コラム

【小柄ライダー】が不安なく乗れるのは?身長157cmが「MT夜会」でヤマハMTシリーズを全車種またぎ比べ!

■「MT10」の足着きを確認

MT全車にまたがれる、貴重なイベントだから!

前日から降り続いた雨が嘘のように降り止んだ2025年5月10日、土曜日、夕刻。
東京・湾岸の夜景をバックにMTシリーズのオーナーが集う、ヤマハ公式オーナーズミーティング「The Dark side of Japan Night Meeting 2025」通称MT夜会が、シティサーキット TOKYO BAYを会場に開催された。
「身長157cmライダーの足着きネタ」を担当する筆者も、旧型ではあるがMT-07オーナーとして参加してきた。

MTシリーズのグローバルキャッチフレーズ「Dark side of Japan」をリアルに体感できるよう、公式イベントとしては珍しく夜に開催される当イベント。
今年で2年目の開催だが、昨年に続き大勢のMTオーナーが集結し、大盛況となった。
今年は闇の中を光が駆け巡るファンタジックなプロジェクションマッピングで「Dark side of Japan」の世界を演出する仕掛けも施され、参加者を「日本のダークサイド」へ誘った。

プロジェクションマッピングでの演出
プロジェクションマッピングでの演出
多くのオーナーが実車をまたいで車体チェック

会場では現行MTシリーズ全車種の展示が行われ、全車種またがり可とあって、多くのオーナーが列をなして気になる車体をチェックしていた。
MTシリーズ全車種を一気にまたいで比べられる機会はなかなか貴重。
筆者もまたがり列に並んで、全MTの足着きをチェックしてきたのでご紹介したい。

最初に、バイクの足着き性をチェックする際、誰もが確認するシート髙について。数値を見てみよう。

「MTシリーズ」シート高のデータ

こちらが現行MTシリーズのシート髙一覧。
125から10まで、数字で見ると意外に大差はないものの、MT-25/03のシート高がとりわけ低いことに気付かされる。
しかし、バイクの足着き性はシート高の数値だけでははかれない。実際にまたがってみると「意外に足着きがいいな/悪いな」というケースもままあるものだ。
なお、今回の足着きチェックは「右足はステップに載せ、左足のみ地面に着く」という条件で行った。

「MT-125」━━125ccだから低い、というわけではない

カテゴリとしては原付2種ながら、MTシリーズらしいデザインと作り込みが魅力のMT-125。シート高は810mmで、身長160cm未満の小柄なライダーにとっては「けっこう高いな!」という印象だ。
実際にまたがってみると、片足着きでもかかとはけっこう浮く。原付二種だから、125ccだから足着きがいいはず、という先入観は禁物だ。
ただし、母指球(足の親指根元にあるふくらみ部分)までは接地することと、車体がこぢんまりしているため、かかとが浮いていてもそれほど不安は感じなかった。

MT-125

「MT-25/MT-03」━━会場内でいちばん足着きがいい!

MT-25とMT-03はエンジンが違うだけで基本的には同じ車体となり、シート高も同じ780mmだ。スペック的には集まったバイクの中でもっとも数値が低く、足着き性が良いことが期待される。
実際にまたいでみても、ぶっちぎりで足着きがいい。
腰をシートの中央に置いた状態で、わずかにかかとが浮く程度。ほんの少し左へ腰をずらすだけで、左足をかかとまでべったり着くことができた。身長157cmでここまで足が着くのだから、もっと小柄なライダーにとってもかなり足着きの不安が少ない車体といえるだろう。

ちなみにMT-25/MT-03は今年でフルモデルチェンジしていて、昨年までの旧モデルもシート高の数値は現行と同じ780mm。ところが、現行のほうが足着き性はだんぜんよくなっている。
どういうからくりなのかというと、シートとサイドカバーの幅を削り、スリム化されているのだ。機会があれば、現行と旧モデルをまたぎ比べていただきたい。足着き性はシート髙だけでなくシート幅にも大きく左右されることがわかるはずだ。

