バイクライフ

「横浜ホットロッドカスタムショー2024」レーシングなハーレーに耐久レーサー風エンフィールド!? 最新モーターカルチャーをチェック!

会場に満ちたカスタムマシンの熱気、バイクメーカー自らのカスタムも定番化

去る12月1日に開催された第32回横浜ホットロッドカスタムショーは、昨年(2023年)を上回る3万人の来場者を迎え、モーターカルチャーの盛り上がりを感じさせるものとなりました。

最新のカスタムバイクやホットロッドが所狭しとディスプレイされ、来場者だけでなく出展者たちの熱気もアゲアゲ。アメリカンなカスタムカーの展示からスタートしたホットロッドカスタムショーも、今ではバイクが主流かと思うほど展示台数が増え、カスタムバイクファンにとっては目が離せないイベントとなっています。

こうしたファンに応えようと、しばらく前からバイクメーカー自らがカスタムマシンを作り上げて出展しているのはご存じかと。それらバイクメーカーによるカスタムマシンの数々は、カスタム好きの方だけでなく、バイクファンの皆さんを胸アツにしたことでしょう。

ハーレーダビッドソンのブース
ロイヤルエンフィールドのブース

ハーレダビッドソンはレーシーなローライダーSTを出展

メーカー自身の手によるものも少なくありませんが、近年では実力派ファクトリーとのコラボレーションが注目の的となりつつあります。今回の目玉といえば、ソフテイル誕生40周年を記念しハーレーダビッドソンが出展したレーシーなローライダーSTに間違いないでしょう。

カスタムを担ったのはサーキットで戦えるハーレーを作ることでも有名なカスタムビルダー「Joyride(ジョイライド)」代表の西田 裕さん。会場でご本人にインタビューできたので、ホットなマシンのコンセプトやカスタムの内容について紹介していきましょう。

Joyrideの代表を務める西田 裕さん。カスタムだけでなく、筑波のレースでハーレーを走らせる腕っこきのレーサーという顔も
ハーレーダビッドソンとJoyrideがコラボしたローライダーSTのレーサーカスタム。サーキットの常勝ライダー、西田さんがカスタムしただけあってガチな仕上がり

──最初にハーレーダビッドソンジャパンからローライダーSTのカスタムが依頼された時は、どんな気持ちでしたか?

「とても光栄に思うのと同時に、ミルウォーキーエイトエンジンを触ったことがなかったので、戸惑いました。すぐに、ディーラーからローライダーSTを借りて乗ったのですが、走りのパフォーマンスにとても驚き、カスタムに対するモチベーションが強く湧いてきました」

──ローライダーSTの印象をお聞かせください。

「ビッグツインエンジンを積んだハーレーでレースをしてきた自分にとって、ローライダーSTの足まわりやエンジンの仕上がりは『今はこんなハーレーが買えるんだ』と感動しました。これなら、サーキット走行を視野に入れたカスタムも十分いけると感じました」

──カスタムのポイントについて教えてください。

「足まわりとエンジンが中心ですが、ディメンションを変更するとすべてのバランスが変わるため、あらゆるポイントをカスタムしなければなりませんでした。ノーマルの走りがいいだけに、サーキット向けにコンバートするのはとても苦労したところです。サーキットを走るためにはニュートラルステアに近づけること、サスのセッティング幅を持たせることなど、これまでのノウハウをすべて注ぎ込んだといっても過言ではありません」

──このマシンがサーキットを走る日が楽しみです。

「まだ試乗できていませんが、セッティングを煮詰めていって筑波サーキットで1分6秒台を出せたらいいなと考えています。ソフテイル&ミルウォーキーエイトでのサーキット走行は僕自身でも楽しみでなりません」

2024年春に予定されているサーキットデビューですが、どんな走りをみせてくれるのか、待ちきれないのは決して筆者だけではないでしょう。

足まわりやフレームなどディメンションを変更したことで、原型を留めていないといっていい程のフルカスタム。サーキットでの雄姿が待ち遠しい!
Joyrideお得意のテーパードマフラーも当然ワンオフ製作。その性能はレースでの折り紙付き
大陸横断ツアラーのローライダーSTも、レース仕様となればバックステップが望ましい。こちらもJoyrideのワンオフパーツ
ホイールはアクティブが扱うハーレー専用ホイールブランド・グライドによる特注品。また、ゲイルスピードのキャリパー、オーリンズのショックなどパーツのチョイスもサーキット走行を見据えたものとなっています
サーキットを走るためには一切の妥協がないという西田さん。シートマウントの仕上がりもご覧の通り、レーサーと呼ぶにふさわしいもの

