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真夏の祭典である「8耐」こと鈴鹿8時間耐久ロードレースは、三重県にある鈴鹿サーキットを舞台に開催される二輪車の耐久レース。
その知名度の高さが故に、四輪車レースの「F1」と並んで鈴鹿を象徴するモータースポーツイベントとして定着しています。
しかし「ハチタイ」という名前があまりにも有名になっているものの、「実はどのようなレースなのか知らない」という方も少なくありません。
「ハチタイ=8時間耐久……ライダーは8時間ずっとバイクに乗りっぱなしなの?」と疑問に思う方も多いようです。
たしかに言葉通りに捉えると、1人のライダーが8時間ぶっ続けで走るレースとして解釈できなくもない。そして次に気になるのが「トイレはどうしているんだろう?」という問題。
そこで今回は、8耐の時にライダーは実際どれくらいの時間にバイクに乗っているのかや、トイレに行きたくならないのかについて考えてみましょう。
ルール上1人のライダーが8時間乗りっぱなしは不可能
結論から言うと、1人のライダーがスタートからチェッカーまで8時間乗りっぱなしは不可能。なぜなら、
● ルール上2人か3人のライダーで走らなければいけない
● タイヤや燃料が8時間持たない
● ライダーの体力や集中力が持たない
と、様々な問題があるからです。
まず、8耐はEWC(Endurance World Championship)と呼ばれる世界耐久選手権の内の1つであるため、EWCのレギュレーションに沿ってレースを戦うことになります。そしてEWCのライダー規定には「6時間から24時間までの耐久レースは2名か3名のライダーで走る」と記されているため、1名のライダーで8時間走り続けることはルール上不可能と言えます。
ちなみに以前のレギュレーションでは1名のライダーの連続走行時間に制限がありましたが、現在はありません。
燃料が持たない問題も出てくる
1名のライダーで8時間全て走りきることはルール上不可能。しかし、例えば最初のライダーが1周だけ走り、残りの全部をもう1名のライダーが走るようにすれば、1名のライダーが8時間走り続ける状態に限りなく近付けることができます。
ただし、そうなると次にバイクの燃料が持たないという問題が出てきます。
一般的なバイクの燃料タンクは通常最大16〜18Lとなっていますが、EWCのレギュレーションでは最大24リットルまで拡大可能とされているため、他のレース車両より長時間走り続けることができます。
しかし、フルタンクの状態で走ったとしても、燃費の関係上(6.5km/L〜7.0km/L程と言われています)1スティント(ピットインから次のピットインまでの間)27〜28周以上走るとガス欠を起こしてしまいます。
これを時間に置き換えると1時間程で燃料が底を付いてしまう計算になるため、1時間に1回は必ず燃料補給のためにピットに入る必要があることになります。
ただ、必ずしもピットインしたタイミングでライダーを交代しなければいけないという決まりはありませんので、ライダーはそのまま連続して次のスティントを走ることもできます。
そう考えると、燃料補給をするためにピットインは行うものの、そのままライダー交代なしで走らせれば、レギュレーション上は1人のライダーが8時間近くぶっ続けで乗り続けるという超鬼畜戦略もとれてしまうのです。
ライダーの体力や集中力も考えて現実的な戦略を考えると

ただし、忘れてならないのがライダーの体力や集中力の問題です。
真夏の炎天下の中レーシングスーツを着たままの長時間走行はかなり過酷な環境。長時間のライディングはラップタイムの低下や転倒のリスクが増えてしまいます。
耐久レースは決められた時間の中で最も周回数を重ねたチームが優勝というレースですので、成績上位を狙うためには、やはり1名のライダーにまかせっきりの戦略は現実的とは言えないでしょう。
ちなみに現在8耐の上位チームは7回ピットの8スティント、ライダーはピットインの都度交代していることがほとんど。そのため、最低でも1時間程度は休憩できるようになっています。
現実的に、トイレは長くても1時間くらいガマンすればいい
ライダーのトイレ問題で考えると、走行前や途中でトイレに行きたくなっても1時間程ガマンすればいいということになります。
走行中は常に集中力が高まっている状態であるため、たとえ走行前にトイレに行きたくなったとしてもいざ走り始めてみると、忘れてしまうことがほとんど。
実際にシートに座って前傾姿勢をとったり、下半身でタンクをホールドしたりステップに荷重をかけたりと、踏ん張る機会も多いため、意外とガマンできてしまうようです。
ただ、実際8耐での走行中にトイレに行きたくなることはほとんど無いようです。なぜなら体の中にある水分は走行中に汗となって抜けてしまうから。
むしろ8耐の開催期間は7月下旬〜8月上旬という真夏であるため、走行中は常に脱水症状との戦い。ライダーはレーシングスーツの背中にあるハンプ(こぶのようなもの)に入れた吸水タンクから専用のチューブをヘルメットの内部に繋ぎ、そこから水分補給をしています。
例えるなら8耐は「マラソン」というより「駅伝」

まとめると、どんなに長時間走ろうとしても、1時間程でバイクの燃料がなくなるため必ずピットインしなければいけません。
ルール上1人のライダーを連続走行させることもできますが、ライダーの身を考えたり、上位を狙ったりするとなると、ぶっ続けで走るメリットはほとんどないと言えるでしょう。
そう考えると、ライダーはトイレに行きたくなったとしても、最長1時間ほどガマンできればいいということになります。
また、8耐は8時間と言えども「ルマン24時間耐久レース」や「ボルドール24時間耐久レース」など他の耐久レースと比べると短い時間とされているのも大きな特徴。
「スプリント耐久」とも呼ばれるほどスピードが求められるレースですので、毎ピット新品タイヤに交換し、ライダーは常にハイペースで走らなければいけません。
そのため、ライダーは走るときは集中して全力疾走し、休む時はしっかり休むというメリハリをつけたほうが、より安全に周回数を重ねられます。
そう考えると、1人のライダーがずっと乗りっぱなしという戦略がとられることは、なかなか起こりません(夜間走行が得意なライダーが最終スティントを連続走行するという戦略はありますが)。
そう考えると、8耐は1名のライダーが「マラソン」をしているのではなく、2名〜3名のライダーがバトンを繋ぐ「駅伝」をしていると考えるといいかもしれませんね。
レポート●モリバイク 写真●ホンダ 編集●モーサイ編集部・中牟田歩実



























