新車

旧車放浪記〜上がりバイクを求めて その1

↑これ、30年前に買ったバイク

かくゆう私はモーサイの編集部員ではない。四輪サビグルマ雑誌に関わる通りすがりの者だ。バイクは好きだ。好きなのだが現行車に興味がもてない。自分がピカピカの新型車を買うというイメージが湧かない。たとえて言えば談合坂44のメンバーに真剣交際を申し込むくらいに、非現実的に思える。恐れ多いのだ(いなかったっけ? 談合坂?)。しっくり来るのは、やはり岡田奈々、もとい旧車か。20歳のときからポンコツバイクばかりを乗り継ぎ、今や25台が格納庫でドミノ倒し寸前で並んでいる。もうすぐ定年だしそろそろ自分が本当に乗りたい1台に絞りたい。人生の「上がりバイク」を求めて吉田類よろしく「放浪」することにした。どれとどれを売り払って何を残すか。早く理想の上がりバイクと出会い、そのシートにまたがって「表面張力〜」と叫んでみたい、吉田類みたいに。

20フィートコンテナ3個と物置と軒下に総計25台のポンコツを押し込んでいる。ああ、なんとかしたい。

ウチにある25台のバイクは、小生のバイク遍歴そのものだ。30年間のうちに買ったバイクをほとんど売らずに手元に置いた結果がコレである。

未練タラタラで35年ぶりのダックス

16歳のとき初めて買ったのは、東京・福生の解体屋で友人と協同購入したダックス・ホンダ。いじり壊して捨ててしまったが、今になっても未練が残り、↓30数年ぶりに手に入れた。色は当時と同じだがこちらはダックス70のほう。

3年間不動だったやつを無理矢理に引っ張り出し、都内から埼玉県北東部までいきなり引き取りツーリング。ネジは飛ぶしエンジンは止まるしで、冒険させていただきました。

 

次に雑誌の個人売買でCB50を手に入れるが、夜中に河原の遊歩道を走っていてガードレールに激突。オシャカにしてしまった。
続いて買ったのがタイトル写真のやつ、チャイニーズブルーのCB125JX。しばらくノーマルで乗っていたが、そのうちセパハン+バックステップを装備して1960年代のカフェスタイルにした。シートはモンキー用TLシート。K&H製のバックステップは当時とても高価で、バイク本体より高かったのを覚えている。30年前に買ったバイクだが、いまだに税金は払い続けている。もちろん不動車。

まだ税金払ってる4番目のバイク=カワサキ250SS

これも125JXと同時期に10万円で譲って貰った250SS。自分でレストアして地元の暴走族に盗まれ、奇跡的に奪還できたもののまた朽ちさせてしまった。捨てるどころか廃車にするのもなぜか惜しく、やはり30年近く税金を払っている。

CB125JXとほぼ同時期、つまり30年前に手に入れた1974年式カワサキ250SS(S1T)の現在。軒下保管でだいぶヤレてしまった。トマゼリのアルミ鍛造セパハンとか、けっこういい部品ついてるな〜。

 

在りし日の250SS。ドラムブレーキは冷えていればよく効くが……。ヘッドライト位置は純正ステーを天地逆にして下げている。タンクのデカールはキュウリというやつですな。これは友達にあげて、ストックしているのはナイフタイプ。ところでポイントカバーに注目。自作の樹脂製です。

このバイク、世界で一番乗りにくい250だと思う。2スト250ccの3気筒でそこそこパワーも出してるので、かなりピーキー。そのくせ車体は350/400と同じで重い。つまり市街地でスピードに乗せるのに時間がかかる。おまけにS1Tまではフロントドラムブレーキなので、やっと回転を上げてスピードが出たと思ったら、今度は信号で止まるのに必死こくわけだ。で、立ちゴケしてポイントカバーを割ってしまった。

ポイントカバーを五日市街道で立ちゴケして割ってしまったので複製。まずシリコーンで雌型を作る。離型剤をスプレーしているところ。

ポリエステル樹脂にアルミ粉を混ぜたネタをシリコーンの型に流し込む。雄型はないので、流し込んだら型を手に持ち樹脂がまんべんなく行き渡るようにする。手前には失敗作が並ぶ。

かなり可愛がった250SSだが、低速トルクが無くフロントドラムブレーキが利かない。普通に走っているだけで煽られるし、止めていれば盗まれるとあまりいいことがなく、軒下で長い眠りについたのでありました。この手のバイクは保管にも気を使う。

30年間、衝動買いし続けたわけだ

所有する最古の原チャリはホンダビート(1984年式?)。水冷2ストロークエンジンは7.2馬力を発揮。チャンバーは中低/高回転の2ステージで、ステップボードのペダルを踏むことでバルブを開閉作動させる。ある回転域でペダルを踏むと3段階でトルク変動が楽しめると言われたが、「ま、始めからペダルを踏んでればいいことだよね」がオーナーの合言葉だった。

