ヤマハ発動機から、125ccスクーターの代名詞とも言える「CYGNUS X(シグナス エックス)」の新型モデルが発表。今春の国内のモーターサイクルショーで参考出品されて話題を集めたが、今回の刷新では、歴代モデルが築いてきたスポーティなDNAを継承しつつ、トラクションコントロールシステムの採用やフレームの刷新など、走行性能と実用性を高次元で融合させているのが特徴。
伝統と革新が融合する「シグナス」をコンパクト&スポーティに刷新
「シグナス」シリーズの歴史は長く、その原点は1982年12月に発売された「XC180 シグナス」にまで遡る。125ccクラスとしては1984年の「シグナス 125」が初代となり、以来40年以上にわたり、都市部での通勤からスポーツ走行までをカバーするモデルとして進化を続けてきた。
そして新型「シグナスX」が目指したのは、「思いのままに操れる、洗練されたスポーティモデル」の実現。単なる移動手段としてのスクーターではなく、走る楽しさと高い環境性能を両立させた、現代のシティコミューターというのが開発のねらいと言えるだろう。



デザイン面では、スリムなボディラインにレーシングマシンのウイングを彷彿とさせるフロントサイドのモチーフを採用し、一目でスポーティさを感じさせる造形となった。サイドカバーモールからグラブバーへとつながる一体感のあるデザインは、停車時であっても疾走感を演出。そして細部の作り込みも妥協がない。フロントのアンダーサイドカバーやマフラープロテクターには、質感の高い鍛造カーボン調のシボがあしらわれ、軽快な印象を強めている。
また、灯火類は全面的にLED化。新開発の小型プロジェクター式ヘッドランプは、優れた夜間視認性を確保するだけでなく、縦配置のポジションランプやフラッシャーと組み合わせることで、ダイナミックな表情を演出。テールランプにも縦のラインを採用し、車体全体でのデザインの統一感が図られた。

カラーバリエーションは、スポーツイメージを強調する「ブルー」、精悍なコントラストの「ホワイト」、そして力強さを表現する「マットダークグレー」の3色が用意される。









熟成の水冷単気筒124ccのパワーユニットに、初のTCS採用
エンジンには、水冷単気筒124ccの「BLUE CORE」エンジンを搭載。これは現行の「CYGNUS GRYPHUS(シグナス・グリファス)」のユニットをベースに、さらなる熟成を加えたものだ。

最大の注目点は、滑りやすい路面での走行をサポートするトラクションコントロールシステム(TCS)の採用。濡れた路面や砂利道など、都市部で遭遇しがちな不安定な状況下での安心感を向上させている。
また、CVT(無段変速機)の最適化も行われた。ウェイトの軽量化やスプリング荷重の調整により、より鋭く、優れた加速感を実現している。そして排気系では、マフラーのテールパイプ径を拡大。低速域では重厚、高速域では厚みのある低周波を響かせる、心地よいサウンドを全域で演出している。

剛性バランスを最適化した新開発フレームと性能を高めた足周り
走行性能の根幹を支えるフレームも一新された。新型フレームは「シグナス・グリファス」と比較して縦剛性を約19%向上させている。さらに、右側パイプの厚みを2.0mmから2.3mmへと拡大し、全体の剛性バランスを最適化することで、走行中の穏やかで安定した挙動を実現した。

ライディングポジションについても、自由度を高める工夫が施されている。フートスペース(足元)や膝まわりに余裕をもたせると同時に、シート先端の形状を最適化することで、自然な着座姿勢と優れた足着き性を両立させた。シート底部やクッション材も見直されており、長時間の走行でも疲れにくい上質な乗り心地を提供している。
制動性能でも、進化を遂げている。フロントディスクブレーキは従来の245mmから267mm径へと大径化され、キャリパーのピストン径も25.4mmから27mmへ拡大。リヤにも230mmの大径ディスクを採用している。これにレバー比を最適化したブレーキレバーが組み合わさることで、繊細かつ強力なコントロールが可能となった。

タイヤとサスペンションの設定も見直された。フロントタイヤは、従来の120サイズから110/70-12へと変更され、リム幅もスリム化されている。これに合わせ、フロントサスペンションはインナーチューブ長を5mm伸長し、路面追従性を高めている。一方、リヤサスペンションは、新フレームに合わせてバネレートを約12%ソフト化。しなやかな乗り心地と良好なクッション性を実現しつつ、4段階のプリロード調整機能を備えているため、タンデム走行や好みに合わせたセッティングが可能となっている。
コミューターとしての機動力を支える充実の利便性
実用面においても、最新のシティコミューターにふさわしい装備が揃っている。
●LCDカラーメーター:自動調光機能を備えた4.6インチの高コントラスト液晶を採用。推定航続可能距離の表示機能も備える。
●シート下収納:約28Lの容量を確保し、フルフェイスヘルメットの収納が可能(形状による)。
●フロント小物入れ:700mlのドリンクボトルを収納できるスペースを確保。
●USB端子:フロント収納部には、QC3.0急速充電に対応したUSB Type-Cソケット(5V/3A)を装備し、スマートフォンの充電などに活用できる。


新型「CYGNUS X」は、単なるスペックアップに留まらず、ライダーの使い勝手と走りの質の双方を高い次元で引き上げ、伝統ある「シグナス」ブランドの新たなスタンダードとして復活した。価格は38万9400円で、5月22日(金)発売。

シグナスX 主要諸元
■エンジン 水冷4ストローク単気筒OHC4バルブ ボア・ストローク52×58.7mm 排気量124cc 圧縮比11.2 燃料供給装置:フューエルインジェクション 点火方式フルトランジスタ 始動方式セル
■性能 最高出力9kW(12ps)/8000rpm 最大トルク11Nm(1.1kgm)/6000rpm 燃費41.9km/L(WMTCモード値)
■変速機 Vベルト無断変速 変速比2.384~0.749 一次減速比1.000 二次減速比10.208(56/16✕35/12)
■寸法・重量 全長1865 全幅715 全高1125 軸距1340 シート高785(各mm) キャスター26°30′ トレール90mm タイヤF110/70-12 47L R130/70-12 56L 車両重量126kg
■容量 燃料タンク6.1L エンジンオイル1.0L
■車体色 ディープパープリッシュブルーメタリック C、ブルーイッシュホワイトパール 1、マットダークグレーメタリック 8
■価格 38万9400円
■発売日 2026年5月22日(金)

まとめ●モーサイ編集部 写真●ヤマハ発動機
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