コラム

ガソリンスタンドに「売り切れ」は存在する? “在庫”はどこに保管している?

クルマやバイクのユーザーなら頻繁にお世話になっているであろうガソリンスタンド。なくてはならないインフラのひとつですが、みなさんはガソリンスタンドのガソリンが「売り切れ」ているという状況に遭遇したことはありますか?なかなかそんな状況を見たことのある人はいないのではないでしょうか。

軽自動車でも約30L、大型車であれば約100Lのタンク容量を持つクルマたちが、立地によっては1日に何百台も訪れるのですから、膨大な量の「在庫」が必要になるでしょう。しかし、地上の建造物を見るかぎり、そんなに大きな貯蔵スペースがあるとは思えません。「水道のように地下のパイプからほぼ無尽蔵に送られてくるんじゃないか」なんて都市伝説のようなウワサも耳にしたことがありますが、果たして本当なのでしょうか。

この記事では、ガソリンに「売り切れ」は存在するのか、膨大な量のガソリンをどこに「在庫」しているのか解説します。

プチ雑学として暇つぶし程度にお付き合いください。

ガソリンスタンドの地下には容量約1万リットルの貯蔵タンクが!!

ガソリンスタンドでは、ガソリンは地下にあるタンクで貯蔵しています。スタンドが所在する地域や周辺の道路状況によって貯蔵量はさまざまですが、タンク1基につきおおよそ1万リットル=車に換算すると2000台分以上貯蔵でき、幹線道路付近などの大きなスタンドではそのタンクを複数基備えています。

しかも、専用のタンクローリーで1日に数回補充を行うため、基本的に売り切れることはありません。加えて、配送元の製油所も24時間365日稼働しているので、多少イレギュラーな事態が発生しても、インフラとしての機能を失う可能性は低いでしょう。

ガソリンや軽油を運ぶタンクローリー。運ぶものの種類によって、タンクローリーの造りも様々ですが、可燃性の液体を運ぶタンクローリーは消防法で「移動タンク貯蔵所」と位置づけられ、ガソリンなどの危険物第四種(引火性液体)を運搬する場合、タンクの容量は3万リットル以下と決められています。

ガソリンスタンドの「超優秀」な在庫管理事情

では、ガソリンの在庫はどのように管理することで売り切れを防いでいるのでしょうか。

前述のとおり、ガソリンは日に数回タンクローリーで補充しますが、その補充量についてはあるシステムを用いて予測を立てています。あるシステムとは、コンビニなどの小売業で一般的に用いられるPOS(販売時点情報管理)システムです。

POSシステムは、リアルタイムで販売されたガソリンの油種や量から近い将来の需要を予測し発注することができる大変優れたシステムです。これを用いることで、多少需要の増減があったとしても、石油元売りメーカーからの補充で対応することが可能です。

ごくまれにガソリンが「売り切れ」ることも

ガソリンの貯蔵と在庫管理の仕組みは理解できましたが、無尽蔵に溢れ続けるものではない以上、ごく稀にですが売り切れが生じることもあります。
これほど優れた在庫管理のシステムがあるにもかかわらず、売り切れになってしまうのはどのような場合なのでしょうか。

まず、最も可能性として生じやすいのが、真冬の豪雪地帯でのタンクローリー稼働不可の場合です。これは在庫管理と直接関係はありませんが、北海道などの雪国ではしばしば見舞われる事態です。雪国に住んでいる人々にとっては少なからず経験があることなので、真冬の時期は常にガソリンを満タンに近い状態にする人も多いようです。

次に、これが売り切れになる最大かつほぼ唯一の状況かと思われますが、災害時における需要増と供給縮小です。特に大地震発生時は、交通網の混乱や大渋滞の発生から、タンクローリーでの供給が大幅に遅れてしまいます。皆さんも、災害時のガソリンスタンドに給油待ちの長蛇の列ができているのをTVニュースなどで一度は見たことがあるのではないでしょうか。

また、大型台風接近時も、上陸に備えて給油しておこうと考えた人が殺到し、あらかじめ予測して発注しておいた量を上回る需要に見舞われ、売り切れになることがあるようです。

いずれにせよ、災害や天候そのものはある程度までは予測できても、実際にどの程度発注量をコントロールするかという細かなレベルでは適切な量の算出は困難なのでしょう。

豪雪地帯では積雪によりタンクローリーが稼働できない日もあるため、ガソリンの売り切れに備えて自家用車のガソリンタンクを常に満タンにするよう心がけるドライバーも多いのだそう。

レポート●糀本 拓也 編集●モーサイ編集部・中牟田歩実

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