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KTM新型RC390試乗 「吊るしでサーキットも楽しめる400ccスーパースポーツ」

RC390 KTM 2022

MotoGPマシンのイメージを受け継いだKTMのミドルスーパースポーツ・RC390がいよいよ日本で販売を開始。各部のブラッシュアップが図られた車体に、大排気量車に見劣りしない電子制御機構──いやが上にも期待が高まる。スーパースポーツとしての運動性能を最大限に引き出せるサーキットを含め、新型RC390の実力をチェックした。


アンダー400ccで大躍進のKTM

近年のアンダー400ccクラスを俯瞰し、最も効率のいい開発を行い、最も勢力を拡大しているメーカーと言ったら、多くの人が思い出すのはKTMグループじゃないだろうか。

2011年にスチール製トリレスフレーム+水冷単気筒の125デュークを発売した同社。以後は基本設計を転用する形で、排気量拡大仕様(200、250、390cc)、スーパースポーツ、アドベンチャーツアラー、ハスクバーナのヴィットピレン&スヴァルトピレンシリーズなど、多種多様なモデルを10機種以上も世に送り出しているのだから。そしてそれらの中で、デビュー時に僕が意外性を感じたのは、2014年から販売が始まったRCシリーズだった。

当時の日本勢が販売していたアンダー400ccの運動性にもの足りなさを感じることが多かった身としては、READY TO RACEという同社の理念に従って開発されたRCシリーズは、何だか新鮮に思えたのだ。もっとも、実際のRCシリーズはレースに特化したモデルではなく、市街地走行やツーリングに使える汎用性を備えていた。

ただし、同時代の日本勢と比べれば、スポーツライディングを楽しむ準備が整っていたのである。なおRCシリーズの主な排気量は125cc、200cc、390ccの3種だが、日本を筆頭とする一部の地域用として、2015年〜2020年には250ccを販売していた。

前置きが長くなったけれど、RCシリーズは2022年型で大幅刷新を慣行。パッと見で判別できる従来型との相違点は、レースの技術を転用して空力性能に磨きをかけたフェアリング、DRLと一体型のLEDヘッドライト、容量を9.5Lから13.7Lに拡大した燃料タンク、新規採用のTFTカラーディスプレイだが、剛性バランスを最適化したフレームや、前後で3.4kgの軽量化を実現したホイールなども、新しいRCシリーズを語るうえでは欠かせない要素だ。

なおエンジンは既存の構成を踏襲するものの、吸排気系は全面刷新。390はアンダー400ccでは貴重な装備、ボッシュの3軸IMUと連動して緻密な制御を行う、コーナリングABSとトラクションコントロールを導入している。

2022年型でフルモデルチェンジが行われ、第二世代となったKTM RC390(83万円)。カウルはMotoGPレーサーRC16で培った技術を生かし、より空力特性が煮詰められた。
従来型までメインフレームと一体型だったシートレールは、新型ではボルトオン式に変更。車体色は写真のブルー×オレンジと、オレンジ×ブラックの2種がラインアップされる。

乗り手の技量を問う特性

常用域での扱いやすさを損なうことなく、運動性に磨きをかけたモデル。それが、新しいRC390に対する僕の印象だ。基本設計を共有するアップハンドル車、390デューク/アドベンチャーが存在するのだから、個人的には、もっとサーキット志向を強めてもいいと思うのだが、そこまで割り切ったキャラクターではなかった。

と言っても、サーキットやワインディングにおける新型の運動性は明らかに向上していたのである。具体的な話をするなら、コーナー進入時のフロントの接地感は従来型より濃厚になっているし、コーナーの立ち上がりでは頭のいいトラクションコントロールを信用して、かなり早い段階からアクセルを開けられる。

また、エンジンの吹け上がりは単気筒とは思えないレベルのスムーズ&シャープ化が図られているから、その特性に慣れるまでは、何度もレブリミッターを作動させてしまった。ところで、従来型も新型もRCシリーズの乗り味は、見た目から想像するほど軽快ではないし、お手軽でもない。

