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2026年5月末にメディア向けに開催されたカワサキのニューモデル試乗会では、多数の車両が用意された。本記事ではその中から、カワサキとパートナーシップを結んでいるイタリアのプレミアムブランド、ビモータのバイクをご紹介。AMAスーパーバイクなど数々のレース参戦歴を持ち、現在は二輪ジャーナリストやライディングスクールのインストラクターとして活躍している鈴木大五郎が、公道での試乗インプレッションをレポートする。
KB998リミニ:サーキットでこそ本領を発揮する、スパルタンなホモロゲーションモデル

1966年に空調配管設備の製作会社として設立され、1973年からオリジナルフレーム作りを開始したイタリアの伝説的フレームビルダー、ビモータは、レースシーンでの活躍をはじめ、数々の成功を収めてきた。創始者のひとりであるマッシモ・タンブリーニ氏は、名エンジニアとして世界的に評価されている。一方で、その歴史には欧州のバイク関連メーカーあるある(?)の「経営危機」がたびたび顔をのぞかせてきた。
そういった背景のあるビモータは、2019年からはカワサキとパートナーシップを結び、現在ではカワサキ製エンジンを用いたさまざまなモデルをラインアップしている。以前よりも販売が安定してきたことを思えば、良きパートナーを見つけたと感じられる。




今回試乗したKB998リミニは、ビモータが2025年からスーパーバイク世界選手権(WSBK)に参戦するために作り上げたホモロゲーションモデルで、搭載されている並列4気筒エンジンはカワサキのニンジャZX-10RRから流用したものだ。

近年のWSBKでは、V型4気筒エンジンを搭載するドゥカティ パニガーレV4Rが圧倒的戦闘力を発揮している。一方、並列4気筒勢はトプラック・ラズガットリオグル選手がBMW M1000RRで2024年と2025年にチャンピオンを獲得したものの、大局的には苦戦気味である。
そんな状況の中で、今年のWSBKではKB998リミニが4気筒勢最速となる場面も少なくない。カワサキはニンジャZX-10RRでWSBKのタイトルを何度も獲得してきたが、ファクトリーチームの参戦は2024年で終了している。ビモータがそんなニンジャZX-10RRのエンジンを用いて好成績を収めているのは、改めて考えると驚きである。KB998リミニはレーシングマシンにかなり近いパッケージとして販売されているということもあって、今回のテストライドは非常に興味深く感じられた。

KB998リミニのために専用設計されたハイブリッドフレームは、ビモータ伝統のクロモリ製トレリスフレームとアルミ合金削り出しのプレートを組み合わせた独創的かつ美しいもので、フレームビルダーの凄みを感じさせる。

サスペンションやブレーキなどもレースで使用されるようなハイグレードなもので、ロードゴーイングレーサー然とした佇まいが美しい。


ライディングポジションは腰高で前傾が強い。シートクッションも硬いため、またがったときの肌触りは非常に硬質だ。外装にドライカーボンを多用していることもあり、車両重量は軽いのだが、レースのスタート前のようなちょっとした緊張感を伴う。

公道を走り始めてすぐに「これはここで走りを評価しきれるマシンではないな」と感じる。一般道を走るには全てがハードなうえに、エンジンからの凄まじい熱が下半身を襲う。足周りはしなやかな作動性で、純正装着タイヤのピレリ ディアブロスーパーコルサV4 SPもクッション性が高いため、表面上にハードルの高さはさほど感じられない。しかし、フレームは一般道の走行ペースではどんなに頑張ってもガチガチに感じられるほどの剛性で、「このマシンの真の性能を語るのが許される場所はサーキットだけだ」と感じられた。

ただし、バイクで走るのは公道オンリーというライダーが乗るとしても、我慢を強いられる場面が少なくないことを厭わないのであれば、プレミアムモデルを手にした者だけが得られる快感があると思われる。さまざまな意味で孤高の存在であると感じられた。


ライディングポジションは、大半の他社製WSBKホモロゲーションモデルよりも腰高で、前傾が強めとなるレーシングライクなもの。乗り手との接点であるシートやハンドルも硬質なフィット感で、またがったときのサスペンションの沈み込みも少ない印象だ。ハンドル切れ角も少なく、取り回しには気を使う。

〇ビモータ KB998リミニ 主要諸元
エンジン種類:水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ ボア×ストローク:76.0×55.0mm 総排気量:998cm3 最高出力:147.1kW<200ps>/13,600rpm 最大トルク:111Nm<11.3kgf・m>/11,700rpm 燃料タンク容量:17L(無鉛プレミアムガソリン指定) WMTCモード燃費:―― 変速機:6段リターン 全長×全幅×全高:2,085×862×1,205mm ホイールベース:1,454mm シート高:830mm 車両重量:207kg タイヤサイズ:(F)120/70ZR17 (R)190/55ZR17 カラー:レッド×ブラック 価格:693万円 発売日:2025年11月8日
KB998リミニと関係の深いカワサキ ニンジャZX-10R(2026年型)のライポジ&足着きチェック

ちなみに、試乗会場には2026年型ニンジャZX-10Rも用意されており、走らせることはできなかったが、またがることができた。


ライディングポジションは、近年のスーパースポーツモデルとしてはオーソドックスなもの。前傾が強めでステップ位置も高め、重心も高めのため、取り回しにはやや気を使うだろう。身重165cmだと足着きはご覧のとおり。KB998リミニと比較すればずいぶんと汎用性が高くも感じられるが……。

