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ホンダ CB1000Fコンセプト開発責任者に直撃取材!「時代は、回る。」〜大阪モーターサイクルショー2025速報〜

■CB1000Fコンセプトと開発責任者の原本貴之氏(本田技研工業株式会社二輪・パワープロダクツ事業本部)

既報のとおりホンダは、2025年3月21日(金)~23日(日)にインテックス大阪で開催されている第41回大阪モーターサイクルショー2025で、CB1000Fコンセプトを世界初となる一般公開。ここでは、開発者インタビューや社長発言から見えてきた、このモデルが誕生するまでの経緯と、ホンダの想い、現地で読み解く発売への道筋について詳報しよう!

ホンダ CB1000Fコンセプト
ホンダ CB1000Fコンセプト

初公開は想像のさらに上を行く好反応!

CB1000Fコンセプトのアンベール直後、ホンダモーターサイクルジャパンの代表取締役社長を務める室岡克博氏によるプレスカンファレンスを後方で見ていた一般来場者の間から、「キタッ!」「ありがとう!」「待ってたで!」と声が飛んだ。室岡社長も思わず、スピーチに戻る前に「ありがとうございます」と返した。いくら気さくな人が多い大阪でのショーとはいえ、こういうのはちょっと珍しい。それほどまでに、CB1000Fコンセプトはユーザーが待ち望んでいたバイクだったのだ。

このバイク、市販化されたら“オジさんホイホイ”はほぼ確定だし、展示車両は初日からずっと老若男女に埋め尽くされていたのだが、会場で驚かされたのは、若い来場者たちの「ヤベ~!」や「かっけー!」などの肯定的な声。年齢と服装から想像する趣味嗜好から、絶対にフレディ・スペンサーなんて知らないと思われるライダーたちが、かなり喰いついていたのだ。世間では“昭和レトロブーム”なんて言われるが、バイクの世界では1周どころか数周回って、昭和40年代スタイルは10代や20代にも刺さるということが、あらためて証明されたようだった。

当然ながらこのショーにはホンダ内部の人間も多く訪れていて、来場者が歓喜する姿と声に生で触れている。後で考察するような理由から、市販化はほぼ間違いないが、ホンダ社内でも大ヒットの手応えは感じ取っているはずで、発売に向けて急ピッチでプロジェクトの追い込みがかけられることにも期待したい!

会場にて囲まれ続けるCB1000Fコンセプト展示車

40年経っても色褪せないカッコよさ

ところで、今回のこのCB1000Fコンセプトに触れて、「あれ、でもこのバイク、もう発表されてなかったっけ……?」と考えたアナタは記憶がいい。ホンダは、2020年春のモーターサイクルショーに出展を予定していたCB-Fコンセプトを、ショーが新型コロナウイルスの影響で中止されたことから、ホームページで世界初公開している。このときのベースモデルは、現行CB1000ホーネットの先代に相当するCB1000R(というのが世間の一般的解釈)。

ホンダ CB-Fコンセプト:2020年のモーターサイクルショーで実車を世界初公開……の予定だったが、新型コロナウイルスの影響でイベントが中止。一般にはバーチャルモーターサイクルショーでのweb公開となった

しかし数年後、このプロジェクトは中止になったとされている。ということは、ファンの目を欺いて開発は続いていたということ? このあたりを、CB1000FコンセプトのLPL(開発責任者)を務めた原本貴之氏にうかがった。

「2020年に発表したCB-Fコンセプトに関しては、本当に一度は区切りがついています。さらに言うなら、今回のCB1000Fコンセプトは、『止めたものを、やっぱりやろう』ということでもありません。(2025年2月にファイナルエディションを発表した)CB1300スーパーフォアの終了というのが見えている状況の中、ホンダとして(その象徴である)CBの次世代モデルを開発するべきだというところを出発点に、新たな検討の中で生まれています」

つまり今回の開発は、最初から「CB-Fをつくる」という目標があったわけではない。「CBをつくること」がテーマだったのだ。では、これまでに多くのCBが存在する中で、どうして最終的にエフが選ばれたのか? これについて原本さんは、このように述べている。

「このプロジェクトを進める中で、さまざまなデザインスタディを続けると同時に、幅広い調査も実施しています。その中で、『詳しくは知らないけど見たことあるよね』とか『こういうバイクってカッコいいよね』というような市場の声がもっとも多かったのがエフなんです。もちろん、当時をご存知の方々には親しみやすいデザインかと思いますが、我々もちょっと意外だったのは、若い方々を含めてこのように感じる人の割合が非常に多く、だからこそモチーフとしてエフを使わせていただきました」

前述のように、大阪モーターサイクルショー会場では、多くの若い来場者が、CB1000Fコンセプトに好感の声を寄せていた。その光景にオジさん世代はちょっと驚かされたが、じつは開発陣にとっては、こうなることが確信的な光景だったのだ。だからこそ会場の壁となるパネルには、若者から支持を集める人気イラストレーターのNAKAKI PANTZに依頼したCB-Fのイラストが、大きく描かれていたのだ。

