ヒストリー

流転の車名ホンダ「インテグラ」ヒストリー 二輪→四輪→二輪→四輪で2022年に三度目の復活!

アメリカで復活するアキュラ・インテグラ

ホンダがアメリカで「インテグラ」の復活を発表したことが四輪ファンの間で話題となっている。
「インテグラ」=「タイプR」を連想する走り好きな四輪ファンにとっては、スポーツカー復活というムードで捉えられているようだ。

もっとも、アメリカで発表された「インテグラ」は、ホンダではなくプレミアムブランド「アキュラ」のニューモデルとして用意されることになっている。
現時点ではイメージイラストのみ公表されているが、そこから想像するに5ドアハッチバッククーペとでも言うべきスタイリッシュなモデルとなる模様だ。

パワートレインについては未公表で、タイプRのような刺激的なエンジンを積むとは限らないが、アキュラの発表によれば「プレミアムスポーツコンパクト」という立ち位置で、6速MT搭載モデルが用意されることも明かされている。

2022年にアメリカで登場する予定のアキュラ・インテグラ。鋭いLEDヘッドライトの下には「INTEGRA」のロゴが。
2022年登場予定のアキュラ・インテグラは「5ドアのプレミアムスポーツコンパクト」であるという情報とデザインの一部だけが明かされている。
アキュラ・インテグラに搭載される6速MTとして公開された写真。

「インテグラ」を名乗る二輪・四輪の歴史

ところで「インテグラ」というのは、二輪と四輪の両方で使われたことのある珍しい例として挙げられることが多い。以下、その歴史を整理してみよう。

  • 1982年6月29日 初めて車名にインテグラが用いられた「CBX400Fインテグラ」登場(二輪のサブネームとしての使用)
  • 1982年8月20日 「CB750Fインテグラ」が登場
  • 1982年9月28日 「CBX550Fインテグラ」が登場
  • 1983年6月14日 「VT250Fインテグラ」発表
  • 1983年6月21日 「MBX80インテグラ」発表
  • 1984年1月12日 「VF400Fインテグラ」発表
  • 1985年2月19日 四輪で初めてインテグラの名が用いられたニューモデル「クイント・インテグラ」誕生
  • 1989年4月19日 四輪が「インテグラ」の単独名称に変更。VTECエンジン搭載
  • 1993年5月20日 四輪の「インテグラ」がフルモデルチェンジ。1.8L化
  • 1995年8月24日 インテグラに初めて「タイプR」が登場
  • 2001年7月2日 インテグラ、インテグラ・タイプRがフルモデルチェンジ。2L化
  • 2006年 インテグラ生産終了
  • 2012年4月17日 二輪のニューモデル「インテグラ」として名称が復活
  • 2014年1月14日 二輪「インテグラ」が700cc→750ccへと排気量アップ
  • 2016年 二輪「インテグラ」生産終了(販売は2017年まで続けられた)。海外向けのみ残るが、その後、生産終了。X-ADVやフォルツァ750(海外向けモデル)が後継を担う。
  • 2021年8月13日 アメリカで「アキュラ・インテグラ」の復活を発表

*日付は「メーカー発表日」を基準

1980年代、二輪のサブネームとして使われ始めた「インテグラ」は、フェアリング(カウル)装着モデルのサブネームという意味合いがあった。そのため、CBやVT、VFなど車種をまたいで使われたのだ。
その由来が、統合するという意味の英語「インテグレート」にあることを考えると、フェアリングをつけた状態を「インテグラ」と表現したのは腑に落ちる話だ。

カウル装備モデルのサブネームとして使われ始めた「インテグラ」

ホンダで初めて「インテグラ」を車名に使用した、1982年登場のCBX400Fインテグラ。399ccのDOHC4バルブ空冷並列4気筒エンジンを搭載するCBX400Fにカウルを装備したモデル。
1982年に登場したCB750Fインテグラ。750ccのDOHC4バルブ空冷並列4気筒エンジンを搭載するCB750Fにカウルを装備したモデル。
1982年に登場したCBX550F。海外向けとして用意されたCBX400Fの排気量拡大版CBX550Fをベースにカウルを装着したモデル(CBX550F自体の国内正規販売は無かった)。
1983年に登場したVT250Fインテグラ。パワフルなDOHC4バルブの水冷V型2気筒を搭載し、大ヒットモデルとなった250ccスポーツモデル・VT250Fをフルカウルとしたモデル。
1983年に登場した水冷2サイクル80cc単気筒エンジンを搭載するスポーツモデルで、80ccクラスとしては初のフルカウルモデルとなった。
1984年に登場したVF400Fインテグラ。DOHC4バルブの400cc水冷V型4気筒を搭載したVF400Fをベースにカウルを装着したモデル。

