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【BMW R18ロクテインで市街地&高速道試乗インプレッション】史上最大のボクサーエンジン搭載クルーザーは手強いのか?

北米クルーザー市場を狙ったBMWの2代目クルーザーR18シリーズ

BMW史上最大のボクサーツインを搭載するクルーザーとして、2020年秋に発売されたR18シリーズ。同社のヘリテージシリーズを代表する旗艦モデルとして、最大排気量の1801cc空油冷ボクサーエンジンが搭載され、標準モデル(フロント19/リヤ18インチ)のほか、派生モデルも登場している。

大型ウインドシールドやサドルバッグを装備したツーリング仕様のクラシック、バガースタイルでフェアリングとハードパニアケース、大容量24Lのタンクを装備したR18B、大型フェアリングと大型トップケース、24Lの大容量タンクを備えた長距離ツアラーのトランスコンチネンタル(3台ともフロント19/リヤ16インチ)と続き、今回試乗紹介するのが、第5のR18と言えるロクテインだ。

BMW R18(左)、R18クラシック(右)
大容量の24Lタンク、大型フェアリング装備などで、ツーリング性を高めたR18B(左)とR18トランスコンチネンタル(右)

立ち位置としては、ハードシェルのサイドケースを装備したカスタム色の強いストリートバガースタイルクルーザーだ。車名に付されたロクテイン(Roctane)とは、Rock(岩ないし、音楽ジャンル)+Octane(オクタン:燃料のオクタン価)を組合せた造語で、意訳すれば「岩のような迫力の車体でワイルドに突き進むモデル」というようなニュアンスになろうか。

第5のR18シリーズ「R18ロクテイン」

前述したようなR18シリーズのラインアップの積み上げを見ると、BMWがハーレー、インディアンといったクルーザーカテゴリーの雄に混じって北米市場で食い込みたい意向が伝わってくるが、未だチャレンジャーであるというのが市場の評価かもしれない。

BMWのクルーザー市場への参入は過去にもあり、1997年に1170cc空油冷ボクサーを搭載したR1200Cを北米市場へ投入している。2004年にこのシリーズは生産中止となり、成功を収めるには至らなかったが、BMWはこの市場をなんとかモノにしたい野望を捨てていないことを、R18シリーズの登場が象徴しているだろう。

R1200C(1997)

■BMW初のクルーザーは1997年登場のR1200C。大柄なプルバックハンドルや、引き起こして背もたれになるリヤシートを採用し、各部の造形も含めて強いアピールを感じたモデル。前テレレバー、後パラレバーも採用する意欲作だったが、カテゴリーをリードするには至らず2004年に生産終了。同車のキャラクターは部分的にR18シリーズへ踏襲されているように感じる。

ダークカラーとカスタムバガースタイルをまとったシリーズ第5弾ロクテイン

第5弾となるロクテインの特徴は、前述したようにメーカーメイドながらも、カスタム感を強く押し出したバガースタイルで、ホイールはフロントに大径21インチ、リヤに18インチを採用し、ミニエイプハンガースタイルとも言えるアップハンドルを装備したこと。リヤは低く安定したフォルムにした一方、前側はすっきりとしつつ大きく構えた存在感としたのが、外観のハイライトだ。

フロントの大径21インチホイール、セミエイプハンガーハンドルを特徴とし、クールなカラーリングをまとったR18ロクテイン
カスタムバガースタイルにリヤのサイドバッグも装備し、ツアラー機能も付加した第5のR18シリーズモデル。タンク容量はスタンダード、クラシックと同様の16Lタイプ

一見手強い派生モデルを想像させるが、実際はBMWなりのドライバビリティがキープされている。身長173cmのライダーでは両足がべったりと接地する足着き性で、ハンドルもぶら下がる感じではなくあくまでアップハンドルの範疇。取っつきのライポジに違和感はないが、サイドスタンドからの引き起こしが重いというのが第一印象。前輪に21インチを採用して支点(ステアリングヘッド)が高い一方、その下方に左右へ大きく張り出した重量物のエンジンヘッドがあるせいだろうか。

R18ロクテインのライディングポジション

■身長173cmのライダーでの乗車姿勢。自然な近さでハンドルに手を添えた場合、写真のようにシートストッパーに腰は当てられないが、この状態で走行しても座面がフラットなため違和感はない。ステップも違和感のない位置に配置されるが、左右足元の変速&ブレーキペダルの操作には多少の慣れが必要か。シートは両足カカトまでべったり接地するほど低い。


