インテグラ、ビート、トゥデイ、ホライゾンなどなど。ホンダにクルマとバイク名前が同じモデルがいくつかある。これぞ二輪、四輪の両方を作っているホンダさんの特権!──とお思いだろうが(?)、ほかのメーカーでもクルマと同じ名前を持つバイクはあるのだ。例えばホンダ同様にクルマとバイクを両方作っているスズキとか。
そんなスズキの例で行くと……。
オフロード車から軽自動車に「ハスラー」
ももクロちゃんやDr.スランプアラレちゃんがCMキャラクターを努めたことでもおなじみ「スズキの遊べる軽!」HUSTLER(ハスラー)。広々とした室内空間とワンランク上のラフロード走破性能を両立した軽SUVワゴン車である。
ただ、人によっては「ハスラーと言えばトレールバイクでしょ!」という人もいるだろう。
アメリカの不整地走行ブームを受けて、1969年に登場したハスラーTS250を始めとしたオフロードマシンがバイクのハスラーシリーズだ。
前述の250のほかに、50/75/80/90/100/125/185/200/400ccの9モデル(※TSシリーズ含む)がラインナップされた。初代の250のフレームには工場モトクロッサーRH250のノウハウが生かされており、その血を継いだ名シリーズと言えるだろう。
スポーツバイク「バンディット」から軽自動車「ソリオバンディット」に
使い勝手のいい両側スライドドアを採用した低燃費コンパクトハイトワゴンのソリオ。そのバリエーションモデルである「ソリオバンディット」は、若者の多様な趣向に対応するための専用デザインを採用した小型乗用車。
バイクのバンディットはGSX-R系エンジンを搭載したネイキッドモデル。初登場は1989年にリリースされたバンディット250/400。トラスフレームやセパレートハンドルを採用しており、「艶」という言葉をテーマにデザインされたと言われる。エンジンの基本設計は前述のとおりGSX-Rと同様だが、吸排気系を見直し、中低速域での扱いやすさを意識している。
その他に600/1200/1250もあり、600はGSX-R600のネイキッド版で、1200はGSF1200の後継車、1250は水冷エンジン搭載モデルだ。いずれもダブルクレードルフレームを採用しており、1200と1250にはハーフカウル付きのSもラインナップされていた。
「ランディ」は女性向け原付から、日産OEM供給のミニバンに
日産からのOEM供給車となるランディは、実用域での優れた発進加速と低燃費を実現したミニバンタイプの小型乗用車。大開口の両側スライドドアや低いステップやフロア、多彩なシートアレンジなど、使い勝手のよさを追求した1台だ。
対するバイクのランディ……改め「ランディー」はいわゆる80年代のソフトバイク。「女性でも乗りやすく扱いやすく」をコンセプトにしており、フレームは低床化してまたぎやすく、燃料キャップにメーターを付けて、手を汚さずともガソリンの残量確認が可能となっている。エンジンはレジャーバイクのバンバン50のものをベースにバーディーの3速ミッションと搭載していた。
厳密な車名の話をすると、カタカナ表記ではご覧の通り伸ばし棒(長音付)が付くし、スペル的にもクルマは「LANDY」、バイクは「Landie」とちょっと違う。が、おおめに見て頂けるとありがたい。
オシャレ原付スクーター「レッツ4パレット」と、定番軽ワゴン「パレット」
スペーシアにバトンタッチする形で2013年に生産が終了されたパレットは乗降性、積載性をワンランクアップさせ、スズキの軽ワゴン車の第3の柱として2008年に発売された。
バイクの方はというと、同車の原付スクーター「レッツ」シリーズの4ストエンジン搭載車、レッツ4のバリエーションモデルとして2005年に登場したレッツ4パレット。丸型ヘッドライトやレトロ調のメーターパネルなど、オシャレなデザインが女性を中心に高評価を得ていた。発音は同じだが、こちらもクルマは「PALETTE」、バイクは「Pallet」と微妙にスペルが違う。
以上8つの名前が共通の車両たち、スズキ編、いかがだったろうか?
ホンダ同様にクルマとバイクの両方を作っているからこそ、比較的スムーズに(?)車名を共通化できているのだろうし、今後もこうしたモデルが生まれてくる……かもしれない。車両のビジュアルやスペックだけでなく、新車発表時には“名前”の由来や歴史にも注目してみると面白い……かもしれない。
レポート●モーサイ編集部・加賀 写真●八重洲出版