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全国の道路上にはたくさんの標識や看板があります。「一時停止」や「一方通行」といった標識はみなさんも見たことがあるのではないでしょうか。
そんな標識や看板ですが、筆者の住む北海道には他の地域ではあまり見かけないような珍しいものがたくさんあります。
道内在住者にとっては当たり前の光景であっても、他県の人の目には珍しく映るものもあるはずです。
この記事では、そんな北海道内の標識を紹介します。
イラスト入りのカントリーサイン
カントリーサインとは、正式には「市町村案内標識」といい、町と町との境界に設置されています。
市町村案内標識自体は日本各地にありますが、そのほとんどが都道府県章や市町村章です。北海道の場合は、道内全域において全てがイラスト入りのものになっています。
市町村ごとにイラストが違っていて、その土地の名産品や有名なものがひと目でわかるようなものになっているので、その町の顔と言っても良いですね。
そのため、本州から北海道を訪れた人にとって、北海道のカントリーサインは大変珍しく感じるようで、テレビ番組で番組で特集されることも多いほど有名です。
しかし、設置当初は212あった市町村は、現在では合併により179になってしまいました。市町村が減少するということは、カントリーサインの種類も減るということなので少し寂しい気持ちになります。
「動物警戒標識」、正式名称「動物が飛び出すおそれあり標識」も豊富
本州に住む皆さんも、道路脇にシカやクマが描かれた標識が立っているのを見たことを見たことがあると思います。
正式名称は「動物が飛び出すおそれあり標識」といい、「動物が飛び出してくる可能性があるので注意して走行しなさい」という意味の道路標識です。一般的には「動物警戒標識」なんて呼ばれていますね。
動物警戒標識は、国土交通省や都道府県、市町村、高速道路や有料道路であれば運営会社など、その標識を立てる道路の管理者によって設置されます。
この絵柄には国土交通省が定める「標準」があり、「標準」の柄はシカ、タヌキ、サル、ウサギの4種類なのですが、それ以外の動物についても、各道路管理者が地域の実情にあわせて比較的自由にデザインすることができることになっています。
そのため、広大で豊かな自然の中にたくさんの野生動物、中には本州にほとんど生息しないような動物も住んでいる北海道では、動物警戒標識も個性的なものになっています。筆者のお気に入りをいくつか紹介しましょう。中には北海道だけでなく、一部東北地方など本州でも稀に見ることができるものもあります。
ウマ
ウマの産地として有名な北海道。サラブレットを繁殖して育成する「繁殖牝馬飼養場」(はんしょくひんばしようじょ)は、日本全国に808戸ありますが、うち北海道にあるものが738戸を占めています。特に北海道のなかでは温暖で積雪量も少ない胆振(いぶり)・日高地方に多く、北海道全土783戸のうち、684戸の繁殖牝馬飼養がこの地方にあります。
そんな胆振・日高地方や十勝等の一部地域で見かける「ウマの動物警戒標識」には騎手が乗っているものもあり、バリエーションに富んでいます。
ウシ
北海道といえばウシが放牧されている様子を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。それもそのはず、北海道におけるウシの飼養頭数は134万5600頭で内訳は乳牛が82万900頭、肉牛が52万4700頭(農林水産省北海道農政事務所統計部発表の令和2年11月畜産統計より)だといい、これは全国の飼養頭数の4割近くを占める数字です。
そんな北海道には「ウシの動物警戒標識」がたくさんあります。数がある分だけバリエーションも豊富で、動物警戒標識にありがちな動物のシルエットだけのものの他にも、ウシのイラストに白と黒の色がつけられたものや、やたらとリアルなウシが描かれたもの、逆にアニメタッチでニコニコ笑顔のウシが描かれたものなどがあります。
キタキツネ
北海道のアイドル動物と言えばキタキツネではないでしょうか。
さすがに「動物警戒標識」の鉄板「シカ注意」の程の本数はありませんが、「キタキツネの動物警戒標識」は北海道全域ででまんべんなく見られます。
北海道の茅部郡から士別市まで南北に伸びる高速道路「道央自動車道」上に、まるで某有名カップラーメンのような「赤いきつねと緑のたぬき」の標識があるというのは、標識マニアの間では有名な話です。また、筆者は見たことがないのですが、十勝地方では親子のキタキツネの標識にも会えるとか!?
エゾヒキガエル
エゾヒキガエルは北海道固有のカエルで、東北地方から近畿地方にかけて本土に生息するアズマヒキガエルと比較すると少し小さいのが特徴です。現代ではアズマヒキガエルや鈴鹿山脈以西の近畿地方南部から山陽地方を中心に自然分布するニホンヒキガエルとの交配が進み、絶滅が危ぶまれています。
そんなエゾヒキガエルは日光浴が大好きで、道路の真ん中にじっとしていることが多くあります。それをクルマやバイクで轢いてしまわないように、注意を喚起するのがこの標識です。なかなか衝撃的なデザインですよね。
いかがでしたしょうか。
これまで紹介したように、北海道には本州ではあまり見かけないデザインの標識がたくさんあります。
特に北海道の「動物警戒標識」は非常に数多くの種類があって、広大で自然豊かな土地であることを再確認させてくれます。
皆さんもツーリングやドライブなど北海道を訪れる際には、大自然を楽しみつつ、珍しい標識や看板を探してみてはいかがでしょうか。
レポート●又村孝幸 写真●北海道観光局/モーサイ編集部 編集●中牟田歩実