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カワサキ製ハイパワー4気筒搭載のイタリアンプレミアムバイク!【ビモータ最新モデル公道試乗】

2026年5月末にメディア向けに開催されたカワサキのニューモデル試乗会では、多数の車両が用意された。本記事ではその中から、カワサキとパートナーシップを結んでいるイタリアのプレミアムブランド、ビモータのバイクをご紹介。AMAスーパーバイクなど数々のレース参戦歴を持ち、現在は二輪ジャーナリストやライディングスクールのインストラクターとして活躍している鈴木大五郎が、公道での試乗インプレッションをレポートする。

KB998リミニ:サーキットでこそ本領を発揮する、スパルタンなホモロゲーションモデル

ビモータ KB998リミニ 価格:693万円(2025年11月8日発売)

1966年に空調配管設備の製作会社として設立され、1973年からオリジナルフレーム作りを開始したイタリアの伝説的フレームビルダー、ビモータは、レースシーンでの活躍をはじめ、数々の成功を収めてきた。創始者のひとりであるマッシモ・タンブリーニ氏は、名エンジニアとして世界的に評価されている。一方で、その歴史には欧州のバイク関連メーカーあるある(?)の「経営危機」がたびたび顔をのぞかせてきた。

そういった背景のあるビモータは、2019年からはカワサキとパートナーシップを結び、現在ではカワサキ製エンジンを用いたさまざまなモデルをラインアップしている。以前よりも販売が安定してきたことを思えば、良きパートナーを見つけたと感じられる。

カワサキ製エンジンを使用した初のビモータ車、KB1は1978年に発売。900スーパー4(Z1)やZ1000A系の空冷4気筒エンジンを搭載した。
1981年発売のKB2は、Z500系の空冷4気筒エンジンを搭載した中量級モデル。
1983年発売のKB3は、Z1000J系の空冷4気筒エンジンを搭載。
KB4はビモータが2019年にカワサキとパートナーシップを結んだ後、2022年に発売。ニンジャ1000SXの水冷4気筒エンジンを搭載しており、ネイキッド版と言えるKB4RCも展開された。

今回試乗したKB998リミニは、ビモータが2025年からスーパーバイク世界選手権(WSBK)に参戦するために作り上げたホモロゲーションモデルで、搭載されている並列4気筒エンジンはカワサキのニンジャZX-10RRから流用したものだ。

KB998リミニのカウルを一部外した状態。ニンジャZX-10RRのエンジンが、ビモータ独自の“ハイブリッドフレーム”に搭載されている。

近年のWSBKでは、V型4気筒エンジンを搭載するドゥカティ パニガーレV4Rが圧倒的戦闘力を発揮している。一方、並列4気筒勢はトプラック・ラズガットリオグル選手がBMW M1000RRで2024年と2025年にチャンピオンを獲得したものの、大局的には苦戦気味である。

そんな状況の中で、今年のWSBKではKB998リミニが4気筒勢最速となる場面も少なくない。カワサキはニンジャZX-10RRでWSBKのタイトルを何度も獲得してきたが、ファクトリーチームの参戦は2024年で終了している。ビモータがそんなニンジャZX-10RRのエンジンを用いて好成績を収めているのは、改めて考えると驚きである。KB998リミニはレーシングマシンにかなり近いパッケージとして販売されているということもあって、今回のテストライドは非常に興味深く感じられた。

KB998リミニのプロモーションフォトには、bimota by Kawasaki Racing TeamからWSBKに参戦しているアレックス・ロウズ選手(左)とアクセル・バッサーニ選手(右)が出演。

KB998リミニのために専用設計されたハイブリッドフレームは、ビモータ伝統のクロモリ製トレリスフレームとアルミ合金削り出しのプレートを組み合わせた独創的かつ美しいもので、フレームビルダーの凄みを感じさせる。

