コラム

バイク用のヘルメットとクルマのレース用ヘルメットは何が違う?

ヘルメットを被るのはバイクだけじゃない!!「F1などの四輪レースでもヘルメットは必須アイテム」

二輪、四輪を問わず、モータースポーツシーンではヘルメットを被るのは最低限のルールになっています。じつは四輪でも手軽な入門カテゴリーの「オートテスト」ではヘルメット不要だったりしますが、公道を利用するモータースポーツであるラリーでもドライバーやコドライバー(助手席に座ってルート作成などを行う選手)はヘルメットを被っているほど、欠かせないレーシングギアのひとつとなっています。

一方で、ご存知のように、レースでなくても日本の公道でバイクに乗るときは、ヘルメットを被ることが道路交通法で義務付けられています。

四輪モータースポーツの著名ドライバーが、バイクに乗る際に四輪で愛用しているヘルメットを被っていた……そんな情報に対し「二輪用ヘルメット以外を被ってバイクで公道を走るのは違反だ!」という指摘があったとか。

はたして、公道でバイクに乗るときに四輪用ヘルメットを被るのは道路交通法に違反するのでしょうか。

四輪レース用ヘルメット、アライ GP-6S。価格は6万3800円。

アライ GP-6S。

二輪用ヘルメット、アライ RX-7X。価格は6万1600円。

アライ RX-7X。

「クルマのレース用ヘルメット」を被ってバイクに乗るのは違反ではないが……

結論をいえば、違反にはなりません。四輪用ヘルメットは二輪に適しているは言い難い部分もありますし、二輪用の規格も満たしていませんが、ヘルメットを被っていれば合法というのが、いまの道路交通法です。

さて、二輪用ヘルメットには、いくつもの規格があります。代表的なのは、日本国内での販売を認可する条件であるPSCマークや、JIS規格といったものがあります。また、国際的な基準として5年ごとに見直されるSNELL(スネル)も知られているでしょう。そのほか一般のライダーにはあまり馴染みがないかもしれませんが、モータースポーツで使うためのFIM公認も、一種の規格といえるでしょう。

一方、道路交通法では上記のような規格について言及する記述はありません。
2022年9月現在、『道路交通法施行規則(昭和三十五年総理府令第六十号)』では、ヘルメットの基準について以下のように記されているのみです。

乗車用ヘルメットの基準は、次の各号に定めるとおりとする。
一 左右、上下の視野が十分とれること。
二 風圧によりひさしが垂れて視野を妨げることのない構造であること。
三 著しく聴力を損ねない構造であること。
四 衝撃吸収性があり、かつ、帽体が耐貫通性を有すること。
五 衝撃により容易に脱げないように固定できるあごひもを有すること。
六 重量が二キログラム以下であること。
七 人体を傷つけるおそれがある構造でないこと。

引用元:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335M50000002060

この文言を読み解く限り、公道でバイクに乗る際に求められるヘルメットの条件に、各種規格をクリアしているかどうかは不問といえます。ですから、四輪用ヘルメットを被ってバイクで公道を走るのは「違反」ではないといえるのです。

余談ですが、バイク用品店などで見かける半キャップのヘルメットの多くに「125cc以下での使用に限定する」といった旨の表示がありますが、あの表記にも法的な拘束力はありません。
仮に半キャップのヘルメットを被って大型バイクに乗ったとしても道路交通法での規定を読む限りは違反とはいえないのです。もっとも、これはあくまで「法律上」の話であって、PSCマークや、JIS規格を取得していないヘルメットを被ってのライディングは、安全を考えれば推奨できるものではありません。

とはいえ、半キャップの二輪用ヘルメットなどよりは、四輪用フルフェイスをかぶったほうが安全という見方もできます。

クルマ用ヘルメットの高い「耐火性」が、ライディングではネックに

ドライバーを乗せたままマシンが炎上することもある四輪レース。写真は1976年F1世界選手権でのジェームス・ハントとニキ・ラウダの好敵手関係を題材とした映画『ラッシュ/プライドと友情』のワンシーン。画像提供:ポニーキャニオン

では、実際に四輪用ヘルメットを被ってバイクに乗ってみるとどうなるのでしょうか。

ほとんどの方は、たまたま家に四輪用ヘルメットがあるということはないでしょうが、かつて四輪モータースポーツを嗜んでいた筆者宅には、入門モータースポーツに対応した四輪用のフルフェイスヘルメットがありました。

物は試しに、四輪用ヘルメットを被ってスクーターで街乗りしてみたのですが、率直な感想は「おすすめしない」というものでした。

二輪用と比較した際の四輪用ヘルメットの特徴は、耐火性に優れていることです。クラッシュ(事故)が発生した際、二輪ではライダーはマシンから振り落とされて離れるので、車体とともに炎に包まれてしまうといったシチュエーションは稀です。一方で、四輪の場合には炎上するマシンから脱出できず、車体とともに燃えてしまうドライバーが存在するのが現実です。

そのため、四輪用の内装やあご紐は難燃性の素材で作られています。さらに炎からドライバーを守るために開口部も二輪より小さめとなっていますし、通気口などもほとんど用意されていません。

開口部の違いによる視界の狭さは、意外とネガに感じませんでしたが、明らかに異なるのは通気性です。試してみたのが夏だったこともあり、公道を走っているとヘルメット内に熱がこもってきます。二輪用ヘルメットであればベンチレーションなども豊富で走行風による通気を実感できますが、四輪用ヘルメットにそうした機能はほとんどゼロといった印象で、長時間の使用はノーサンキューというのが正直な感想です。

憧れのF1ドライバーのレプリカヘルメットでバイクに乗りたいと思う人もいるかもしれませんが、リアリティを追求して四輪用ヘルメットにするのは止めておいたほうがいいでしょう。四輪ドライバーのカラーリングを真似るにしても、ヘルメット自体は二輪用を使ったほうが明らかに快適です。

なお、前述したようにモータースポーツで使う四輪用ヘルメットには耐火性が求められますから、公式戦で二輪用ヘルメットを使うのはNGとなっていることも少なくありません。四輪モータースポーツにチャレンジしようという際には、そのあたりのレギュレーションも確認しておきたいものです。

レポート●山本晋也 編集●中牟田歩実

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