’69年から販売が始まったCB750フォアは、今年で販売50周年を迎える。
今なお高い人気を誇るCB750フォアの魅力とはいったい何なのかに迫ってみよう。
文/中村友彦 写真/岡 拓、山内潤也、編集部
取材協力:ガレージクライム TEL:045-534-0750 http://garageclimb.blog.fc2.com/オーナー●飯田 正
CB750フォアの魅力と言ったら、多くのユーザーが筆頭に挙げるのは音である。
この件に関しては、騒音規制を受けた後継車と比較するのは酷な話だけれど、’60年代の世界GPを戦ったRCレーサーを思わせる、ズヴァッ!! という重厚かつ豪快な排気音は、初代ならではの特権だ。
もっともこの排気音も、仕様変更を重ねるごとに小さくなったのだが、最終型のK7にしても、4本マフラーらしい排気音の本質は不変だった。
それに加えて、ロングストロークエンジンならではの充実した低中速トルク、ピストンバルブ式キャブレター特有のダイレクト感、半世紀以上前の設計とは思えないほどの扱いやすさ(いい意味で、すでにホンダらしさが確立されている)、乗ると意外にコンパクトな車格など、CB750フォアにはさまざまな魅力が備わっているのだけれど、現代の視点で見て最も重要な要素は、常用域で感じる〝操る楽しさ〟ではないか。
もちろん、そういった感触はほかのバイクでも得られることがある。
でも大前提として、シャシーが必要にして十分な安定性を備えつつ(ただし速度レンジが上がると、多少の不安は感じる)、乗り手の操作に対する反応が実直で、ひとたびアクセルを開ければどんな場面でも、豪快かつ重厚な排気音が堪能できるCB750フォアは、やっぱり他機種では味わえない、唯一無二の資質を備えていたのである。
と言うより、一般的な量産車では世界初の並列4気筒車だったにもかかわらず、同車は生まれながらにして、ひとつの完成形に達していたのだ。
まあでも、何を持って完成形と考えるかは人それぞれだし、そもそも完成形=絶対的な正解ではないだろう。
とはいえ、スペックが重視されなくなった今の時代に、旧車好きに限らず、不特定多数のライダーを集めて、歴代並列4気筒CBの試乗会を行ったとしたら、CB750フォアが一番人気となる確率は、かなり高いのではないかと思うのである。
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