ヘッドパイプからエンジン上部にかけてはクロムモリブデン鋼製トレリスフレームを、リヤセクションにはアルミ合金製プレートを使った独創的なフレーム。エンジンマウントの調整も可能だ。

サスペンションやブレーキなどもレースで使用されるようなハイグレードなもので、ロードゴーイングレーサー然とした佇まいが美しい。

フロントのサスペンションはショーワ製のBFF(バランスフリーフロントフォーク)。ニンジャZX-10RRで採用されているものと同型だが、アクスルブラケットは鍛造アルミ削り出しの専用品。
リヤサスペンションはショーワ製BFRC-lite(バランスフリーリヤクッションライト)。ニンジャZX-10RRとは配置が異なり、ユニット取り付けパーツは上部・下部ともにアルミ鍛造削り出し品。

ライディングポジションは腰高で前傾が強い。シートクッションも硬いため、またがったときの肌触りは非常に硬質だ。外装にドライカーボンを多用していることもあり、車両重量は軽いのだが、レースのスタート前のようなちょっとした緊張感を伴う。

フロントカウルなど、各部外装にオートクレープ製法で製造したドライカーボンパーツを使用。ウイングレットはサーボモーターとワイヤーにより自動で角度調整が行われる。

公道を走り始めてすぐに「これはここで走りを評価しきれるマシンではないな」と感じる。一般道を走るには全てがハードなうえに、エンジンからの凄まじい熱が下半身を襲う。足周りはしなやかな作動性で、純正装着タイヤのピレリ ディアブロスーパーコルサV4 SPもクッション性が高いため、表面上にハードルの高さはさほど感じられない。しかし、フレームは一般道の走行ペースではどんなに頑張ってもガチガチに感じられるほどの剛性で、「このマシンの真の性能を語るのが許される場所はサーキットだけだ」と感じられた。

KB998リミニに試乗する鈴木大五郎。

ただし、バイクで走るのは公道オンリーというライダーが乗るとしても、我慢を強いられる場面が少なくないことを厭わないのであれば、プレミアムモデルを手にした者だけが得られる快感があると思われる。さまざまな意味で孤高の存在であると感じられた。

KB998リミニのライディングポジション。ライダーは身長165㎝、体重62kg。
KB998リミニの足着き。ライダーは身長165㎝、体重62kg。

ライディングポジションは、大半の他社製WSBKホモロゲーションモデルよりも腰高で、前傾が強めとなるレーシングライクなもの。乗り手との接点であるシートやハンドルも硬質なフィット感で、またがったときのサスペンションの沈み込みも少ない印象だ。ハンドル切れ角も少なく、取り回しには気を使う。

スイングアームは鍛造アルミ削り出し品。前後ホイールはマルケジーニ製のアルミ鍛造品で、フロントブレーキキャリパーはブレンボ製M50で、アルミダイキャストのモノブロック構造。

〇ビモータ KB998リミニ 主要諸元

エンジン種類:水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ ボア×ストローク:76.0×55.0mm 総排気量:998cm3 最高出力:147.1kW<200ps>/13,600rpm 最大トルク:111Nm<11.3kgf・m>/11,700rpm 燃料タンク容量:17L(無鉛プレミアムガソリン指定) WMTCモード燃費:―― 変速機:6段リターン 全長×全幅×全高:2,085×862×1,205mm ホイールベース:1,454mm シート高:830mm 車両重量:207kg タイヤサイズ:(F)120/70ZR17 (R)190/55ZR17 カラー:レッド×ブラック 価格:693万円 発売日:2025年11月8日

KB998リミニと関係の深いカワサキ ニンジャZX-10R(2026年型)のライポジ&足着きチェック

カワサキ ニンジャZX-10R 価格:248万6000円(2026年8月1日発売予定)

