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バイクにビビる若手ライダーも開眼!「U30 スズキセイフティスクール」なら誰でも楽しくスキルアップ

開催日●10月9日(月・祝) 
会場●セイコーモータースクール(埼玉県ふじみ野市)
https://ceico.jp

雨にもめげず、14名の若手ライダーが参加

10月初の祝日、3連休最終日はあいにくの冷たい雨。こんな日はどこにも出かけず、昼過ぎまで布団にくるまっていたいものだが、そんな中でもバイクにもっと上手く乗りたい、楽しく走らせたいと思う意識高めの若者ライダーは集った。14名の参加者が、雨にもめげず今年3回目となるスズキセイフティスクールを受講した。
コロナ禍の影響で、4年ぶりの開催となった同スクールは。7月の静岡県浜松市(西部運転免許センター)、9月の兵庫県尼崎市(阪神ライディングスクール)と続き、今年最後の3回目は関東の埼玉県ふじみ野市のセイコーモータースクールが会場となった。
スズキ二輪が主催するこのスクールは、タイトル「U30」のとおり、30歳以下の初心者を対象としているが、何人かの受講者に聞くと、免許歴は取得後1~3年が多めの模様。バイクを買って走り始めたけれど、「この乗り方でいい?」と悩む時期は、免許取り立てよりも公道をある程度走ってみてからなのかもしれない。
10時の開校式後は約1時間の座学。ヘルメットの正しい被り方(アゴ紐は指1~2本入る余地を残してしっかり締める)、4輪車と絡む比率の高い、出会い頭、右直(4輪車が右折側)といった事故例の説明と注意喚起などがレクチャーされ、その後は受講者に乗り方での苦手を質問。「Uターン」、「ブレーキ」、「ギヤチェンジの仕方」といった声が挙がったが、同スクールは、そうした要望も十分に含めたメニューで対応している。
主な内容は、午前中は走行準備前の説明に始まり、ブレーキング、午後は低速バランス(定常円旋回)、パイロンスラローム、コーススラロームとなっている。

会場は埼玉県ふじみ野市にあるセイコーモータースクール。座学後は外に出てまずは準備運動。

車両点検は「ネンオシャチエブクトウバシメ」ないし「ブタと燃料」

座学後は外へ移動し、走り出し前の基本チェック事項の確認。「ネン(燃料)・オ(オイル)・シャ(車輪=タイヤ)・チ(チェーン)・エ(エンジン)・ブ(ブレーキ)・ク(クラッチ)・トウ(灯火)・バ(バッテリー・ハンドル・バックミラー)・シメ(各部締め付け)」と覚えるところだが、長くて覚えにくいなら最低限の確認で「ブ(ブレーキ)・タ(タイヤ)・ト(灯火)・ネンリョウ(燃料)」はやりましょうと指示される。
その後は、乗車姿勢の確認。まずステップ上に立ってまたがった後、膝を曲げて自然に尻を下ろせる位置に着座。そして両腕は力を入れずすっと手を伸ばしてハンドルに添える感じ。バイクは車体を傾けた方向に自然にハンドルが切れるが、その自然な挙動を阻害せず操作するのが基本で、腕に余分な力を入れないようにということである。
そして各自がまたがり、エンジン始動。ちなみに車両は自分の車両を持ち込み(参加は125cc以上のスズキマニュアル車が条件)、もしくは5000円で車両(GSX250R)レンタルが可能だが、当日は4名のレンタル以外は自前参加。内訳はジクサーSF250複数台、GSX250R複数台、GSR250、アクロス(レア車!)、SV650Xという感じだった。

乗車姿勢のアドバイス。苦手な人の多い右Uターンでは、そのままハンドルを切ると、どうしても右手首と肘の角度が窮屈になって操作しにくい。
その場合は、上体の向きや着座位置を少し変えるなどして右手首や肘の角度を緩くし、操作しやすい体勢を作るようにする。

