バイクライフ

【プロカメラマン】が大量画像で記録!「腐ったKLX125のチェーンガイドを、回転するよう加工しながらのパーツ交換」

チェーンガイドが「丸いのに回らない」とは?

こんにちはー! 乗るのもいじるのも大好き!カメラマンの小見です。

まだ2000km走行ということで買った中古KLX125はあちらこちらがサビサビ。ふとチェーンガイド見るとここもヘンな減り方をしています。これは交換ですね……というのが今回のお題。

このKLX125が、2000km走行の中古車なのに意外とあちらこちらがやれていた……というもの。

そもそも、先のリヤサスのリフレッシュ作業の際に、スイングアームのバリ取りや溶接スパッタ取りの作業にも励んだわけなのですが、そのときの画像掲載点数がイマイチ少なかったので、まずは腐心したカットをご覧ください!

※以下、画像は【画像ギャラリー】にもまとめてありますのでご覧ください。

KLX125 スイングアーム加工。
KLX125 スイングアーム加工。

キレイですよね!? 今回のお題とはあまり関係ないのですが、自慢したくて見ていただきました。

で、こんな感じでスイングアームの下処理をしたときに気になったのが、ゴム部分が摩耗したチェーンガイド……というわけなのです。なんでこういう減り方をしているんだろう?って。見た目は丸いので、てっきり回転する構造かと思ったんですが……どうもそうではないらしい。

丸かったチェーンガイドの上半分だけが削れてしまっていて、回転はしていなそう。

KLX125系愛好者の方でこの部分が気になって手を入れた方は多いのではないでしょうか。じつはワタシ、最初に純正のローラー(品名はチェーンガイド?)を発注してみたんです。

純正の新品パーツ(左)と、摩耗が進んでいた純正のチェーンガイド(右)。

シャフト部分のボルトも取り寄せてみたものの、ローラーの内径とクリアランスはこのように隙間が大きくてざっくりした寸法設定です。もしかしたら新品だと回転するのでしょうか?

純正はクリアランスが大きかった。

パーツを探し、最終的には自分で加工して回すことに!

それで、いちど車体に組み付けてみたのですが、やっぱりどう組んでも回転しないんですよね。こうなると、どーしても回るようにしないと気が済まなくなってしまいました。

ネットで調べてみると、鈴鹿のセレクション(http://selection-web.com/)という会社から良さそうなキットが発売されていました(作業当時と現在は仕様が変わっているかもしれません)。

ついでなので、良さそうなアクスルシャフト用のナットも同時に購入してみました。

セレクション製のパーツ。左はアクスルシャフト用のナット。
セレクション製のチェーンガイドは、ゴムリングがかかる。

ゴムリングをローラーに取り付けてチェーンの騒音対策を考えたらしい親切構造です。中に入るカラーも肉厚があって丈夫そう。なかなかよく出来た製品で好ましいです。

ただ、先に買ってしまった純正の(動かない)ローラーを廃棄するのも癪なんですよね。

そこでセレクションさんの製品と純正の寸法を計ってみて、比較してみました。内側が純正の組み合わせ、外側がセレクション製です。寸法の違いが分かるでしょうか?

純正とセレクション製では、各部の寸法が異なる。

セレクション製ローラーとカラーのクリアランスは動きやすさを重視したようで微妙に大きめ。純正ローラーのセンターには中央に突起(チェーン側のローラー部に当たる部分)があるのが個人的には好みでもあります。どうしよう? KLX125は後期型ローラーにはセンターに突起があるが、前期型にはないようです。

考えた結果、セレクションさんには恐縮ですが純正ローラー内側を削ってセレクションのカラーを先に使ってみる方法を考えつきました。せっかくの同社4本ゴムリング付きローラーは保管しておき、予備にしておくことに。

けど、硬質ゴムといえど果たして思惑どおりに削れるのでしょうか?

ゴムだけど、なんとか旋盤で削れた!

旋盤作業でチェーンガイドのゴムパーツにバイトを当てる。削って内径を広げてみた。

手持ちの小型旋盤に純正のチェーンガイドを取り付けて、まずお試しで削り作業に取り掛かります。金属と違い柔らかいローラーが何度か固定するチャックから外れかけたものの、バイト(刃)の入る側を入れ替えながら内側をジワジワ削った結果、内径をセレクションのカラーに合わせた拡大ができました。

これでセレクションのインナーカラーがスルスル回ってくれれば、強度向上版の純正“改”ローラー?ということになるのでしょうか。

純正新品の内径拡大仕様ゴムに、セレクション製のカラーを組んでみた。

セレクションのカラーは内径が取り付けボルト外寸により近く、肉厚があって良い。内側を削った純正ローラーは指で回すとスル~と回る感触。クリアランスはやや少なめにしました。

この組み合わせにKUREのグリスを少量塗り込んで車体に組み付けてみます。

チェーンガイドの中央にある突起が、チェーンのローラー部分に当たっているのがよくわかる。

純正ローラー中央部のリブ(突起)はチェーンのローラー部に当たるようになっています。チェーンが左右にズレる範囲が多少は抑制される感じになるのではないでしょうか。

カラーがしっかりしたおかげでガイドのローラーがスルスル回る。見た目はノーマルだけど“別物”になりました。

チェーンガイドの交換が終わったので、リヤアクスルのナットをセレクション製のロック式に交換。同時期に再めっきを終えたチェーン引きパーツのユニクロめっきの輝きもあいまって、この部分だけは新車のよう!?