ちなみに、試乗会場には2026年型ニンジャZX-10Rも用意されており、走らせることはできなかったが、またがることができた。

ニンジャZX-10Rのライディングポジション。ライダーは身長165㎝、体重62kg。
ニンジャZX-10Rの足着き。ライダーは身長165㎝、体重62kg。

ライディングポジションは、近年のスーパースポーツモデルとしてはオーソドックスなもの。前傾が強めでステップ位置も高め、重心も高めのため、取り回しにはやや気を使うだろう。身重165cmだと足着きはご覧のとおり。KB998リミニと比較すればずいぶんと汎用性が高くも感じられるが……。

2026年型ニンジャZX-10Rはフロントカウルに大型ウイングレットを装備。シャーシジオメトリとサスペンションの設定も見直されている。TFTカラー液晶ディスプレイも新型になった。

〇カワサキ ニンジャZX-10R 主要諸元

エンジン種類:水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ ボア×ストローク:76.0×55.0mm 総排気量:998cm3 最高出力:145kW<197ps>/13,000rpm(ラムエア加圧時は152kW<207ps>/13,000rpm) 最大トルク:111Nm<11.3kgf・m>/11,400rpm 燃料タンク容量:17L(無鉛プレミアムガソリン指定) WMTCモード燃費:16.0km/L 変速機:6段リターン 全長×全幅×全高:2,085×750×1,180mm ホイールベース:1,450mm シート高:825mm 車両重量:209kg タイヤサイズ:(F)120/70ZR17 (R)190/55ZR17 カラー:グリーン、マットグレー×ブラック 価格:248万6000円 発売日:2026年8月1日

テージH2テラ:非常に個性的なパッケージだが、意外と乗りやすい!

ビモータ テージH2テラ 価格:638万円(2026年7月1日発売)

ビモータがアドベンチャーモデルを? 同じイタリアンブランドであるMVアグスタやドゥカティもアドベンチャーモデルを作る時代なので、驚くことではないようにも思える。しかし、そのアドベンチャーモデルがセンターハブステアリングシステムを特徴とするビモータの象徴的マシン「TESI(テージ)」シリーズの一員で、さらにスーパーチャージャーを備えるカワサキ Z H2のエンジンを搭載していると聞けば「じぇじぇじぇ!」となる。これは興味深い。

センターハブステアリングシステムのメリットは、ノーズダイブや、コーナリング中のキャスター角・トレール量の変化が少ないこと。また、ハンドル切れ角の大きさも安心感につながるが、何といってもその見た目が独創的である。

フロントの操舵機能とサスペンション機能の完全な分離を実現したTESIセンターハブステアリングシステムの最新版「TERAステアリングシステム」は、左右それぞれ35°のステアリング角を実現。

走り出したマシンはイメージをはるかに超える乗りやすさで、拍子抜けするほどだ。サスペンションはかなりソフトな設定だが、これもフレンドリーな感触に一役買っている。

テージH2テラに試乗する鈴木大五郎。

ハンドリングはとにかく軽快。左右へのバンキングもシームレスで、マシンが意のままに動くような感覚が非常に色濃い。大柄でパワフルなマシンを操っていることを忘れるほど扱いやすく、ちょっとくらいの未舗装路面なら入ってしまおうと思えるほどであった。

一方で、ブレーキングやコーナリングで負荷をかけると、マシンの剛性がグッと高まるような不思議な反応を示す。フロントブレーキを強くかけてもほとんどノーズダイブしないというのも特徴的で、BMWのテレレバーの動きを彷彿させる。試乗前は特殊なシステムに思われたテージH2テラのセンターハブステアリングだが、実はかなりライダーフレンドリーなキャラクターであるという意外性が面白い。

そして、Z H2由来のエンジンがまたすばらしい。軽やかなレスポンスながらトルクに厚みがあり、スロットルをしっかり開ければフロントがスッと軽くなるほどのパワフルさ。同程度のパワーを持つマシンは少なくないが、それらとはまったく異なる、スーパーチャージャー付きエンジンだけが持つ不思議な吹け上がりは病みつきになりそうな感覚であり、このマシンの価値をさらに高めている。