そのまま二輪で使われるのかと思いきや、その直後に四輪にトレードされる。

そもそもは「クイント」という5ドアハッチバック車があった。
クイントはラテン語で5番という意味だから5ドア車の名前としては、まさに名は体を表すものだったが、フルモデルチェンジにおいて3ドアハッチバックなどバリエーションを増やすようになると都合が悪い……。

そこで最初は「クイント・インテグラ」として使われ、その次のモデルチェンジにて「インテグラ」という単独名称になっている。

このリトラクタブルヘッドライトのスタイリッシュなモデルは、アメリカでスタートしたアキュラ・ブランドの最初のモデルとして「アキュラ・インテグラ」として発売された。
北米ではアキュラのルーツという歴史的なモデルでもあったのだ。

クイントからクイント・インテグラへ

1980年にスポーティな性能を備えた5ドアハッチバックモデルとして登場したクイント。エンジンはCVCCの1600ccOHC4気筒。
1985年2月、まずは3ドアハッチバックから登場したクイント・インテグラ。この時点から「クイント」=「5の意」に無理が出てきた……。エンジンは1600ccのDOHC4バルブ4気筒。
1985年10月、クイント・インテグラに5ドアハッチバックが追加される。
1986年10月にはクイント・インテグラに4ドアセダンがさらに追加される。
1986年、ホンダがアメリカで高級ブランドとして展開した「アキュラ」の最初のモデルとして発売したアキュラ・インテグラ。

日本ではインテグラ=タイプRのイメージが強い

一方、日本では「インテグラ」といえばタイプRというイメージが強い。

1989年デビューの「インテグラ」単独名称となったモデルは、はじめてカムをロー/ハイと切り替える機構を持ったVTECエンジンを搭載した。
それによって一気にスポーツモデルとしての認知度が高まった。

1989年、フルモデルチェンジと同時に車名も「インテグラ」のみとなり、3ドアクーペと4ドアハードトップのラインアップに。写真は3ドアクーペ。
1989年登場のインテグラ・4ドアハードトップ。インテグラシリーズには自然吸気で世界初「リッター100馬力」を実現した新開発のVTEC採用1600ccDOHC4バルブ4気筒エンジンが与えられた。

さらに1993年にフルモデルチェンジした際に、VTECエンジンを1.6Lから1.8Lへとスープアップ。

1995年には、そのエンジンをファインチューンしたうえに、ボディ補強や大型リヤウイングなどを与えたタイプRを登場させた。
タイプRとしてはNSXに次ぐものだが、多くの人にとって「手が届く最初のタイプR」となりファンが飛びついたのだ。

2001年には2.0LのVTECエンジンを積んだインテグラへとフルモデルチェンジを果たす。
3ドアハッチバックのスポーティなスタイルは完全に走りメインのモデルとなった。エンジンの最高出力は220馬力、もはやコンパクトクラスではなく、立派なスポーツカーへと成長していた。

とはいえ、ハイブリッドが主役となりつつあった21世紀初頭、スポーツカー冬の時代にインテグラは生き残ることはできず、2006年に生産終了してしまう。

2代目インテグラからタイプR登場!

フルモデルチェンジを経て、1993年5月に登場したインテグラ・3ドアクーペ。エンジンは新開発のVTEC採用1800ccDOHC4バルブ4気筒エンジンを搭載。
1993年7月、4ドアハードトップも追加されたインテグラ。
1995年、マイナーチェンジと同時にインテグラにタイプRが初登場。専用チューンが施された4気筒エンジンは1800ccで200馬力の性能(リッター当たり111馬力に!)
1995年に登場したインテグラ・タイプRの4ドアハードトップ。
2001年、フルモデルチェンジが行われたインテグラ。クーペのみのラインアップとなり、エンジンはVTEC採用2000cc4気筒に。写真のタイプRは最高出力220馬力を発揮。

そんな「インテグラ」の名が、突如復活したのは2012年。

実用的な大型二輪というコンセプトで生まれた700cc並列2気筒エンジンを搭載する「NCシリーズ」のバリエーションモデル(DCT専用のスクータータイプ)として登場したのだ。
フルカウルという点では1980年代前半のインテグラに通じるものもあったが、いわゆるタイプR的な世界観とはまったく異なる都会的でスマートなモデルだった。

2012年に二輪で復活した「インテグラ」

2012年に登場したインテグラ。OHC4バルブの700cc並列2気筒エンジンを搭載する「NCシリーズ」のバリエーションモデルで、スクーター風の外観だがトランスミッションはDCT、駆動はチェーンというモーターサイクル的な乗り物。
NC700シリーズがNC750シリーズになるとともに、2014年に排気量を750ccへと拡大したインテグラ。スイングアームがアルミ製となったほか、DCTのシフトプログラム、カウルやシート形状の改良も行われた。
ビートにトゥデイ……ホンダの二輪・四輪共用ネーミングはまだある!

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