ちなみにLPLの原本さんは現在41歳。つまり、CB750F/900Fが新登場した1979年にはまだ生まれていない。「もちろん歴史としてのCB-Fは知っていましたが、オリジナルに乗った経験はありません」と話す。しかし今回のCB1000Fコンセプトは、乗り味を再現することがコンセプトではない。原本さんも、「デザインをモチーフに取り入れさせてもらうからといって、後ろを振り返って開発するべきではないし、現在できることを精一杯やった結晶がこのコンセプトモデルです!」と断言する。

NAKAKI PANTZに依頼したCB-Fのイラスト

ホーネットとの関係性は公表されなかったが……

正式にはアナウンスされていないが、今回発表されたCB1000Fコンセプトが、日本市場では2025年1月に発売されたCB1000ホーネットを土台に開発されていることは間違いない。原本さんも、「見ていただければ想像できるように、多くの部品をCB1000ホーネットと共有しています」とは認める。

一方で、「今回のCB1000Fコンセプトは、ストリートファイターではないスタンダードな(ネイキッドモデルの)CBとして、幅広いお客様にさまざまな用途で使っていただきたいというコンセプトの下で開発しています」という発言もあったことから、2017年型CBR1000RR(SC77)用をベースとする999cc水冷並列4気筒エンジンは、低中回転域重視にやや仕様変更されていることも考えられる。ちなみに、CB1000ホーネットの最高出力は152馬力となっている。また車体に関しても、とくに公表された事項はなかったが、現車の見た目から、シートレールの設計が専用化されていることだけは間違いない。

ホンダ CB1000ホーネット:2017年型CBR1000RRをベースにした999cc並列4気筒エンジンをスチール製のツインスパーフレームに搭載する

“あのライバル”への想いとは?

日本市場には、2018年型での発売以来7年連続で大型二輪クラスの国内新車販売台数トップに君臨し続ける、カワサキのZ900RSシリーズという巨星が存在する。こちらは、往年のZ1(900スーパー4)やZ2(750RS)をモチーフとしたモデルであり、オリジナルの新車販売時期こそCB750F/900Fと微妙なズレはあるが、CB1000FコンセプトにとってZ900RSは、意識せざるを得ない存在である。これについて原本さんは、このように気持ちを述べた。

「その存在を強く意識しています。といっても、敵対心とか対抗意識があるということではありません。日本のネイキッド市場において多くの支持を集めるバイクが1台しかない状況というのは、もちろんホンダとして悲しさや悔しさもありますが、二輪業界を考えたときに寂しい状況だと思います。だからこそ、肩を並べて切磋琢磨できるモデルの存在は必須。そういうバイクを、ホンダからお届けしたいという気持ちもあります」

カスタムコンセプトが示す、市販化の現実度

ところで、今回のショーにはさらなる隠し玉として、CB1000Fコンセプトをベースとした2台のカスタムモデルも用意されていた。1台は、あのBEAMS(正確にはアートやエンタメやデザインといったカルチャー領域をグローバルに推進するプロジェクトのBEAMS CULTUART)とタッグを組んだ「CB1000F meets GUCCIMAZE」。こちらは、若者に絶大な人気を誇るグラフィックデザイナーのGUCCIMAZEが、クリエイティブデザイナーとしてプロジェクトロゴのデザインからバイクの装飾や演出まで手がけている。

もう1台は、モリワキの手によるカスタムレーサー。こちらについては詳細な開発経緯や仕様などは未発表だが、ナイトロン製の前後サスやブレンボ製のブレーキシステム、オリジナルのアルミ製スイングアームなどでまとめられ、すぐにでもイベントレースに参戦できそうな仕上がりに見える。ちなみにモリワキは、熊本県のHSR九州で開催されている「鉄馬」というイベントレースにZ900RSで参戦し、2024年には春秋連覇も達成。CB1000Fが発売後は、モリワキの動向も気になるぞ!!

このように、コンセプトモデルと呼びながら他社とコラボしたマシンまで展示しておいて、「やっぱり市販しません」なんてことは、よほどのことがなければあり得ない。それどころか、他社とのプロジェクトがここまで進んでいることから、「CB1000Fの発売は意外と早い!?」と思われる。ちなみにプレスカンファレンスで室岡社長は、「近い将来、お客様にお届けられるように……」と発言。また、会場に飾られていたビームス号の解説ボードには、「CB1000Fの発売にあたり……」という一文も。これ、もしかして秋頃までには正式アナウンスを聞ける可能性があるんじゃない!

「CB1000F meets GUCCIMAZE」
モリワキの手によるカスタムレーサー。
CB1000Fコンセプトと株式会社ホンダモータサイクルジャパン代表取締役社長の室岡克博氏。
「CB1000Fの発売にあたり……」の一文が見えるビームス号の解説ボード。

レポート&撮影●田宮 徹

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