リヤアクスルのあたりは、まるで新品パーツばかりで組んだかのような輝きが!

お天気も良く、テスト的に近郊をのんびり走ってみましたが、減速時に鳴っていた嫌な音も消えていて快適です。その後も数度、試走を繰り返してみましたが、チェーンガイドのローラーはちゃ~んと回ってくれているようです。

さらに円滑に回るよう、自転車業界では定評のあるシマノの「ケーブルグリス」をテストしてみます。KUREのグリス(こっちの方が粘度が高い)を拭き取り、ケーブルグリスを薄めに塗布して組みました。ロードバイクとかMTBのメンテでは、自転車界のプロメカニックも愛用の高性能グリスなのです。

シマノの「ケーブルグリス」

その後の走行では、KLXを買った当初気になっていた減速時のガチャガチャ音は完全に消滅。排気音や通常のチェーンの音以外の走行雑音はほぼなくなりました。これで納得!


バイク乗りのための「ひと工夫撮影機材アドバイス」

近年、車載撮影を楽しむためGoPro等を愛用されている方も増えていると思います。このKLXでもしばしば使用することがあります。せっかくですから二輪&野外取材で使っているアイテムをご紹介いたしましょう。

こうした車体の手直しの合間には、撮影用小道具の整備・改造もしばしば実施しているのです。

軍用品のリグに一眼レフやGoProを即座に装着/取り外しできる部品を組み合わせた特殊小道具?です。

胸部にGoProなどを付けて撮影できるようにするためには!

大袈裟に見えますがこれには理由があるのです。もしもの衝突や転倒時の胸部の保護にもなる前面パッド、ここのモール部分にT型の金具を使用してこのインダクションキャッチに組み合わせた金属製台座や一眼レフを取り付けるためです。

しっかりと上半身に装着するためカメラは安定しています。スタンディングでの走行中でも揺れが少ないです。

スムーズにはまり、ガッチリと固定される取付部。

この部分が磁力で吸い寄せられるようにカチっとはまり、さらに押し込むと上部のロックが自動的にかかります。一眼レフも確実にロックされます。この組み合わせでは中国機材メーカーの四角い折り畳み雲台を装着しています。

磁力式ホルスター部分は、東大阪の下西製作所のご協力によって自分で試作的にこの組み合わせを製作しました。市販版は、iCarry /インダクションキャッチという名称で発売されていると思います。

体に装着する「リグ」は埼玉の特殊部隊向け装備の開発で著名な田村装備開発で発売のUCR-Rというヒット作です。(※ご参考までに、本来はこういう用途の製品 https://tamurasoubi.co.jp/item/5275/

ホルスター部分からチャチャっと外すと、現場でも台座ごと地面に近いアングルにGoProをセットできます。もともと不安定な山岳レースの現場等では小石を使って四角い雲台を安定させて仕掛けることが多いです。

閉鎖されたレース区間をハイペースで走る際には胸部の負担を軽減させる必要があります。そのためこの台座も徹底的に軽量化したり、角を丸めて怪我の防止措置を講じた加工をしたりしています。一眼を付けるときには、これは外します。

台座に接合されたGoPro。

また、軍用のチェストリグゆえに自動小銃のマガジンを入れるポケットがあって、そこには固形の携帯食なり小型チューブ式の栄養ゼリーが入ります。孤立した現場では、こんな些細な栄養補給がありがたいのです。

いっぱいあるポケットも利用しやすい。

カロリーメイトはハーフサイズが売り切れだったので、レギュラー版を半分に切ってマガジンポケットへ。M4系小銃の弾倉が3個入るくらいのポケットは、このように撮影移動間の行動食ポケットに転用可能。

こうして装着視点でご覧いただくとゴープロの位置を微妙に上下・前後してアングルの調整ができるのがお分かりいただけるでしょうか。自己保有のバイク以外でも乗車する車種に合わせた調整が楽なのです。

レポート&撮影●小見哲彦 

取材協力●

下西製作所 https://shimonishi.net/

田村装備開発 https://tamurasoubi.co.jp/

○プロフィール
小見哲彦

無類のバイク好きカメラマン。
大手通信社や新聞社の報道ライダーとしてバイク漬けになった後、写真総合会社にて修行、一流ファッションカメラマン、商品撮影エキスパートのアシスタントを経て独立。神奈川二科展、コダック・スタジオフォトコンテスト等に入選。大手企業の商品広告撮影をしつつも、国内/国外問わず大好きなバイクを撮るように。『モーターサイクリスト』誌ほか多数のバイク雑誌にて撮影。防衛関係の公的機関から、年間写真コンテストの審査員と広報担当人員への写真教育指導を2021年より依頼されている。

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