車体は意外に安定志向で、エンジンはパワーバンドが明確だから、乗り手の技量が問われるのだ。こういう特性をどう感じるかは人それぞれだけれど、スポーツライディングの充実感が味わいやすい、スポーツライディングの基本が学べるという意味で、僕は大いにアリだと思っている。前述したように、デビュー当初は新鮮な存在だったRCシリーズだが、あれから8年が経過した現在、日本勢からも運動性へのこだわりを感じるアンダー400ccが続々と登場している。とはいえ今回の大幅刷新を経て、RCシリーズはライバル勢に対するアドバンテージを再び広げたのだ。

エンジンは従来型と基本的には同様で、排気量373ccの水冷単気筒DOHC4バルブ。ただし、容量を40%拡大したエアボックスやステンレス+アルミサイレンサーの排気系は新規開発。

KTM RC390 ここが気に入った!&ここが気になる

ここが気に入った!

RCシリーズの最大の魅力は、ツルシのままサーキットランが楽しめること。とはいえ今回の試乗で、純正オプションのフォークインナーキット&リヤショック、WP APEX PRO装着車を体感してみたら、コーナリングスピード(と乗り心地)が明らかに向上。となると、ツルシの場合は「楽しめる」の前に「それなりに」を入れるべきか……。

ここが気になる

一方で、ちょっと残念だったのは排気音。MotoGPレーサー風のサイレンサーはカッコイイのだが、膨張室がいい仕事をしすぎなのか、中から高回転域を使った際の盛り上がりがいまひとつ。現代の騒音規制を考えれば、音量が下がるのは止むを得ないし、単気筒の消音は難しいと言われているのだが、もうちょっと音質の演出に気を使ってほしいところ。

KTM RC390の足着き&ライディングポジション

従来型と比べてタンクが8mm後方に伸び、シートが4mm高くなったため、ライポジは従来型よりレーシー。と言っても、ストリートでツラさを感じるレベルではない。なおKTMのアンダー400ccモデルは、日本車勢と比べると足着きがよろしくない(ライダーの身長は182cm)。

KTM RC390主要諸元

【エンジン・性能】
種類:水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブ ボア×ストローク:89×60mm 総排気量:373cc 最高出力:32kW(44ps)/9000rpm 最大トルク:37Nm(3.7kgm)/7000rpm 燃料タンク容量:約13.7L 変速機:6段リターン
【寸法・重量】
全長:── 全幅:── 全高:── ホイールベース:1343 シート高:824(各mm) 重量(乾燥):155kg タイヤサイズ:F110/70ZR17 R150/60ZR17
【カラー】
ブルー×オレンジ、オレンジ×ブラック
【価格】
83万円

セパハンの装着位置はトップブリッジ下で、10mmの高さ調整が可能。日本車と比べると絞り角は少なめ。WP製の倒立フォーク(インナーチューブ径43mm)は伸圧減衰力アジャスター付きに。
従来型はモノクロ液晶だったメーターは、390/125デュークや390アドベンチャーと同タイプのTFTカラーに。電子制御機構の選択状況なども表示される。
前後キャリパーはバイブレ製で、WPのリヤショックはプリロードと伸び側ダンパーが調整可能。外側にリブを備えるアルミスイングアームはKTMならでは。
ホイールは専用設計で、純正タイヤはコンチネンタル・コンチロード。インナーを省略したフロントディスクは、従来型に対して960gの軽量化を実現している。
シートはスポーツモデルらしからぬ……と言いたくなるほど、前後ともウレタンが肉厚。滑りにくさを意識した表皮は、アルカンターラを思わせる質感だ。
スチールパイプ製のトレリスフレームは従来型がベースだが、剛性バランスの見直しを行うと同時に1.5kgの軽量化を実現。
2022年モデルでは「1290スーパーデュークRエヴォ」も登場!!

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