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低価格の中国製ハーレーが話題だが「高級ブランドのメイド・イン・チャイナ」ってアリ!? 実はテスラも一部は中国生産だったり……

価格は69万9800円〜! ハーレーの中国生産エントリー車「Xシリーズ」

アンダー70万円のメーカー希望小売価格、普通二輪免許で乗れるハーレーダビッドソンとして登場した「ハーレーダビッドソン X350」が話題を集めている。
往年の名車「XR750」をイメージしたフラットトラッカースタイルであること、水冷並列2気筒エンジンや倒立フロントフォークといったメカニズムなどもハーレーダビッドソンのラインナップとして新鮮なモデルだ。

また、Xシリーズには同じく水冷並列2気筒で500ccの「X500」もラインアップされる。こちらはスポーツスターシリーズをイメージしたデザインとなっているが、83万9800円という攻めた価格設定なのはX350と同様だ。
そんな新しいXシリーズについて、一部では「中国製のハーレーダビッドソンってどうなの?」という声もあるようだ。

ハーレーダビッドソン X350。最高出力36.7馬力の353cc水冷並列2気筒DOHC4バルブエンジンを搭載。価格は69万9800円。
ハーレーダビッドソン X500。最高出力47.6馬力の500cc水冷並列2気筒DOHC4バルブエンジンを搭載。価格は83万9800円。

テスラの一部モデルは上海工場でも生産され、そこで日本仕様も造られている

確かに、ひと昔前ならば中国製モビリティに対しては、安価に作ることにプライオリティが置かれた製品、あるいは、劣化コピー商品という悪いイメージもあった。しかし、未だにそうした考えを持っているようであれば間違いだ。認識をアップデートした方がいい。

実際、アメリカ生まれのEV(電気自動車)ブランドとして圧倒的な知名度を誇る「テスラ」のモデルは中国でも生産されている。「ギガファクトリー」とも呼ばれる同社の生産工場のうちEVの生産を担っているのは、アメリカ・テキサス州、中国・上海、ドイツ・ブランデンブルク州となっている。

上海のギガファクトリーは中国向けだけを製造しているわけではない。そこから日本へも輸出されている。今や世界各国で高く評価されているテスラのブランド価値が中国製になったから下がったという話も聞かないだろうし、そもそも「テスラのラインアップに中国製モデルが含まれている」という事実を知らない人も多いのではないだろうか。

上海工場でも生産されるテスラ モデル3。上海工場製モデル3は中国だけでなく、日本、欧州、オーストラリアなどでも販売されている。

復活したホンダ オデッセイも中国生産

また、ホンダのフラッグシップミニバンである「オデッセイ」の再発売が2023年12月8日から始まったことも話題となっているが、帰ってきたオデッセイは中国製となっている。
ご存知のように中国は左ハンドル圏であり、右ハンドルのオデッセイは日本仕様として作られ、ジャパンクオリティを満たしているのはいうまでもない。少なくとも新しいオデッセイに触れた筆者の印象では、そこに生産国を気にすべき要素は感じなかった。

あらためて記せば、いまや生産国によって品質を評価する時代ではない。
もちろん、資本主義や民主主義とは異なる社会体制が持つリスクは存在しているので、企業単位の考え方としては「脱チャイナ」という戦略もあり得るだろう。日本の自動車メーカーでも中国市場から撤退したり、現地生産を止めたりした企業は存在している。
それがイコール「中国製は低品質」という意味ではない。

2022年9月で販売終了となったホンダ オデッセイだが、2023年12月8日から中国生産車が導入され復活販売。デザイン、安全運転支援システム、2列目シートの電動化など、改良も施されている。

EVの世界では「中国ブランド」も勢いを増している

むしろ、為替や成長率などから「日本で作ったほうがローコストになることもある」という声が、モノづくり界隈から聞かれるほどだ。
ハーレーダビッドソン、テスラ、ホンダといった中国以外のブランドによる中国生産モデルだけではなく、中国ブランドの躍進も著しい。とくに過去のヘリテージの影響が少ないEVマーケットにおいては、しっかりとしたブランド価値を確立している。

たとえば、日本においてEV専業ブランド「BYD」の販売網がどんどん整備されているのに気付いているかもしれない。BYDは中国生まれの、バッテリーメーカーにルーツを持つ自動車ブランド。従来の考え方に捉われない斬新な設計思想も評価されている。

BYDが日本で販売するミドルSUV「ATTO3」。470kmの航続距離を確保し、価格は440万円。
BYDはジャパンモビリティショー2023(旧東京モーターショー)にも大規模なブースを出展。メルセデスと共同開発した7人乗りプレミアムMPV「DENZA D9」(写真)など、日本未発売モデルなども紹介された。

EVのほかにもスマートフォンなどのテクノロジー系製品においては、中国製であることを気にすることはなく、先進的でチャレンジングな中国ブランドを積極的に選ぶユーザーも少なくない時代になっている。
先入観を排するのは難しいかもしれないが、生産国によって評価するのではなく、あくまでプロダクト単体の魅力で評価すべきだろう。それこそが消費者としての高い満足度につながる「賢い買い物」となるはずだ。

レポート●山本晋也 写真●ハーレーダビッドソン/テスラ/ホンダ/BYD/JMS2023
編集●上野茂岐

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