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Webまたはアプリから事前予約・事前決済してバイクやクルマの駐車場を利用できる駐車場のシェアリングサービス「akippa」が、自社サービスのユーザー1079人を対象にEV車(電気自動車)に関するアンケートを行ったところ、以下のような結果になりました。
EV車(電気自動車)を「欲しい」「とても欲しい」と回答した人は18%
まずは「EV車を欲しいと思いますか」という質問。
「欲しい」(12.6%)、「とても欲しい」(5.4%)と回答した人は合わせてもわずか18%。「欲しいとは思わない」(31.6%)を下回る結果になりました。
一方で、最も多かったのは「今は欲しくないが将来的には欲しい」(47.4%)という回答。「具体的な購入の展望はないが、興味は持っている」というのがユーザーのリアルな心境なのでしょうか。
また、これを回答者の年代別に見ると、「欲しいとは思わない」と回答した率が最も高いのは20代で、半数を超える52.2%でした。反対に「欲しい」「とても欲しい」が他の年代に比べ高かったのは、40代、50代という結果になりました。
また「既に持っている」と回答した人は40代以上が多いことがわかりました。


「買い替えサイクル」「充電設備」「購入費&維持費」がネックか
1つ目の質問で「今は欲しくないが将来的には欲しい」「欲しいとは思わない」と回答した人にその理由を挙げてもらったところ、「車を買い換える予定がない」(25.7%)が最も多い結果となりました。
次いで「自宅駐車場(月極含む)で充電ができない」(19.7%)僅差で3番目に「出かけた先で充電できる場所が少ない」(19.3%)が挙がり、合わせて39%と、充電設備に関する不安を持っている人が多いことが分かりました。
「その他」(5.5%)と回答する中には「充電に時間がかかる」「ガソリン車、マニュアル車が好き」「電磁波が怖い」といった意見も見られました。


5年以内にEV車購入予定の人はわずか6.5%
次いで「EV車の購入予定はありますか」という質問では、5年以内に購入予定のある人はわずか6.5%(すでに購入済み=1.9%を含む)にとどまりました。
5年後以降に購入予定のある人(6.7%)を含めても「具体的な購入予定のある人」は13.2%にとどまり、9割近くの人は「購入予定はない」と回答しています。

2020年に政府が発表した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」には、次のように表記されています。
遅くとも2030年代半ばまでに、乗用車新車販売で電動車100%を実現できるよう包括的な措置を講じる。
「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」
この記事を書いているのは2022年11月ですから、2030年代に突入するまではあと7年と少し。30年代「半ば」ということを考えても10年〜15年ほどの猶予しか残されていません。一般財団法人自動車検査登録情報協会が2021年3月に行った調査によると、普通乗用車の平均使用年数は13.87年ということですから、ユーザーが「次に購入するクルマ」がEV車でなければ「電動車100%」の実現は難しいように思えます。
2022年11月には政府が「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」の積み増しを決定
この状況を受け、2022年11月8日に閣議決定された令和4年度補正予算案では、「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金(電気自動車・プラグインハイブリッド自動車・燃料電池自動車等の車両購入に対する補助金)」、「クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等導入促進補助金(充電設備やV2H充放電設備の購入費及び工事費、水素ステーションの整備費及び運営費、外部給電器の購入費に対する補助金)」が盛り込まれました。
もともと「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」には全体の予算額が設定されており、日産や三菱が発売した軽EV車の販売が好調だったことなどから、2022年11月中にも上限に達し、受け付けが終了する見通しになっていました。

今回の積み増しは、事実上「補助期間の延長」となり、近い将来EV車を購入する意思のあるユーザーを後押しする意図があると見られます。
しかし、この補助金は新規登録、軽自動車の場合には新規検査届出といったいわゆる「新車」にしか適応されません。大手中古車販売店チェーンが20代を中心に行った調査では「初めて買ったクルマ」の約7割は中古車だったという結果もあり、「EV車の購入意欲が他世代より低く」「新車を買わない傾向にある」若い世代にEV車をどこまで浸透させていくことができるのか……というのも、今後の課題になっていくのではないでしょうか。
レポート●モーサイ編集部・中牟田歩実 写真●akippa/日産