試乗インプレッション

【NEW MODEL IMPRESSION】時に優雅なクルーザーに時に 俊敏なスポーツバイクに DUCATI DIAVEL1260/S

イタリア語で"悪魔" を意味するネーミングどおりの禍々しさすらある派手なデザインと、スーパーバイク1198が原点のエンジンが特徴の「ディアベル」がモデルチェンジ。スペインの国際試乗会に参加した鈴木大五郎は、排気量を拡大した"悪魔" を手なずけることができたのだろうか。
 

report●鈴木大五郎 photo●DUCATI
 


 

より自然なスポーツ特性へ進化

ドゥカティ史上最大の〝問題作〟ともいえるディアベル。ドラッグ&クルーザースタイルのマシンに対しては発売当時、賛否両論があったが、その乗り味はやはりドゥカティにしか出せないフィーリングが満載で、予想以上のヒットを記録して同社の主力マシンのひとつとなった。見た目からイメージするよりも相当に走るその運動性能は意外なもので、操る喜びを感じさせる純粋なマシンでもあった。

そんなディアベルがモデルチェンジ。2016年にデビューしたXディアベルのエンジンとメインフレームをベースとしつつ、スポーツ性をより盛り込んだマシンとなった。

●写真は上級仕様「S」で、前後ともフルアジャスタブルのオーリンズ製サスペンションとなる他、アップ・ダウン両対応のクイックシフターなどを装備。コーナリングABS、トラクションコントロールといった電子制御の安全装置はスタンダードでも標準装備

ムルティストラーダ1260等でも定評のあるテスタストレッタDVTエンジンは、低速域でのパワーデリバリーが秀逸。トルクフルではあるのだが、従来モデルのワイルドさがいい意味で調教されている。100km/h程度で高速道路を流しているときでも、エンジンの鼓動と躍動感は乗り手を飽きさせず、フルスロットルを与えれば凄まじい加速力をいつでも味わわせてくれる。

●可変バルブタイミング機構「DVT」とツインプラグを採用する新エンジン。低回転でのトルクと、高回転域での高出力を両立する。また新エンジン搭載にあたり、鋼管トレリスフレームも刷新し、ハンドリング性能も高められた 

しかし、それにも増して進化したのはマシンをバンクさせていく際の楽しさである。刷新された車体は、その姿からは想像できないほど軽快なハンドリングを生み出していて、ワインディングではまるでスポーツネイキッドのような走りを楽しめる。まさかリヤに240サイズのタイヤを装着しているなんてイメージできないほどクセのないハンドリングで、外乱にも動じることがない。
サスペンションの適切な設定とともに、適度に柔軟なフレームがうまい具合にそれらをいなしているのだろう。シートにドカンと着座するのではなく体をうまく使って旋回性を引き出そうとすると、それに応えてより高い運動性能を発揮してくれる。マシンなりに素晴らしい旋回性を発揮するスポーツバイクよりもむしろ面白さを感じるところである。

●特徴的なヘッドライトとボリュームあるフロントのデザインはキープコンセプト。「S」はフロントブレーキキャリパーにブレンボ製M50を採用。スタンダードはブレンボ製M4.32

多くのドゥカティ製バイクは、コーナリングやブレーキングでテクニックを駆使して走らせなければならないマニアックな一面がある。一方、ディアベルはそんなプレッシャーを感じることなく、ドゥカティが誇るデスモエンジンを存分に、純粋に楽しめ、そこにプラスして意外にスポーティな走りもできる存在としてここまで来た。されど、新型ディアベルのスポーツ性は「意外に」どころのレベルではない。マッチョでパワフル、スパルタンさも感じさせながら、実はイージーな操作性。そして、もはや特殊さなど感じさせないコーナリング性能を発揮する。

こんなに懐の深いバイクであれば、何も怖がることはない。万人の心を虜にする〝悪魔〟である。

●メーターは上下分割式のカラー液晶。4つの表示モードが選択可能だ


 

RIDING POSITION


ハンドル位置はさほど遠くなく自由度も高い。ポジションは従来型とほぼ同じで、強烈な加速に対応するシートのホールド性も良い。足着き性は良好で、車重も軽く安心感は大。エンジンマネージメントが良好なこともあり、Uターン等での取り回しも良好。
 

思うがまま、イージーに走れる

FAVORITE

唯一無二のスタイル、そして走り。想像以上にスポーティにも走れるし、のんびり走るのも楽しい。エンジンの良さをプレッシャーなく感じることのできる車体。サスペンションの動きの良さ。安定感。クイックシフターの作動性。足着き性の良さ。必要十分なバンク角。アップグレードされた安全性。

REQUEST

デザインは良いものの、コンパクトなメーターの視認性はさほどよろしくない。デイタイムランニングライトがカッコいいので(ドゥカティに限らず、各メーカーこだわりをみせている箇所だけに残念)日本での認可を希望。タンデムスペースの快適性は……。電子制御サスペンションの可能性も見てみたい。
 


 

DIAVEL1260/S

■Specifications

【エンジン・性能】種類:水冷4ストロークV型2気筒DOHC4バルブ ボア×ストローク:106.0×71.5㎜ 総排気量:1262㎤ 最高出力:117kW<159ps>/9500rpm 最大トルク:129Nm<13.1kgm>/7500rpm 燃料タンク容量:17L 変速機:6段リターン

【寸法・重量】全長:─ 全幅:─ 全高:─ ホイールベース:1600 シート高:780(各㎜) 車両重量:244㎏ タイヤサイズ:フロント120/70ZR17 リア240/45ZR17

【カラー】灰[灰、黒]

価格●228万5000円/ 268万円 発売時期●6月
 

CONTACT

問い合わせ先 ドゥカティ
電話番号 TEL:0120-030-292
URL http://www.ducati.co.jp

 

あわせて読みたいオススメ記事はこちら!


匿名係長 第5回 ドゥカティ1199パニガーレの巻(前編)


今年の夏こそ走りたい 北海道の絶景直線道路10選!!

  1. 【待ちに待った瞬間】 HAWK 11(ホーク 11) 納車日の様子をお届け!

  2. “HAWK 11(ホーク 11)と『芦ノ湖スカイライン』を駆け抜ける

  3. “ワインディングが閉ざされる冬。 HAWK 11(ホーク 11)となら『街の朝駆け』も悪くない。

  4. “スーパーカブ”シリーズって何機種あるの? 乗り味も違ったりするの!?

  5. Honda純正「ULTRAオイル」で安心のバイクライフ

  6. ダックス125が『原付二種バイクのメリット』の塊! いちばん安い2500円のプランで試してみて欲しいこと【次はどれ乗る?レンタルバイク相性診断/Dax125(2022)】

  7. レブル250ってどんなバイク? 燃費や足つき性、装備などを解説します!【ホンダバイク資料室/Rebel 250】

  8. ただの味わい系バイクじゃない。 新型『HAWK 11 (ホーク 11)』に感じる大型バイクの新境地【HAWK 11に、乗る /試乗インプレ・ファーストレビュー 前編 】

アバター

モーサイ編集部

投稿者の記事一覧

1951年創刊のモーターサイクル専門誌。新車情報はもちろん、全国のツーリングライダーへ向けた旬な情報をお届けしています!

モーターサイクリストは毎月1日発売!

おすすめ記事

ドゥカティ・ディアベル1260Sとスクランブラーシックスティ2に個性的なニューカラーを設定 即位パレードで注目の「サイドカー」、運転には何の免許が必要? SHOEIからクラシックスタイルの新型フルフェイス「グラムスター」がついに登場!

ピックアップ記事

PAGE TOP