッシュロッドのカバーやらあっちもこっちもマスキングしてなかなかな大作業になったんですよ。塗りにくい部分は先に筆で軽く塗っておき、後でスプレーの噴射で境目の帳尻を合わせましたし、またバーナーで軽く炙ったりと色んな手法を駆使しました。



なお、それらがある程度進んだ頃に、タンク上のカバー(以前オレンジに塗ってみた部品)やS&Sのエアクリーナーカバー、ブラックに塗り直したメーター台座等をまとめて、耐ガソリンクリヤー”噴射大会”を実行。これが乾燥するとたいそう丈夫になってくれました。
実は、クロームの部品群も敢えて磨き込んでからこのクリヤーで仕上げ、硬化(養生)時間をじっくりかけたら、耐久性が非常に高そうと確信した事例があったのです。タンクにテスト的に1層塗っておいたら、非常に丈夫な塗膜が形成出来たのです! 根気と放置で、塗膜強度のデータが取れたように思います。






作業箇所を変えると、フレーム部も補修の必要そうな部分があったりで、今回は本当に気が遠くなりかける作業となりました。 (つづく)
【取材協力】
株式会社デイトナ(耐ガソリンペイント・クリヤー(透明)商品番号:72709
https://www.daytona.co.jp/
文と写真●小見哲彦
小見哲彦(こみ・てつひこ)
無類のバイク好きカメラマン。
大手通信社や新聞社の報道ライダーを経験してバイク漬けになった後、写真総合会社にて修行、一流ファッションカメラマン、商品撮影エキスパートのアシスタントを経て独立。神奈川二科展、コダック・スタジオフォトコンテスト等に入選。大手企業の商品広告撮影をしつつも、国内/国外問わず大好きなバイクを撮るように。『モーターサイクリスト』誌ほか多数のバイク雑誌にて撮影。2021年からは、防衛関係の公的機関から、年間写真コンテストの審査員と広報担当人員への写真教育指導を依頼されている。





