「MT-25/MT-03」

「MT-07」━━ステップがじゃまになる

大型としてはコンパクトな車体にちょうどいいパワー感。気負わず乗れるミドルクラスのMT-07のシート髙は805mm。数字から受ける印象は「低くはないが極端に高くもない」。果たしてその足着き性は?
数値のイメージよりもかかとが浮くつま先立ちで、母指球上端で体を支えるイメージ。シート髙805mmなのに、それほど足着きは良くないかも、という印象だ。写真をよく見るとわかるのだが、じつはこの足着き性、ステップの位置に影響を受けている。
小柄なライダーはできるだけシートが低い場所=シートのいちばん前に座ろうとする傾向があるが、MT-07はこの位置に座って足を下ろすと、ステップが足に干渉しやすい。ステップを避けるために足を前か後ろに出すことになるため、足着き性が若干悪化するのだ。

なお、これを改善するためにはバックステップに換装して、ステップ位置をずらしてしまう対策が極めて有効だ。筆者が所有する2017年式のMT-07も、同様にステップが足に干渉するため、バックステップを組んである。

「MT-07」

「MT-09」━━Y-AMTは小柄ライダーの救世主!

ミドルクラスのMT-07と比べてザ・ビッグバイクという印象になるMT-09。07と比べて一回り以上大柄な車体で、シート高は825mm。MT-07より20mmも高い。
精一杯がんばって足をピンと伸ばしているのだが、それでもMT-07と比べるとかかとの浮きはかなり大きくなる。母指球は接地せず、つま先だけで体を支えるトゥ立ち状態。
MT-07と比べてシート幅があり、足が外側に開いてしまうため、身長157cmの自分にとっては「慣れれば乗れるが、最初のうちは結構不安になりそう」と感じる足着き性だった。じつはMT-09もMT-07同様、シート前端に座るとステップが足に干渉する特性があり、そのために足着き性が若干犠牲になっていると思われる。

小柄ライダーにとっては足着き性良好とは言いがたいMT-09だが、それでも乗りたい小柄さんにとって救世主になる可能性があるのが、今年から発売されたMT-09 Y-AMTだ。
AT走行/手元でのレバー操作でMT変速を任意に選べるY-AMT装備車で、シフトペダルとクラッチレバーがないため、小柄ライダーにとって不安を招く「停車時の左右足の踏み替え」が必要ない。筆者はMT-09 Y-AMTを公道で試乗した経験があるのだが、左足一本つま先立ちでもそれほど不安なく乗ることができた。

「MT-09」

「MT-10」━━小柄ライダーには重心が低いのもうれしい

ヤマハのフラッグシップであるYZF-R1と同系統の998ccクロスプレーンエンジンを搭載したMTシリーズの最高峰、MT-10。威風堂々たる姿はまさにキングオブMT。
シート高は835mm。かなり高いが、YZF-R1のシート高855mmと比べればまだ低い方だ。
とはいえ身長157cmにはまず現実感のない足着き性だろう、と考えながらまたがってみたところ、「これは意外にアリかもしれない」という感触。
母指球が接地しないトゥ立ちであることには違いないのだが、MT-09やMT-07と異なり、足を下ろしたときにステップが干渉しないため、MT-09やMT-07と比べて足を無理に伸ばさず自然におろすことができるからだ。
この日またいだ車体は固定されていたため推測だが、おそらくMT-10は重心が低めで、またがり立ちしたときに安定感があることも、足着き性の不安の軽減につながっているのではないかと思われた。

「MT-10」

MT全車種足着きチェック、いかがだっただろうか。
MT夜会に展示された車体は、すべて直立状態で固定されていたため、実際に乗れるかどうかについては「サイドスタンドをかけた車体を自力で起こし、スタンドを払えるか」という問題も出てくる。

単純にこの足着きチェックだけではかれるものではないが、MTシリーズをまとめてまたぎ比べることで、車体ごとの違いが非常によく分かり、自分にとって不安なく乗れる車格のイメージも掴みやすいと感じた。

小柄ライダーで、「乗りたい車体があるけれど足着きが不安で……」と悩んでいる方は、シート髙のスペックだけを見て判断せず、車両展示イベントなどの機会を活用し、乗りたい車体の足着きを実際にまたいで確認してみてはいかがだろう。

レポート●増田恵子 撮影●shunta_i

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