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■タイトル写真:前から見ればスポーツスターの面影があるのに、横から見るとなんだか国産車っぽいタンクになっちゃった!?
合体タンクのパテ成形作業は、盛っては削っての繰り返し
こんにちは、カメラマンの小見です。前回=第8話では、エイプのノーマルタンクとハーレーのスポーツスターのタンクを合体させたところまでをご覧いただきました。
狩野溶接の狩野敏也社長による慎重な合わせ作業で、タンク同士の点付けと底板の増設まで進み、今度は私自身の頑張りどころです。曲率の違う2つのタンクの帳尻をどう合わせるか、パテ成形で互いの曲面をなるべく自然に繋げたいところです。使用するパテは、以前から使い慣れたロックのポリパテを使用し、道具類もパテのヘラや硬化剤と混ぜやすいサイズのアルミ板、スクレーパー、固まったパテをその都度除去するのに便利なのでカッター、アセトン&ウエスなどを用意します。
タンク前部の極端なアールの違いを繋げるには、硬化したパテの上からさらに盛り上げて肉厚を稼いでから削りにかかったり、薄く仕上げたい部分は削っては盛っての繰り返しとなります。
パテを塗り始める前に、タンク同士の合わせの隙間に錆止めのジンクスプレー(亜鉛)を十分吹き込み、長期間錆が発生しにくいよう念を入れて翌日まで乾燥待ち。そしてパテ塗りの初期段階では、点付けの溶接で空いていた隙間をふさぐ事に集中。そこでまた少し気長に硬化を待って、余分なパテを削りました。

■タンクのパテ作業前には隙間や地肌、合わせ部分の錆止め処理を実施。

■隙間や溶接で下地の出た部分に、ジンク(錆止め)をしっかり塗布しておきます。

■缶のフタをこじ開けるマイナスドライバーは省き、使用した道具類です。

■パテ作業の初期段階。まずは隙間や段差の深い部分にパテを指先で詰め込みます。

■タンク後部も、隙間が開き気味なところは少し詰めては乾かして、の繰り返し。

■ひとまず隙間が埋まり、この日はこのままじっくり硬化させておきました。この段階ではまだハーレー純正のロゴマークが付いています。
凹みの大きめな部分に徐々にパテを足していき、次第に曲線が繋がっていくのを左右見比べながら、盛り付けては削っての繰り返しでした。タンクの後部も隙間がやや大きめだったため、パテを押し込んで隙間を密閉して段差を減らして行きました。余分に出っ張ってしまう鉄部分は微妙にポリッシャーで削って面を整え、先々に想定しているダートラシートとの繋がりも踏まえて整形していきます。
タンク上面の純正タンクキャップの周辺は、推定2mm程度の厚みでスポーツスターのタンクと面の繋がりが自然に見えるようになりました。そして、ポリパテの消費は1缶少々でどうにか済んだように思います(残りは、来るべきシートの補強や改造に使う可能性を考えて保存しておきます)。

■給油口周辺の段差を埋めるための初期段階。まだ凹みが残ってますね。

■パテを混ぜるためのアルミ10mm板は、次回の作業のために残りパテを必ず削ぎ落として手入れをします。

■タンク最前部の合わせ部分。ここもじっくり硬化させながら、パテを詰めて盛り付けしました。

■給油口付近の面出し。板材にペーパーを巻き付け、面を整えるためのサンディングです。

■タンク前部の曲線が次第に繋がります。凹みにエアを噛ませないよう、さらにパテを詰めます。

■タンク上面から後端にかけて、元からあった微妙な凹みもパテを薄付けして対処しました。

■やはり、この部分の繋がりが一番苦心しました。何度も盛っては削っての繰り返しでした。

■最後は、明らかにヤケクソ気味に盛っていたのが後からも分かります(笑)。

■しかし、根性で次第にタンクの表面は陶器のようなしっとり感へ(?) 。まだまだ先は長いけれども。

■とはいえ、「カタチが思うように左右対称にならん!」と、またヤケ気味になったりして。

■そして、作業の途中では純正のタンクキャップがちゃんと開閉できるかもチェックします。

■キャップが普通に使用できるほか、ひとまず周辺の面も整いました♪

■そして、タンク前側の整形作業での格闘は続く。

■タンクの整形がだいぶ進んだものの、塗装前に純正のマークをどうするか考え込む。

■「マスキングして活かそうか?」とも考えてみたものの、位置がイマイチ合ってません。結局シブシブ削り落としました。

■「整形はほぼ出来た!」と思いつつ、少し冷静になって観察。横から見るとなんだかカワサキ・ザッパー(Z650)に似てね…?