引き起こしの手応えと同様、市販最大級となるボクサーツインの張り出しも存在感は抜群で、足元の前方に鎮座する。イグニッションをオンにし、セルを押すと大きく身震いしてエンジンが始動。その瞬間、車体が反時計回りに揺れる感じもなかなかに強烈だ。過去、オーナーだった空冷ボクサー(R80)のほか、多くボクサーエンジン車に試乗してきたが、この身震いも排気量と同様に多分最大級だ。ボクサー初経験者にとってこれは結構なサプライズだが、それ以外の面で戸惑うことは多分ない。

粛々と回るエンジンで、意外な軽快さを味わえる市街地走行

アイドリングは、現在のモデルとしては意外なほど低い950rpm付近で安定している。単室容積900ccという大きなピストンが、左右で静かに動いているのを感じつつ、意外に軽いクラッチを切り、シフトを入れて発進する。

回り始めは強大なパワーを感じさせず、ゆったりした立ち上がりだ。大きなピストンが交互に動いている印象がまずあり、間もなく1500rpmから上で滑らかな回転感になり始め、力強い加速が少し遅れてやってくる。大きなツインを実感する瞬間で、これも大きなボクサーツインならではの特徴だろう。

R18ロクテイン

一般道を走行する際に、常用するのは3~4速。これで70km/hくらいまでの速度は事足りてしまう。こうした一般道での走行で、ビッグなボクサーツインはそんなに主張せず、粛々を回っているのは意外な印象で、強大なパワーもそんなに実感できない。そして、引き起こしが重く感じた車体も、走り出してしまえば手強さはない。切り返しや交差点のカーブなどで、意外なほど自然に曲がれるのは、ヘッドの高い位置から倒し込んでいくフロント21インチの恩恵のようにも感じた。

走り出してしまえば、かようにロクテインが手強くないことが実感されてくるが、慣れるまではポジションが決まらない印象はある。通常クルーザーモデルだと、前後シートの段差=シートストッパーに腰を当ててハンドルへ手を伸ばす感じになるが、R18ロクテインは相当に体格のいいライダー向けの設定なのか、腰をストッパーに当てると腕が伸び切ってしまう。幸い、ライダー側のフロントシートは割と平らな座面なので、少し前気味に着座すればいいが、この辺もロクテインでは慣れを必要とする部分かもしれない。

加えて、ボードステップ上の足の操作系も意識を要する部分かもしれない。ご存知のようにボクサーツインは足元の前にシリンダーが張り出すが、ロクテインのシフトペダル、ブレーキペダルはともにシリンダー下に若干潜るような感じで配置される。シフトペダルはシーソー式でダウン時は前側、アップ時は後ろ側を踏む操作になるが、ダウン操作時につま先を若干シリンダー下に潜り込ませて踏む操作になる。またブレーキ側のほうは踏むだけの操作だが、意外と力が必要に感じた。強く踏まないと効かない印象だが、急に強めに踏むとABSが作動してしまうのだ。

クルーザーゆえに、ステップはフォワード気味に配置したいところだが、構造上ボクサーツインではそれがしにくい。ロクテインのボードステップはクルーザーモデルとして違和感ない位置に配置されているものの、そんな点もボクサーツインクルーザーの「クセ強な」一面と言えるだろう。

BMWのヘリテージカテゴリーにならい、伝統の空冷OHVボクサーツインを踏襲しつつ、史上最大の1801ccエンジンをR18用に新開発
タンク下で大きく張り出したシリンダーヘッド。左右気筒用のコンロッド幅の分、シリンダーの前後位置が(左が前、右が後ろに)ズレているのも特徴。また空冷ボクサーの旧タイプを意識し、OHV用プッシュロッドがシリンダー上部を通る配置としたのもR18エンジンの特徴
左側ボードステップ上にあるシーソー式シフトペダル。通常の6段リターン式だが、アップの場合は後ろ側をカカトで踏み、ダウンはつま先側で踏む操作となる
右側ステップボード上にあるブレーキペダル。R18の大きく重い車体をコントロールするには、制動力が少し物足りない印象を受けた(もしくは強い踏力が必要)

2000rpm付近から感じられる、パワフルさと滑らかさ

高速道路に上がると、ようやくトップ6速に入ってのクルージング領域となる。80km/hでの回転数は約1750rpm、100km/hだと約2100rpm。2000rpm付近からだんだんとパワフル感と滑らかな回転感がミックスした印象となるが、こうしたフィーリングも1800ccのボクサーツインならではの部分か。

どろどろとしたエンジンフィールの落ち着きと、滑るようにゆったりした車体の挙動でもって、まるで大型トラックに乗っているような走行感が特徴的だが、そうした波に乗った走りを味わえる速度レンジはかなり高めだ。

