扱いやすいサイズとパワーであることや車検制度がないため年間の維持費が安いことなどから、幅広い年齢層のユーザーから人気を集めている250ccクラスのバイク。
もちろん定期的なメンテナンスは必須だが、車検の面倒さや出費がないだけでも維持のしやすさは段違い。展開している車種も多く、250ccバイクのみ複数台所有している強者もいるほどです。
しかし、なかには「250ccのバイクは排気量の大きなバイクに比べて大変な点が多いのでは?」と不安に思う人もいるかもしれません。
結論からいってしまえば、現在の250ccクラスのバイクは日常使いから長距離ツーリングまでそつなくこなし、「もうこれ1台でいいや!」と思っちゃうモデルが多数存在します。
当記事では、250ccバイクの気になる点をQ&A方式で紹介しましょう。
Q1:高速道路の巡航はやっぱりキツいですか?
→ A1:決してキツくはありません
法定速度の100km/hで走れない250ccモデルはありません。最近は120km/hに設定された試行区間もありますが、最高出力が20馬力のヤマハ セローやトリッカーといったモデルでもその速度で走り続けることはできます。
むしろ高速巡航の快適さは、エンジン出力よりもウインドプロテクション性能やサスペンション性能により左右されますので、高速走行に主眼を置いた車種選びが重要になってくるでしょう。
なお、ソロで走るならば不足は感じないですが、グループツーリングで大型バイクと混走する際は、加速性能の違いから差が開いてしまうことはあるかもしれません。
Q2:250ccクラスは1000kmを超えるロングツーリングにも使えますか?
→ A2:安心して使えます
夏の北海道では本州ナンバーの250ccモデルをよく目にします。スーパーカブやスクーターで巡る人も珍しくありません。
車体が大きく重くなれば取り回しに気を遣うようになりますので、地図を見ながら初めての地を旅するなら、取り回しが楽なバイクの方が安心でしょう。むしろ寄り道したり不慣れな道を走る場合は小型軽量なバイクの方が好都合でもあります。
現代のバイクなら耐久性も十分。安心してロングツーリングを楽しみましょう。
Q3:国産メーカーの海外生産車は品質面で不安はないの?
→ A3:以前より格段に向上しています
外装品の建て付けが悪かったり、ボルトやナットがオーバートルクだったりといったひと昔前に見られた品質面での問題は、最近ではほとんどありません。
海外生産車は部品も現地調達なのですが、その材料の品質もここ数年で大幅に向上していますし、開発は日本で行われているケースもあります。
グローバルモデルは製造コストと品質面を両立させ東南アジアの各工場より全世界へ出荷されています。その品質は世界基準といっても過言ではありませんので、安心して乗れるモデルがほとんどと考えていいでしょう。
Q4:250cc各車の最高速はいったいどれくらいなの?
→ A4:法定速度を大きく上回ります
厳密なテストを行っていませんが、クローズドコースでテストを行った際のデータとしては、38馬力のホンダ・CBR250RRで160km/h以上。また24馬力のスズキ・GSX250Rだと135〜140km/h、20馬力のヤマハ・セローで130〜135km/hほど(いずれもメーター読み)という結果でした。とはいえ、あくまでストレート区間でのメーター数値ですので、長い直線があればもう少し出るかもしれません。
実際に出すわけでなくても知りたいのが最高速というもの。40馬力を超えると言われるニンジャZX-25Rは果たしてどの程度なのか、今から期待が膨らみますね。
Q5:マフラーの交換によりパワーアップは期待できますか?
→ A5:ポン付けでは望み薄でしょう
以前は交換することで手軽に出力向上が見込めたマフラー交換ですが、現在はパワーアップよりも、サウンドチューニングや外観アップグレードのツールに有効なアイテムとなっています。
というのも最近のモデルは、環境規制をクリアするためにガソリンの濃度を薄くして燃焼させています。パワーアップに不利な状況下でいかに実用性能を高めるかにメーカーも腐心していますので、エンジンセッティング自体を変更しない限り大きなパワーアップは期待できないのが現実です。
ただし純正マフラーよりも抜けがよくなると考えられますので、高回転域での伸びが少し良くなることは期待できます。
Q6:簡単な心がけで燃費を良くする方法はありますか?
→ A6:“急”が付く動作をしないことです
トップギヤで最高出力発生回転数の半分ほどの回転数を維持して走ると往々にして燃費が良くなる傾向にあります。
ただし、トップギヤから急にアクセルを開けてダラダラと加速しようとすると、非常に燃費が悪くなります。急加速などをしなければ、WMTCモード値より低燃費で走ることも十分可能なので、ぜひ穏やかな走りを心がけてみてください。
ちなみにモーターサイクリスト誌の2018年9月号で行ったツーリングテストでは、2018年型ヤマハYZF-R25でカタログ値を超える31.8km/Lの燃費をマークしています。
Q7:250ccクラスのバイクに履けるハイグリップタイヤはありますか?
→ A7:ラジアル、バイアスともに設定があります
ラジアルではサーキットユースに適したピレリのディアブロスーパーコルサSCにCBR250RR、YZF-R25などへ装着可能なサイズがラインアップされており、バイアスではダンロップのTT900GPやブリヂストンのBT-39などがリーズナブルなハイグリップタイヤとして人気を博しています。スポーツ志向が高い人は、一度試してみるのもいいでしょう。
なおレースの世界では「いいタイヤを履けばタイムが縮まる」とまで言われています。ただしハンドリングはタイヤのキャラクターによって変わりますので、慣れるまでは注意が必要です。
いかがだったでしょうか?
上記のとおり250ccカテゴリーは、魅力的な現行車両が多く存在しているクラス。
もしかすると「250ccは400ccバイクの廉価モデルでしょ?」なんていう人もいるかもしれませんが、峠最強を誇ったホンダ・NSR250Rや若者から人気の高かったホーネットなどの人気車両がひしめいていた歴史を持っていることも忘れてはいけません。
もし今からバイクの購入を考えているならば、ぜひ魅力的な250ccモデルも検討してみてくださいね。
まとめ●モーサイ編集部
※本記事はモーターサイクリスト誌2020年2月号付録より抜粋・編集して掲載しています。