「走る、止まる、曲がる」を磨く各メニュー

慣熟走行で外周を回った後、最初のブレーキングでは、制動時のバイクの挙動を体感させる。一定距離ごとに並べられたパイロン間で、最初はスロットルの開け閉めで車体がどう動くか確認をした後、今度はその操作に前制動のみ加えた場合の挙動、次は前後ブレーキを加えた挙動を体感。エンジンブレーキに前後ブレーキを加えた制動が一番車体が安定するのを実感させるのだ。
そしてブレーキングでは、目標地点でしっかり止まるための目標制動、走行中にインストラクターの挙手を確認したら操作を開始する反応制動の練習も盛り込まれた。
約1時間の実技講習の後は昼食を挟み、午後からは低速バランスというメニュー。具体的には2車線の真ん中に1本パイロンを置き、周囲をなるべく小さく回る練習。低速での定常円旋回だが、これはUターンの習熟につながるものだ。
苦手なライダーが多い項目だが、特に右回りの苦手比率は高い。ハンドルをフルロック近くまで右に切ってスロットル操作をすると右腕が窮屈になるからだが、そんな場合は「着座位置をずらし上体を少し右にひねるなどして、右腕の角度を緩くして操作しましょう」とインストラクターの大束さんがアドバイス。加えて「目線は高めに維持して向かう方向に、上体も進行方向に相対するよう、両肩に目があるような意識で」と付け加える。
スロットルの微妙な操作、半クラを含めたクラッチミート、そしてリヤブレーキでの速度調整の3つで車体を安定させつつ小回りする操作は、確かに微妙なコントロールが必要。しかし、Uターンは必要な場面が多い操作でもある。最初は両足をつきながらスロットルとクラッチミートだけでゆっくり回ってもいいとのことでそうする受講者は多かったが、ある程度習熟すれば両足をステップに載せ、リヤブレーキコントロールを加えて車体を制御したほうが、よりきれいに小さく回れる項目でもある。
受講者の多くが、目線の向け方も含めてけっこう格闘している様子だったが、操作の基本を実感して、あとは場数をこなしていくのみ。広い場所は必要なく、他人に迷惑さえかけなければ近場の空き地や駐車場などでもできるので、個人的にも練習しやすい項目だろう。

同スクール、メインインストラクターの大束晴彦さん。定常円旋回の際「両肩にも目があるつもりで、バイクの進む方向に身体を向けましょう」とアドバイス中。
Uターン習熟につながる低速定常円旋回。極力ハンドルをフルロックとし、視線は地面近くではなく上の遠目。スロットル、リヤブレーキ、半クラの微妙な操作感を磨こう。

苦手の悩みを共有しつつ、練習で怖さを消して行く場

ブレーキング練習と低速バランスのメニューをこなし、身体が慣れたところでスラロームへ。一方のコースは直線的なパイロンの置き方、もう一方はオフセットスラローム。浅めと深めのスラロームを交互に走り、それぞれのブレーキ・スロットル・リーン操作を体感するのだが、受講生の皆さん、午前中によりスムーズさに磨きがかかった様子。
ある程度の速度で車体を操る練習は、習熟すればするほど人車一体感が出て操作が楽しくなるものだが、終了後は「スラロームは楽しい、もっと走りたい」なんて感想も出るほどだった。
今回メインで進行を務めたインストラクターの大束晴彦さん(株式会社スズキ二輪・広報営業企画部・安全運転課)によると、「初心者の方の苦手な項目は、意外と人それぞれだと実感しているところです。しかし、一番大切なのは止まる動作だと思うのでそこから始めて、ブレーキ練習で身体がバイクに慣れたところで、低速バランスの練習というように、少しずつ速度を上げていくメニューにしています」とのこと。
そして、免許を取り公道を走れるようになったとはいえ、公道では思いがけなく怖い体験が様々ある。しかし、そんな経験からだんだん乗らなくなってしまうのでなく、スクールが怖さを消し、乗ることの勇気づけになればいいとも考えている。
「あとは、初心者の皆さんの悩みを共有できる場でもありたいですね。この人もこんな風に悩んでいるんだ、自分だけじゃないんだと感じて、上達してもらえれば効果的なのかなと思っています」と大束さん。
主催するスズキ二輪では、来年(2024年)も開催に向け会場を選定中というから、興味のある方は是非次回にご期待!

