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スカート付きはドムだけじゃない、ピストンもスカート付きです
10月18日は「ミニスカートの日」と言われています。1967年10月18日に「ミニの女王」と呼ばれたイギリス人モデル、ツイッギーが来日したことがその由来だそうで、一般的には裾が膝より上にあるスカートをミニスカートと呼びます。
少し機械に詳しい人ならバイクのエンジン内にもスカートと名称がついた部分があるのを知っている方もいるかもしれません。
それがピストンのスカートです。
燃料と空気が混じった混合気がエンジンの燃焼室で着火され、その膨張圧力を受け止める部品がピストン。この部品のリングよりも下の部分、シリンダーの内壁に接触しているところをピストンスカートといいます。
燃焼ガスの力を受け止めたピストンはシリンダー(筒)のなかを下がっていきますが、その際にまっすぐではなく、筒のなかを右に左にぶつかりながら下がることを避けるために設計されているのがピストンスカートです。
ちなみにこのぶつかりながら移動する現象が起きてしまうことを「ピストンが首を振る」と言ったり、このときを音をピストンスラップと呼んでいたりします。
当然ながらピストンがまっすぐ下がって、燃焼ガスの力をすべてクランクへ伝え、クランクがスムーズに回転することが理想です。とはいえ、ピストンに取り付けられているコンロッドが一直線ではなく、斜め方向になる時間があるため、ピストンが内壁に押し付けられるのを防ぐのは難しいのです。
このため最近のエンジンはオフセットシリンダーという、クランクの中心軸からシリンダーを少しズラして、ピストンがシリンダーに押し付けられる力を軽減しています。
押し付けられる力はフリクションロスといって、エンジンの回転抵抗になってしまうので、首振りが抑えられるのであれば、スカートは短いほうが抵抗が減ります。加えて、ピストンは往復運動部品。軽ければ軽いほどよいので、オフセットシリンダーなどが採用された結果、近年の高性能エンジンはピストンのスカートが短くなっているのです。
ホンダ クレージュ・タクトはミニスカートと関係あり
クレージュ・タクトは1983年に登場したホンダの原付スクーターで、タクトを基本にカラーリングをパリのファッションデザイナー、アンドレ・クレージュさんにデザインを依頼したモデルです。そして、アンドレ・クレージュさんはミニスカートをパリ・コレクションで初めてステージに登場させた方で、ミニスカートの創始者のひとりと言われている方です。パールホワイト&ピンクのカラーリングは女性ユーザーの関心を集めました。
ちなみにクレージュ・タクトのピストンスカートはそんなに短くありません。
レポート●飯田康博 写真●ホンダ/飯田康博