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【フロント19インチはオールラウンダーの証か否か? その4】旅する視点で2車を試す!! HONDA 400X vs BMW G310GS

19インチ・同クラスライバル車比較

この2台の「大きすぎない、重すぎない」アドベンチャーモデルは共に、日本の幅広いフィールドを様々な遊び方で旅する人に適したバイクであろう。
そんな観点から、未舗装路を交えたルートを実走し、両モデルのツーリング性能をチェックした。

report●廣瀬達也 photo●岡 拓
 

HONDA 400X

■Specifications

【エンジン・性能】種類:水冷4ストローク並列2気筒DOHC4バルブ ボア×ストローク:67.0×56.6㎜ 総排気量:399㎤ 最高出力:34kW<46ps>/9000rpm 最大トルク:38Nm<3.9㎏ m>/7500rpm 燃料タンク容量:17ℓ 変速機:6段リターン 
【寸法・重量】全長:2140 全幅:825 全高:1380 ホイールベース:1435 シート高:800(各㎜) 車両重量:196㎏ タイヤサイズ:Ⓕ110/80R19 Ⓡ160/60R17 
【カラー】赤、黒 価格●81万1080円
 

BMW G310GS

■Specifications

【エンジン・性能】種類:水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブ ボア×ストローク:80×62.1㎜ 総排気量:313㎤ 最高出力:25kW<34ps>/9500rpm 最大トルク:28Nm<2.9㎏ m>/7500rpm 燃料タンク容量:11ℓ 変速機:6段リターン 
【寸法・重量】全長:2075 全幅(ミラーを除く):880 全高(ミラーを除く):1230 ホイールベース:1420 シート高:835(各㎜) 車両重量:170㎏ タイヤサイズ:Ⓕ100/80R19 Ⓡ150/70R17 
【カラー】黒、赤、白 価格●68万2600円(黒、赤)、69万100円(白)

 

※本記事はMotorcyclist2019年7月号に掲載されていたものを再編集しています。

 

似て非なるライバル二車

400Xは、399㏄という排気量にフロント19インチの組み合わせで、アドベンチャーとしては他にあまりない位置取りのバイクであるが、同系統のバイクとしてはBMWのG310GSがいる。
このバイクは〝GS〟の名を授かった立派なアドベンチャーでありながら、兄弟車と比べると実に小さな排気量のエンジンを搭載しているという点で、400Xと同じく特異な存在だ。

ライディングポジションは共にアップライトであるが、GSのハンドルはより幅広く・低い位置に設定されている。
〝押さえ〟の効きそうなポジションであり、いかにも未舗装路で威力を発揮しそうだ。

また、単気筒エンジンを始めとする装備類のコンパクトさや軽さが、そんな感触をさらに強くしていると思われる。実際、整備された未舗装路を走ってみると〝十分に走り抜けられる〟400Xに対し、〝攻めたくなる〟GSという印象を受けた。
ともあれ、どちらも山奥の未舗装区間程度なら容易に走り抜けてくれるだろう2台について、ツーリングでの実力も比べてみた。

車格も車重もある400Xは、ゆったりしたライディングポジションが長時間の走行時に効果を発揮してくれそうだ。
大型化されたスクリーンも高速道路を巡航するのにありがたい装備である。
フロントの19インチ化は未舗装路での走破性を著しく向上させるものだが、だからといって舗装路での安定性の高さを犠牲にしている雰囲気はない。
荒れたオフロードを目指すのでなければ、どんなフィールドでも安心して走り抜けられるだけの性能と扱いやすさ。
それはまさに、日本の道路事情にうまくマッチするものである。

対してGSは、やはりより軽量でコンパクトな車体が印象深く、〝未舗装路をもっと素早く走りたくさせる〟性能だと、ツーリングでも強く感じさせた。
それは時にスタンディングポジションを取って路面からのショックを吸収したくなるような印象であり、400Xからはあまり感じられなかった一面だ。

ところでこの2台は、とある部分で優れたツーリング性能を有している。
それは、リヤシート周りだ。
近年のスポーツバイクの多くがお飾りのようなリヤシートとなっており、そこに積載できる荷物は限られた大きさのみ。
ところが、この2台のリヤシートは幅広く大きめ。さらに、グラブバーを利用することで簡単に荷物を固定できる。
旅のスタイルによって持っていく荷物の量も変わればバッグも変わるだろうが、そんなときにもフレキシブルに対応できるリヤ周りの形状もまた重要で、私は優れたツーリング性能のひとつだと考えるのである。

 

防風性・積載性

HONDA 400X

BMW G310GS

高速道路だけでなく、向かい風が強いときや長距離を走り続けるときにありがたいのがスクリーンの存在。
従来型よりさらに20㎜大きくなった400Xの優位性は言うまでもないが、未舗装路をハイペースで走るとなれば、短いスクリーン越しに確認するよりはダイレクトに路面を眺められるG310GSの方が便利という見方もある。
また、大きなグラブバーを備える2車の積載性は共に抜群。グラブバーの後端部はベルトを掛けやすい形状で好印象だ。

 

エンジン・足周り

HONDA 400X

BMW G310GS

低回転域からの安定した力強さを発揮する400Xの並列2気筒エンジンは粘り強い印象で、長距離走行などで安心感を披露するのに対し、軽やかな吹け上がりが魅力的なG310GSの単気筒エンジンは軽快な印象で、コントローラブルだと感じさせてくれた。
足周りもそれぞれの性格を物語るもので、ゆったり落ち着いたフィーリングの400Xに対し、G310GSはより未舗装路で活躍しそうな、ややハード気味なセッティングであった。

 

ライポジ・足着き

HONDA 400X

BMW G310GS

シートに対して相対的に低い位置にハンドルがセットされたG310GSは、少しだけ前傾に感じる。
それと比べれば400Xはゆったりしたポジションだと感じられる。
足着き性は400Xの方が良好で、これはサスの沈み込みが大きいことも要因だろう。
G310GSも決して足着きが悪い部類ではなく、写真のライダーは身長169㎝、体重53㎏だが、身長168㎝、体重73㎏のテスターが乗車した場合には、ややかかとが浮く程度だった。

 

オフロード性能

HONDA 400X

BMW G310GS

オンロードの、それも頻繁に切り返すワインディングなどでは持て余してしまいそうなG310GSの広く・低いハンドルは、未舗装路では「もっと攻めたくなる」ほどの扱いやすさを感じさせる。
軽量な車体のおかげで多少のスライドも気にならず、コントローラブルな操作性である。それと比べれば、不意な挙動の変化に驚かされるのが400X。
とはいえ、大排気量のアドベンチャーに比べれば、挙動変化はほほえんでしまうほどのレベルであるが……。

 

【フロント19インチはオールラウンダーの証か否か? その5】19インチ17インチだけじゃない、いろいろあったフロントタイヤの大きさ:順次公開

 

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