目次
ツーリングの幅を広げてくれる高速道路の利用。近年は小排気量車の中にも高速走行を安心してこなせるモデルが多く登場しており、週末は仲間と共にツーリングに出かけたり、バイクで旅行をしたりと、高速道路の利用はますます増えているのではないでしょうか。
そして高速道路を走行していると、ふと見かける「SOS」と大きく書かれた非常電話。走行中に意識して確認してみると、等間隔で絶え間なく設置されていることに気付くと思います。
非常電話は高速道路走行中に事故や故障が起きた時に救援を呼ぶためのもの。
しかし、よく考えてみると、多くの人が1人1台携帯電話・スマートフォンを持つこの時代(総務省が行なった『令和3年 通信利用動向調査・モバイル端末の保有状況』調査によると、回答者の約83%が“携帯電話”を所持、そのうち約70%がスマートフォンを利用しています)に、わざわざ非常電話を設置する意味はあるのでしょうか。
事故や故障時にスマホしか持っていないとこんな不便が
緊急時に手持ちのスマホから助けを呼ぶ場合は、道路緊急ダイヤルである「#9910」に連絡する必要があります。この番号は高速道路走行中に緊急事態を発見した時に連絡し、迅速に対応してもらうためのもので、24時間365日いつでも通話料無料で利用できます。
ただし、道路緊急ダイヤルに連絡すると、まず初めに自動音声ガイダンスに沿って道路名を選択し、管理者に停車場所を知らせるという手順を踏まなければいけません。
しかし、実際路側帯に緊急停車してから道路緊急ダイヤルへ連絡となると、なかなか上手くいかないのも事実。頭の中はパニックになり、そもそも緊急ダイヤルの番号をを思い出すことすら難しくなるでしょう。
また、管理者に自分の停車位置を知らせる際、路側帯に100mおきに設置されている(ICやJCTなどは20mおき)「キロポスト」標識の数字を知らせる必要がありますが、夜間や天候が悪いと、発見すること自体が困難。そうなると余計に焦ってしまい、ますますパニックに陥るでしょう。
さらに、トンネルの中や山岳地帯の走行中だと、そもそも電波が入らずスマホ自体が使えないというケースも出てきます。誰も通らない山間部を走行中に緊急停車し、救援を呼べない状況を経験すると、バイクで高速道路を走行すること自体がトラウマになるかもしれません。
非常電話は「道路管制センター」に直接繋がり、即座に場所も特定!!
そこで重宝するのが高速道路に備え付けの非常電話となります。非常電話は高速道路の本線上やインターチェンジ(IC)、サービスエリア(SA)、パーキングエリア(PA)などに設置されています。また、本線上では1kmおき、トンネル内では200mおきの等間隔に設置されています。
非常電話は受話器を取るだけで管轄の道路管理センターに繋がるため、わざわざ道路緊急ダイヤルの電話番号を調べる必要もありません。
さらに道路管理センターには自動的にどの非常電話から連絡しているかの情報も伝わるため、停車位置を細かく伝える必要もありません。この機能は土地勘の無いところでのトラブルで非常に重宝します。
ほかにも非常電話には「故障」「事故」「救急」「火災」のボタンも備え付けられているため、会話ができなくても状況を伝えることができるようになっています。もしパニックになって会話が上手く出来なかったとしても、ボタンさえ押してしまえば救援を呼ぶことが可能。管制官から適切な対処方法も教えてもらえるため、非常に心強い存在となります。
ちなみにトンネル内など騒音が激しい場所では、スムーズに管制官の声が聞き取れるように、骨伝導式非常電話が設置されています。
やっぱり命綱として「非常電話」はあった方が良い
非常電話は本線上で1kmおきに設置となっているため、停止場所によってはかなりの距離を歩かなければいけないこともあります。
路側帯とはいえ、高速道路上を歩くのは大変危険。ガードレール外という足場の悪いところを歩かなければいけないのも大きなデメリットです。そう考えると、わざわざ非常電話を探すよりスマホから連絡してしまった方が手っ取り早いと思うかもしれません。
しかし、非常電話はその名の通り非常時に救援を呼ぶためだけに設計されているもの。状況によっては非常電話から連絡する方がすぐに対応できることがあります。さらに、高速道路に非常電話が設置されているだけで安心感が得られるのも大きなメリットではないでしょうか。
そう考えると、スマホの普及率が8割を超える今の時代でも、非常電話は最後の命綱としてあった方が良いと考えられます。
もし高速道路走行中にトラブルに見舞われたら、慌てずに非常電話の位置を確認し、近くにあれば迷わず利用することをおすすめします。
レポート●モリバイク 編集●モーサイ編集部・中牟田歩実