直線的なほうの、パイロンスラロームコース。午後はウェット路面走行にも慣れてきた様子で、リズミカルで流れるようにクリアする受講者も多かった。
別の直線路は、パイロンオフセットスラローム。各コースで操作の違いを体感するのがねらい。なお同スクール23年の受講料は5000円(お弁当+ドリンク、記念品込み)だった。
参加者の宮部千春さん。「普通二輪免許の取得は1年半ほど前でしたが、その後出産と育児で、まったく乗っていなかったんです」という宮部さんは、公道デビューに備えて受講。「参加者の中で一番乗れてない私のために、ほぼマンツーマンで教えてくださって、本当に有難かったです」。レンタル用(料金5000円)のGSX250Rを使用。
K・Hさん(22歳)。大学生の彼が持ち込んだのは、懐かしのアクロス。タンク部がメットイン、燃料タンクはシート下(給油口はリヤシート下)という斬新な250ロードモデルは1990年登場。「年式だと31年前のバイクみたいですけど、タンク部の収納とデザインが気に入ってます」。元気な4気筒サウンドを奏でていました。

“長男坊・ケイスケ”のスクールインプレッション

本スクールには、筆者の長男である景祐(21歳・大学生)も参加させていただいた。バイクに乗ることを特段推奨もせず、スパルタ教育を施した覚えもないが、昨秋、突然普通二輪免許を取りに行き、今年の冬にスズキジクサーSF250を自腹で購入して以来、通学に使ったり、ふらっとツーリングに出かけたりしていた様子。キャリア的に本スクールに打ってつけということでの参加となったが、さてどんな感想を持ったのか……。
「前ブレーキを強くかけることには多少不安があるけど、リヤも有効に使って制動すれば車体を安定させて止まれることは徐々にわかってきたところ。でも今回、エンジンブレーキだけ、エンブレ+フロントブレーキだけ、エンブレ+前後ブレーキと、3パターンのブレーキを試してみたら、なるほどこんなふうに車体の挙動が変わるんだと改めて実感できた。あとはUターン(定常円旋回)のこと。やっぱり自分も右ターンが苦手だったけれど、腕が窮屈にならないようにあらかじめ着座位置や上体の向きを変えておくと言われて、なるほどと思った。これは新たな気づきだった。身体が慣れてきたせいもあって、最後のスラロームは楽しかった。もう少しやってたいなと思ったくらいだけど、今度は濡れてない路面で練習してみたいですね」(阪本景祐)

今年の冬に購入したジクサーSF250はその後、4000km程度走行。価格の安さと燃費のよさ(35〜40km/L)に加え、ツーリングでも疲れず、クセがなく素直で乗りやすいと満足している模様。

「U30スズキセイフティスクール」概要

以下、すでに開催を終了した2023年スクールの概要を参考として記しておく。2024年の開催およびその内容についてはこれから決定される。

○参加資格 バイクの基本操作を学びたい初心者。(エキスパートおよび講習会に慣れた方の参加は不可)
※免許は取得したが、まだ車両を購入していないという初心者にはレンタル車も用意されている
○申込み方法 事前申込制。当日参加不可(定員になり次第、受付終了)
※2023年の事前申し込み用WEBページはすでに閉じられている。2024年の開催情報を待ってほしい
○使用車両 スズキ車、マニュアル車、125cc以上の車両に限る。
○定員 各会場 20名
○参加費用 5,000円/車両レンタルの場合は5,000円+レンタル料5,000円(昼食、フリードリンク、傷害保険代を含む)
○当日のスケジュール
9:30~10:00参加受付
10:00~11:00開校式、オリエンテーション、座学
11:00~12:00走行(ブレーキング)
12:00~13:00昼食
13:00~13:50走行(低速バランス)
13:50~14:00休憩
14:00~14:20走行(パイロンスラローム)
14:20~14:30休憩
14:30~14:50走行(コーススラローム)
14:50~15:00閉校式
○レンタル車両について
GSX250Rが5台、レンタル車両として用意されている。受付は先着順。なおライダーの装備品はレンタルされていない

report&photo●阪本一史

CONTACT

株式会社スズキ二輪(U30スズキセイフティスクール)
https://www.suzuki-cp.jp/usafety/

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