〇カワサキ ニンジャZX-10R 主要諸元
エンジン種類:水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ ボア×ストローク:76.0×55.0mm 総排気量:998cm3 最高出力:145kW<197ps>/13,000rpm(ラムエア加圧時は152kW<207ps>/13,000rpm) 最大トルク:111Nm<11.3kgf・m>/11,400rpm 燃料タンク容量:17L(無鉛プレミアムガソリン指定) WMTCモード燃費:16.0km/L 変速機:6段リターン 全長×全幅×全高:2,085×750×1,180mm ホイールベース:1,450mm シート高:825mm 車両重量:209kg タイヤサイズ:(F)120/70ZR17 (R)190/55ZR17 カラー:グリーン、マットグレー×ブラック 価格:248万6000円 発売日:2026年8月1日
テージH2テラ:非常に個性的なパッケージだが、意外と乗りやすい!

ビモータがアドベンチャーモデルを? 同じイタリアンブランドであるMVアグスタやドゥカティもアドベンチャーモデルを作る時代なので、驚くことではないようにも思える。しかし、そのアドベンチャーモデルがセンターハブステアリングシステムを特徴とするビモータの象徴的マシン「TESI(テージ)」シリーズの一員で、さらにスーパーチャージャーを備えるカワサキ Z H2のエンジンを搭載していると聞けば「じぇじぇじぇ!」となる。これは興味深い。
センターハブステアリングシステムのメリットは、ノーズダイブや、コーナリング中のキャスター角・トレール量の変化が少ないこと。また、ハンドル切れ角の大きさも安心感につながるが、何といってもその見た目が独創的である。

走り出したマシンはイメージをはるかに超える乗りやすさで、拍子抜けするほどだ。サスペンションはかなりソフトな設定だが、これもフレンドリーな感触に一役買っている。

ハンドリングはとにかく軽快。左右へのバンキングもシームレスで、マシンが意のままに動くような感覚が非常に色濃い。大柄でパワフルなマシンを操っていることを忘れるほど扱いやすく、ちょっとくらいの未舗装路面なら入ってしまおうと思えるほどであった。
一方で、ブレーキングやコーナリングで負荷をかけると、マシンの剛性がグッと高まるような不思議な反応を示す。フロントブレーキを強くかけてもほとんどノーズダイブしないというのも特徴的で、BMWのテレレバーの動きを彷彿させる。試乗前は特殊なシステムに思われたテージH2テラのセンターハブステアリングだが、実はかなりライダーフレンドリーなキャラクターであるという意外性が面白い。
そして、Z H2由来のエンジンがまたすばらしい。軽やかなレスポンスながらトルクに厚みがあり、スロットルをしっかり開ければフロントがスッと軽くなるほどのパワフルさ。同程度のパワーを持つマシンは少なくないが、それらとはまったく異なる、スーパーチャージャー付きエンジンだけが持つ不思議な吹け上がりは病みつきになりそうな感覚であり、このマシンの価値をさらに高めている。

どこで誰が乗るのか? ビモータ製アドベンチャーモデルと聞いたときはそんな疑問が頭の中に渦巻いた。しかし、この異次元感覚の乗り味は何だ!? 強烈な個性の中に宿る、不思議な安心感と奥深さを感じたテストライドであった。


ライディングポジションは、オフロード走行も想定したアドベンチャーモデルとは若干異なる、ネイキッドモデルのような姿勢となっている。アップライトでライダーの動きの自由度は高め。ハンドル切れ角の大きさもあり、取り回し性は良好だ。アドベンチャーモデルとしては足着き性は悪くなく、低重心なこともあって安定感も高い。

〇ビモータ テージH2テラ 主要諸元
エンジン種類:水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ ボア×ストローク:76.0×55.0mm 総排気量:998cm3 最高出力:147.1kW<200ps>/11,000rpm 最大トルク:137Nm<14.0kgf・m>/8,500rpm 燃料タンク容量:19L(無鉛プレミアムガソリン指定) WMTCモード燃費:―― 変速機:6段リターン 全長×全幅×全高:2,125×910×1,390(スクリーンハイポジション時は1,438)mm ホイールベース:1,455mm シート高:820mm 車両重量:244kg タイヤサイズ:(F)120/70ZR17 (R)190/55ZR17 カラー:レッド×ホワイト 価格:638万円 発売日:2026年7月1日
期待のビモータニューフェイス、KB399/ESのライポジ&足着きチェック


ビモータの未発売最新モデル、KB399/ESもまたがりのみOKだった。KB399/ESはエンジンのみならず、フレームやタンク、シートカウルなどもカワサキのニンジャZX-4RRから転用しているモデルだ。




ライディングポジションと足着き性はやはりニンジャZX-4RRに近いもので、軽めの前傾となるが、レーシーな姿からイメージするよりもフレンドリーだ。KB399 ESはハンドルバーやステップ、ペダルがアルミ削り出しとなっている。


※ビモータ KB399/ESの主要諸元は未発表。車両価格はKB399が146万6300円、KB399 ESが245万3000円で、ともに2027年春頃発売予定。
report:鈴木大五郎/モーターサイクリスト編集部 photo:柴田直行/カワサキ
ビモータ/カワサキ TEL0120-400819
https://www.bimota.com/jp/ja/
https://www.kawasaki-motors.com/ja-jp/
































