Vストローム1050は上級仕様XTとスタンダードの2グレード展開
4月24日に発売となるスズキのVストローム1050は、外観からもイメージできるように、これまでのVストローム1000からの進化熟成モデルだ。
スズキアドベンチャーモデルの原点・DR-BIG(DR750S=パリ・ダカマシンDR-Zのベース)を思わせるフロントまわりのデザインに目が奪われがちだが、Vストローム1050の「中身」はそれ以上に大きく変更されている。
基本的に車体関係の構成は従来型を踏襲するが、エンジンに関しては「THE MASTER OF ADVENTURE」のコンセプトを実現するために、新たな電子制御システムS.I.R.S.(スズキインテリジェントライドシステム)を採用し、大きく変更されている。
加えて、上級仕様の「XT」には独自に6軸IMU(スタンダードグレードはVストローム1000時代と同じ5軸IMUとなる)と数多くの電子制御システムを搭載するなど、機能を大きく拡大している。
一方、スタンダードグレードでは価格据え置きという点も大きな特徴だ。Vストローム1050と従来型Vストローム1000の諸元における相違点は以下の通り。
エンジンは従来型と同じ90°V型2気筒で排気量にも変わりはない。しかし、ボア径を5mm拡大したφ49mmの新設計スロットルボディにライドバイワイヤーを組み合わせた電子制御スロットルとECMの採用、カムプロフィールの変更によって、ユーロ5および2020年国内排出ガス規制をクリアしつつ、最高出力を7psも向上させている(併せてオイルクーラーの新採用、ラジエターの冷却能力拡大も行う)
このため最大トルク発生回転数が2000rpm高い6000rpmに、最高出力発生回転数も500rpm高い8500rpmとなっており、新型は従来型より高回転に振ったエンジンキャラクターであることが想像できる。このエンジンアップデートに加えて、最高出力自体は変えずにスロットルレスポンスなど出力特性を3段階に調整するSDMS(スズキドライブモードセレクター)の新採用と、4段階に選択出来るトラクションコントロールのアップデートが行われている。
Vストローム1050XTは電子制御も上級版 ただのスポークホイール仕様ではない!!
また上級仕様Vストローム1050XTではさらに以下の電子制御システムが追加され、スポーツツアラーとしての走りの質を高めている。
同時にCAN(コントローラエリアネットワーク)の採用で、配線類の簡素化も行われた。
1.クルーズコントロールシステム(車速50km/h以上でギヤが4速以上で設定可能)
2.モーショントラックブレーキシステム(車速や車体姿勢によって前後ブレーキのABS介入を判断)
3.ヒルホールドコントロールシステム(上り坂で完全停止しても30秒間はブレーキを作動させる)
4.スロープディペンダントコントロールシステム(下り坂走行時のブレーキングでABS作動を最適化させる)
5.ロードディペンダントコントロールシステム(タンデムや荷物積載等の荷重状態に応じて制動力をアシストする)
さて、スタイリングでは1988年のDR-BIGをモチーフにしている点は従来型Vストローム1000と同様だが、Vストローム1050では特徴的な「くちばし」をさらにシャープにして強調。そして、長方形状の軽量なLEDヘッドライトを新採用し「DR-BIG度合い」を高めつつも、新しいスタイリングを実現(XTではウィンカーもLED化)。
スタンダードはシンプルなキャストホイール、XTはワイヤースポークとなるのは従来型Vストローム1000と同じだ。
またハード面における実用装備でいうと、XTには電源アウトプットとしてUSBソケットだけでなく12VDCソケットが追加されるほか、ナックルカバー/アルミアンダーカウリング/アクセサリーバー/センタースタンドが標準装備される。
このように、価格据え置きのスタンダードグレードは徹底したシンプルな機能とし、本来構想された機能を存分に実現したのがXTということになる。この違いはより充実したユーティリティー部分でも理解しやすいだろう。
Vストローム1050XT & Vストローム1050の全カラーバリエーション
スズキVストローム1050諸元 [ ]内はXT
【エンジン・性能】
種類:水冷4ストロークV型2気筒DOHC4バルブ 総排気量:1037㎤ 最高出力:78kW<106ps>/8500rpm 最大トルク:99Nm<10.1kgm>/6000rpm 燃料タンク容量:20L 変速機:6段リターン
【寸法・重量】
全長:2265 全幅:870[940] 全高:1515[1465] ホイールベース:1555 シート高855[850](各㎜) 車両重量:236[247]kg タイヤサイズ:F110/80R19 R150/70R17
【価格】
Vストローム1050:143万円(税込) Vストローム1050XT:151万8000円(税込)
レポート●関谷守正 写真●山内潤也/スズキ 編集●上野茂岐