目次
「ラジアルマウント」はレース由来の設計
ホンダの400cc 2気筒エンジンを積んだスポーツモデル「CBR400R」とクロスオーバーモデル「400X」が仕様変更を実施、2022年1月17日から発売されている。
当記事で注目したいのはCBR400Rだけの変更点についてだ。それはブレーキシステムに関するもので、メーカー発表をそのまま引用すれば「CBR400Rは、フロントブレーキにラジアルマウントキャリパーを採用」したとなっている。
あらためて解説すれば「ブレーキキャリパー」というのは、ブレーキディスク(金属製で円盤状の部品)にブレーキパッド(摩擦材)を押し付ける役割を担っているパーツ。その固定方式をラジアルマウントにしたというのが、今回メーカーが特にアピールしている変更点だ。
ラジアルマウントといえばスーパースポーツ系モデルで大排気量高性能車などでおなじみのブレーキキャリパーの固定方式で、キャリパーが進行方向とほぼ同じ向きのボルトで止められているのが識別ポイント。もともとはレースシーンで採用された方式だ。

実際、改良されたCBR400Rのフロントブレーキシステムにフォーカスして見てみれば、NISSINとロゴの入ったブレーキキャリパーは、フロントの車軸に対してラジアル(放射状)の向きで固定されているのが確認できる。
キャリパーは小ぶりで、ブレーキディスクもコンパクトだが、ラジアルマウントにレース生まれのテクノロジーというイメージがあるためか、レーシーな雰囲気をプラスしている。


いわゆる普通のキャリパーは「アキシャルマウント」
一方でブレーキキャリパーが、車軸と同じ向きのボルトで固定されているのがオーソドックスなマウント方法で、ブレーキメーカーでは、こうした固定方法を「アキシャルマウント」と呼んでいる。
しかしこれは一般にはあまり浸透した呼び名とはいえず、ラジアルマウントに対して「普通のマウント」「従来型のマウント」と呼んでいる人が多いかもしれない。
市販車で感じられる「ラジアルマウント」のメリットは?
それはさておき、ブレーキキャリパーをラジアルマウントするメリットは、一言でいえばコントロール性が上がることだ。
ボルトの方向とブレーキパッドを押す方向が90度異なっていることにより、ブレーキング時のキャリパー自体や支持部分の変形を抑えることができ、剛性感が圧倒的に高い。限界域での話だけでなく、公道で一般ユーザーがカッチリ感として体感できるレベルで違う。
今回、CBR400Rと同時にクロスオーバーモデル400Xのモデルチェンジも行われたが、こちらは従来通りの「アキシャルマウント」が採用されている。
スポーツモデルである新型CBR400Rだけにブレーキキャリパーのラジアルマウント化がなされた理由として考えられるのは、そうしたコントロール性を重視したからだろう。もちろん、前述したうようにレースシーンを想像させる部分が商品性につながるというのもある。

今は「高価」なラジアルマウント、採用車が増えればお手頃になるかも
では、コントロール性に有利というのであれば、なぜ400Xのほうには採用していないのだろうか。仮に優れていることがわかっていても、量産車においては理想的なメカニズムだけを積み重ねるというのは非現実的だ。なぜなら、ユーザーが求める価格帯というものがあり、そこに合わせて構成要素を吟味する必要があるからだ。
一般論でいえばブレーキキャリパーをラジアルマウントしたシステムというのは、コストが高くなってしまう傾向が強い。そこまで微妙なコントロール性を求めないというのであれば、オーソドックスなアキシャルマウントのブレーキキャリパーを採用するほうが妥当な判断となることが多いのだ。
とはいえ量産が進むと、コストは下がってくるもの。当初はレース直系となるリッタークラスのスーパースポーツだけに限られていたラジアルマウントが、600ccクラスでも当たり前の装備となり、このように400ccクラスにも使われるようになったのは、量産効果が出てきているからといえる。
実際、250ccクラスでも4気筒エンジンを積んだカワサキZX-25Rはラジアルマウントのブレーキキャリパーを採用している。さすがに2気筒エンジンで販売価格も安いCBR250RR、ヤマハYZF-R25、スズキGSX250Rなどはアキシャルマウントとなっているが、ラジアルマウントが商品力につながるとなれば、各社も採用することになるだろう。

レポート●山本晋也 写真●ホンダ/カワサキ 編集●モーサイ編集部・中牟田歩実

