インディアンのチョッパー、ロイヤルエンフィールドのレトロ耐久マシン

毎回さまざまなカスタムの方向性で楽しませてくれるのがインディアンモーターサイクルズと、ロイヤルエンフィールドの2社。2024年も複数台のカスタムマシンが出展され、メーカーカスタムの完成度、インパクトを見せつけてくれました。

まずはインディアンモーターサイクルズのスペシャルなチョッパー、1937年のドラッグバイク「インディアン スカウト」にインスパイアされたカスタムで、エンジン上部のチューブフレームを大胆にカットした後にあらためて延長という手が込んだもの。フロントエンドを高く伸ばし、チョッパーのプロポーションを見事に再現しています。

タイヤもフロント21インチ、リヤ18インチへと変更され、燃料タンクに至っては純正品を4つに分割してから形状変更をするなど、抜かりは一切なし! 1960年代のニューヨーク・チョッパースタイルが蘇るファクトリーカスタムならではの仕上がりです。

1937年のスカウト・チョッパーをイメージしてカスタムされたインディアン新型スカウト。大胆なフレームワークやタンクの形状に注目!
アメリカンなテイストを見せるFTRですが、実は国内ディーラーがカスタムした純日本製。フレアペイントだけでなく、パフォーマンスアップも同時に施されています

そして、ロイヤルエンフィールドからはショットガン650をベースに、80年代の耐久マシンへのオマージュを込めたカスタムバイクをご紹介。

バイカー向けのアパレルやヘルメットをプロデュースするアメリカのicon1000がデザイン&製作を担ったモデルで、フロントカウルやシートカウル、また耐久レーサーではお馴染みのクイックフィラー付きタンクなど、レトロでいながら新鮮なイメージに仕上げられています。

フォークカバーやあえて突き出したバッテリー配置など、ストリートのセンスに長けたicon1000らしいディテールには誰もが驚き、ため息までもらしたのではないでしょうか。

アメリカのストリートシーンで人気のicon1000がカスタムしたロイヤルエンフィールド ショットガン650は往年の耐久レーサーをオマージュ
クイックフィラーを思わせるタンク、(本来は)夜間レースのための2灯フェアリングなど耐久レースマシンのイメージを見事に取り入れ、そのセンスに誰もが振り返っていました
シートカウルはバッテリーが付き出していたり、マフラーエンドが後端に組み込まれていたりと独特なセンスで、モーターカルチャーの最前線を感じさせてくれます

コレがCB750Four!?「旧車カスタムや技巧の素晴らしさに目をみはる」

モーターカルチャー、カスタムマシンの最前線を目にすることができるのもホットロッドカスタムショーの醍醐味。今回、興味深かったのはアメリカンバイクだけでなく、国産の旧車やヨーロッパブランドのカスタムが増えてきてことでしょう。

例えば1978年型のホンダ CB750Fourをベースに、フレームやボディを再解釈した「TRACYROSE(トレーシーローズ)」などは最たる例かと。一般的にはクロームやキャンディ塗装といったカスタム手法のターゲットとは考えづらいCB750Fourにここまでアメリカンテイストを盛り込んだのは驚きの一言。それが思いのほか似合っているのは、やはり優れたカスタムテクニックあってこそ。

また、昨年はロイヤルエンフィールドのサイドカーで観客の度肝を抜いたチェリーズカンパニーが出展した「Fuzin(風神)」はフレームやホイールをゼロから作り上げたフルスクラッチビルド。実車のバランスや細部の仕上がりに目を凝らせば、そのテクニックはもはや神業の領域だと感じずにはいられません。

こうしたカスタムファクトリーのおかげで、日本のモーターカルチャー、カスタムシーンは日進月歩の進化を遂げており、我々バイク好きの胸を熱くしてくれるのです。今回のホットロッドカスタムショーを見逃した方は、ぜひ来年のショーを訪れることをオススメします。たとえカスタムファンではなかったとしても、ときめかせてくれるバイクに出会えること間違いありません。

1978年型ホンダ CB750Fourのカスタム、その名もトレーシーローズ(その名は往年のポルノ女優に由来?)旧車のアメリカンテイストというのはレアですが、その仕上がりは見事なもの
チェリーズカンパニーのカスタムは留まるところを知らぬ進化で、今回のFuzin(風神)もまたフレームからホイールまでフルスクラッチビルドという驚きの1台

レポート&写真●石橋 寛 編集●上野茂岐

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