それからヤマハSRX-6、ホンダスペイシー50、スズキジェンマ125、ヤマハRZ125、↑ホンダビート(スクーターのほうね)とかいろんなバイクを買い替え理想のバイクを追い求めた。しかしビート以外はすべて売却。SRX-6(600㏄)はⅠ型で、タンデムステップがスイングアームに付いているスパルタンさが良かったが、知り合いのSRX-4(400㏄)を借りて乗ったら、断然こっちのほうが面白かった。エンジンが小気味よく回り扱い易いのだ(それゆえパワーの差はあまり感じない)。ジェンマはセルの音が軽四輪に似ていて、いつも仕事をしているようで安らげなかった。RZ125はゲタバイクだったのだが、間違って奥多摩周遊道路に迷い込んだとき、すれ違う走り屋たちからやたらピースサインされて疲れた。ビートを処分していないのは、まだ一度きり、5分しか乗っていないからである。

レストアすれば愛着もわくんか?

あれやこれやと間違いだらけのバイク選びをしていたそのとき、「とっておきの1台は自分で苦労してレストアした1台じゃないんかい?」という天啓を得て、ポンコツの↓ヤマハAS-1(125cc2ストローク2気筒)を手に入れた。

30年間、納屋に眠っていたというヤマハAS-1(1968年式?)。とにかくボロい。「本当に直すんですか?」と売り主が心配するほど。

 

さっそくバラしてレストアのマネ事を開始。狭い裏庭で作業をするもんだから、エンジンを付けたまま足まわりを分解している。とにかく長年のオイルとスラッジと泥がひどい。

会社に行く前、毎日2時間ずつ作業した。作業期間中に親戚が泊まりに来たのだが、こちとらまったく相手をする気になれず。のちに一族からひんしゅくを買ってしまった。今はそんなことないっすよ。

 

2カ月間、サルのようにサビをこすり部品を組み付け、ときに適当に銀ラッカーを吹いたりして完成。

でもこのAS-1、ちょっとエンジンをかけたらあとはもう乗らずにしまい込んじゃった。とにかく飽きっぽいのだ。

 

メグロに入門してみる

カワサキ・メグロSG(250㏄単気筒OHV)。理想のバイクを求める旅はついにこんなヤツにたどり着いた。ただしエンブレムが欠品!

「やっぱりバイクはカワサキがいいよ。値が下がらないし」と知人に諭され、250SS以来のカワサキ車を入手、↑カワサキ・メグロSG(1966年式)である。クラッチが滑り気味だったものの、かなり気に入っていた。エンブレムが欠品していたので樹脂で自作することにした。

まずホンモノのエンブレムを泣きながら購入(高い!)。それをタンクにセットした状態で型取り。シリコーンではなく百円ショップで売っている「お湯丸」を使った。お湯に入れると柔らかくなり、冷えると固まる便利な素材。

 

お湯丸で作った雌型に樹脂を流し込んで複製品を成形。なお、このエンブレムはそのまま型取りできたが、これより古い七宝タイプは表面がツルっとしているので裏側を型取りし、さらにそれを反転して雌型を作らなければならんのです。

 

プラモデル用の塗料で着色。赤、オレンジはクリアータイプを塗る。多少、はみ出しても仕上げで研磨をかけるので大丈夫。

樹脂製のニセモノエンブレム完成。これを復刻のマイナスネジで留めればメグロSGの完全復活!……と思ったんですがねえ。

やっぱり飽きた!

結局、軒下でビニールカバーをかけたまま5年放置。左側エンブレムの複製にえらく時間がかかったので、右側を作る気力がなくなり、ついでにSGにも飽きちゃった。悪いオジサンでしょ?

 

しかしこれでカワサキ車の面白さに再度目覚めたのも事実。そこで1969年式W1Sを衝動買い。続いて1972年式750SSも買いましたね。いやはや、この時期が一番、生活苦しかったっすよ。これ、一種の病気だから。

以前にW1SAを持っていたのだが、ついに再生できなかった。そこで実動状態のW1Sを手に入れて適当に走りまわる。これは旧別冊OTの企画で東北横断ツーリングに行ったときのもの。品田(T500)と日暮(ハイエース)が釣り堀で釣を始めた直後のショット。ちなみに小生、釣が大嫌い。

やはり「上がり」はこれか?

カワサキのWと来たら、次はこれしかない(Z系も嫌いじゃないがCBのほうが好きなので……)。シート以外はオリジナルのH2A。ところどころ剥がれたデカールなどヤレ具合が気に入ってますです。よし、これをもって上がりバイクとしよう。

好事魔多しといいますかね

 

いい気になって走りまわってたら配線が燃えてマッハは灰になっちまいました、ハイ。とういのは大げさで、バッテリーとイグナイター(リプロ品)が燃えただけ。以前からたびたびメイン側のヒューズが飛ぶので何かあるのではと危惧していたところだった。フレームのネックに被覆のこすれた配線が接触していたのでは? 原因解明中ゆえ、これをもって上がりバイクとはならず……(続く)。

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オールドタイマー編集部在籍ウン十年の変態旧車オヤジ。好きな食べ物は賞味期限ギリギリの値引き惣菜。土日の朝、コメダに行って週刊誌を読みまくるのが最近のマイブーム。

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