■前から見ればスポスタの断面イメージは残っているものの、ちと複雑な心境。
ダートラ風シートのほか、衝動的に思いついてしまったZ650風シート&テール案も実行
ハーレーのダートトラッカー方向のカスタムでは、実際によく使われているストーツ(STORZ)の製品が最良かもしれませんが、車格の小さなエイプに頑張ってストーツを合わせても、カット箇所が多くなりもったいない気がします。何か程よい社外品はないものかと検索していると、丁度良さそうなダートラ風FRPシートをネットオークションで発見。調べてみると、これはヤマハTZM50用のカスタムシートの模様。
大阪府堺市のオーズさんという工房で少数製作されたダートラ風FRPシートと商品説明がありました。シンプルな白色ゲルコート仕上げで、エイプに合わせて追加加工するには良さそうだったのです。
そして実物をエイプの車体に置いてみると、タンク後部の取り付け部の出っ張りが干渉してシート前部が浮き上がってしまいます。その程度は想定内なので、FRPの追加加工で切り貼りすれば良いでしょう。そして実物は薄手で軽量に仕上がっているので、ダートラやちょっとしたスポーツ走行のライディングで抜重したり抜重後に体重がドスンとかかった瞬間の荷重で割れないように、少し補強しておいた方が良いかなと思いました。市販車のABS樹脂の柔軟性と比べると、薄手なFRPシートベースでは少し耐ショック性を上げておいたほうがいいと考えて、材料も手配し始めました。

■これがネットオークションで入手したFRP製のダートラシート。軽くてなかなか良い感じ。

■ただしTZM50用とのことなので、ここらは追加加工しないと駄目ですね。

■車体に載せてみると、現状では前が浮いてますが、ソレっぽくなりそうな気がしてきました。
その一方で、出来上がった加工タンクのサイドシルエットをじっくり見ると、ハーレー系というより、何だか昔親しんだカワサキの旧Z系のタンクっぽい気がしなくもない(予想外でした)。そこで、手持ちの予備部品の中にZ2型のテールカウルがあったなと思い出して物置を探したら、ありましたよ♪
ダートラシート手直しで神経を使うだろうし、ついでなので少し脱線して「エイプに着せ替えの選択肢を追加してしまおう!」と、オプションの外装とノーマルシートとの組み合わせを思いつきました。
モンキーやミニバイクをカワサキのZ2/Z1仕様にする方は多いと思いますが、物好きにもZ650(ザッパー)仕様を作る人はほぼいない。ひねくれ者で元ザッパー乗りだった私としては、ちとそそる方向性です。かくして、丸っこいZ2テールを平たく削ってみたり、ショルダー部の肉付け、縁周辺にリブの追加加工でパテを使ったりしていたら案外時間を取られてしまいました。
「ちょいと余計な事に手を出したかも?」とも思いましたが、これはこれでプラリペアを乱用したりタミヤパテも駆使して面白かったのです。

■元はモンキー用のゼッツーテールだったかもしれないブツを倉庫で発見。やや脱線ですが、これもイジってみよう。

■こちらの加工を始めたついでに、調子に乗って昔使っていたゼッケンを付けてみました。

■Z2とZ650の違いは、曲率と平面の比率なんですよね。削り過ぎて穴空いちゃいました。

■空いた穴をプラリペアでテキトーに直し、最後端のリブはプラ板をつなげて構築。

■リブの強度をプラリペアで稼いで固めたら、側面にかけてのエッジをパテで作ります。

■ここのフチの段差を整えないとザッパーらしくならんので、意地になって作業を続けます。

■本筋の車体をやらずに、「なんでこうまで脱線したかな?」っていうテールの造形作業ですが、整ってきました。

■格闘の末、元のゼッツーっぽい形状からザッパーらしくなってきました。脱線は承知ながらも、これはこれで嬉しい。
一方本筋のほうでは、小遣いの余裕を見てFRPの素材を補填し、いよいよFRPのダートラシートの帳尻合わせにかかります。タンクとの繋がりや、実際走った時にリーンアウト気味で乗る事やお尻の動かしやすさも考えて、シートの断面形状まで検討したいところ。次回はシートのFRP作業とタンク&シートの塗装編をお届けする予定です。(つづく)

■実際には、シート成形二つを同時進行でやっていました。FRPシート(右下)の追加加工も開始っ!
文と写真●小見哲彦
小見哲彦(こみ・てつひこ)
無類のバイク好きカメラマン。 大手通信社や新聞社の報道ライダーを経験してバイク漬けになった後、写真総合会社にて修行、一流ファッションカメラマン、商品撮影エキスパートのアシスタントを経て独立。神奈川二科展、コダック・スタジオフォトコンテスト等に入選。大手企業の商品広告撮影をしつつも、国内/国外問わず大好きなバイクを撮るように。『モーターサイクリスト』誌ほか多数のバイク雑誌にて撮影。2021年からは、防衛関係の公的機関から、年間写真コンテストの審査員と広報担当人員への写真教育指導を依頼されている。




