テージH2テラに搭載されるZ H2の「バランス型スーパーチャージドエンジン」は、胸のすくような加速性能と高い燃費性能という、通常は相反する特性を高次元で両立している。

どこで誰が乗るのか? ビモータ製アドベンチャーモデルと聞いたときはそんな疑問が頭の中に渦巻いた。しかし、この異次元感覚の乗り味は何だ!? 強烈な個性の中に宿る、不思議な安心感と奥深さを感じたテストライドであった。

テージH2テラのライディングポジション。ライダーは身長165㎝、体重62kg。
テージH2テラの足着き。ライダーは身長165㎝、体重62kg。

ライディングポジションは、オフロード走行も想定したアドベンチャーモデルとは若干異なる、ネイキッドモデルのような姿勢となっている。アップライトでライダーの動きの自由度は高め。ハンドル切れ角の大きさもあり、取り回し性は良好だ。アドベンチャーモデルとしては足着き性は悪くなく、低重心なこともあって安定感も高い。

外装にはカーボンファイバー素材をふんだんに使用。サスペンションはオーリンズ製のTTX36を前後用に2つ装備している。OZレーシング製ホイールには専用開発のアンラス製タイヤを装着。

〇ビモータ テージH2テラ 主要諸元

エンジン種類:水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ ボア×ストローク:76.0×55.0mm 総排気量:998cm3 最高出力:147.1kW<200ps>/11,000rpm 最大トルク:137Nm<14.0kgf・m>/8,500rpm 燃料タンク容量:19L(無鉛プレミアムガソリン指定) WMTCモード燃費:―― 変速機:6段リターン 全長×全幅×全高:2,125×910×1,390(スクリーンハイポジション時は1,438)mm ホイールベース:1,455mm シート高:820mm 車両重量:244kg タイヤサイズ:(F)120/70ZR17 (R)190/55ZR17 カラー:レッド×ホワイト 価格:638万円 発売日:2026年7月1日

期待のビモータニューフェイス、KB399/ESのライポジ&足着きチェック

ビモータ KB399 価格:146万6300円(2027年春頃発売予定)
ビモータ KB399 ES 価格:245万3000円(2027年春頃発売予定)

ビモータの未発売最新モデル、KB399/ESもまたがりのみOKだった。KB399/ESはエンジンのみならず、フレームやタンク、シートカウルなどもカワサキのニンジャZX-4RRから転用しているモデルだ。

KB399のライディングポジション。ライダーは身長165㎝、体重62kg。
KB399の足着き。ライダーは身長165㎝、体重62kg。
KB399 ESのライディングポジション。ライダーは身長165㎝、体重62kg。
KB399 ESの足着き。ライダーは身長165㎝、体重62kg。

ライディングポジションと足着き性はやはりニンジャZX-4RRに近いもので、軽めの前傾となるが、レーシーな姿からイメージするよりもフレンドリーだ。KB399 ESはハンドルバーやステップ、ペダルがアルミ削り出しとなっている。

KB399とニンジャZX-4RRの相違点としては、外装のほか、アクラポビッチ製サイレンサーやブレンボ製Stylemaブレーキキャリパー、アルミ削り出しトリプルクランプなどが挙げられる。
KB399 ESは外装がカーボン製となっており、ハンドルバーとステップ、シフトペダル、ブレーキペダルはアルミ削り出し品。リヤショックはオーリンズ製のSTX46に換装されている。

※ビモータ KB399/ESの主要諸元は未発表。車両価格はKB399が146万6300円、KB399 ESが245万3000円で、ともに2027年春頃発売予定。

report:鈴木大五郎/モーターサイクリスト編集部 photo:柴田直行/カワサキ

車両問い合わせ先

ビモータ/カワサキ TEL0120-400819
https://www.bimota.com/jp/ja/
https://www.kawasaki-motors.com/ja-jp/

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