高速巡航ではトップ6速で100km/h前後、2000rpm台をキープして走る感じになるが、トルクピークである3000rpmにはなかなか到達しない。おそらく140km/hに到達したころにトップ6速で3000rpmに近づくだろうが、その頃には相当強い風圧を受けて走る状況になるだろう。

重い車重と長大なホイールベースでもってロクテインの直進性は揺らぎもしないが、前述した速度レンジで巡航するのは風圧との格闘を伴う。巨大なボクサーツインは事もなげに4000rpmまで回っていくとしてもだ。

R18ロクテイン

R18ロクテインを含めたR18シリーズは、なかなかの高速域でパワフルさと滑らかさを発揮する、贅沢な排気量のクルーザーということになるだろうし、ハーレーともインディアンとも違う世界を持っているのは間違いない。

しかし、ビッグクルーザーの魅力を低中回転からのエンジンの鼓動と強めの押し出し感ととらえ、従来どおりの魅力を求める層にとって、R18で味わえる世界はどう映るのだろう?

そうしてみると、コレクターズアイテムとして興味を持つBMWファン以外にR18シリーズに食指を伸ばす層は限定的に思えてしまうものの、既存のビッグクルーザーに飽きたらず、いざというときのハイスピードポテンシャルに魅力を覚える「クセ強な」ライダーなら、ハマるかもしれない。

R18ロクテイン:ヘッドライトにビルトインされるトラディショナルなメーター

■トラディッショナルなヘッドライト一体型構造のメーター。アナログ指針式の丸型速度計の下に、コンパクトなデジタル液晶部を内蔵。ここにパワーモード、ギヤ段数ほか、切り替え式でオド・トリップ、時計、電圧、タイヤ空気圧、エンジン回転数などを表示。写真はエンジン回転の表示で、950rpmでのアイドリング状態を示している。

左グリップ側は、ウインカー、ホーン、ハザードといった基本の操作ボタンのほか、パワーモード切り替え、メニュー切り替えと設定、クルーズコントロールスイッチなどを配置
スマートキー方式を採用するR18シリーズだが、右グリップの操作系は中央にイグニッション用のオンオフボタン、上にグリップヒーター操作ボタン、一番下の赤い部分がセル&キルスイッチとなる
駆動方式はBMW伝統のシャフト駆動で、車体右側にオープンタイプのドライブシャフトが配置される
ロクテインの特徴である21インチの前輪。大柄な車体での安定した直進安定性と意外な軽快さを実現しているのは、このホイールサイズの恩恵かもしれない。タイヤはメッツラーのマラソン ウルトラを前後に標準装着。対向4ポットキャリパー+ダブルディスクのブレーキは十分な制動力を発揮
ロクテインに標準装着されるハードタイプのパニアケース。容量は片側27L、左右合計で54L容量で、キーロック付き
フロントフォルムを際立たせるミニエイプハンガータイプのハンドルバーは、身長173cmのライダーがシートストッパーに腰を当てるとかなり遠くなる。ハンドルバーをライダー側に少し倒したほうが使いやすいかもしれない。丸型のLEDヘッドライトには、昼間走行用DRLを中央に帯状に配置

R18ロクテイン 主要諸元

■エンジン 空油冷4ストローク水平対向2気筒OHV2バルブ ボア・ストローク107.1✕100mm 排気量1801cc 圧縮比9.6 燃料供給装置:フューエルインジェクション 点火方式フルトランジスタ 始動方式セル
■性能 最高出力67kW(91ps)/4750rpm 最大トルク163Nm(16.6kgm)/3000rpm 燃費17.85km/L(WMTCモード値)
■変速機 6段リターン 変速比1速2.438 2速1.696 3速1.296 4速1.065 5速0.903 6速0.784 一次減速比1.106 二次減速比3.091
■寸法・重量 全長2615 全幅980 全高1205 軸距1720 シート高720(各mm) キャスター34.7° トレール185mm  タイヤF120/70B21 R180/55B18 車両重量384kg
■容量 燃料タンク16L エンジンオイル4L
■車体色 ブラックストーム・メタリック、ミネラル・グレー・メタリック・マット、ドラゴンファイヤー・レッド・メタリック
■価格 283万7000円(ブラック)、289万1000円(グレー)、293万5000円)レッド)

R18ロクテイン

レポート●モーサイ編集部・阪本一史   写真●モーサイ編集部、BMWモトラッド

CONTACT

BMWモトラッド
TEL:0120-269-437(カスタマー・インタラクション・センター)
https://www.bmw-motorrad.jp

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