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BMW R20コンセプトは、ビッグボクサーツインの「塊」(かたまり)を主役に据えたコンセプトモデル
R18の空油冷ビッグボクサーツイン(1801cc水平対向2気筒)をベースに、2000cc付近まで排気量アップしたエンジンを専用のフレームに抱えたロードスターモデル──。
東京モーターサイクルショー(3月28日〜30日開催)に展示されたこの「R20コンセプト」を、BMWモトラッドは「ビッグボクサーを主役にした、機械の傑作を目指した」というが、全体のクラシックなデザインと優れたメカニズム融合が、確かに機械でありながら芸術的な雰囲気も漂わせる。
マシンの主役であるビックボクサーを中心に据え、アルミ製のタンクは彫刻のような存在感を放ち、後部はソリッドに絞り込まれた造形としてバイクのパワーを強調しているかのよう。
新たに設計されたシャシーは、クロモリ鋼管製の黒いダブルループのメインフレームがバックボーンを形成し、ホイールはフロント17インチ(タイヤは120/70サイズ)のブラックスポークホイールを、リヤも17×6.25インチ(タイヤは200/55サイズ)を採用。
熟成を重ねてきたBMWのリヤ・パラレバーサスは、スイングアームがクロモリ鋼、パラレバーストラットがアルミ製の新たな2アーム構造とされ、駆動トルクが完全にバランスするように設計。また2つのアルミ削り出しリヤアクスルキャリヤは、高剛性でかつ高い質感を漂わせる。





BMW R20コンセプトの車体を資料から読み解く「キャスター角を立て、ホイールベースは短かく。リヤはコンパクトに絞り込んだ造形に」
R18から採用された露出型のドライブシャフトはR20コンセプトでも継承され、メカニカルな雰囲気を演出しているが、ロードスターのキャラクターと特性に合わせて短縮されている。そしてシャシーのジオメトリーはステアリングヘッド角(キャスター角)が27.5度(R18は32.7度)、ホイールベースは1550mm(R18は1725mm)とされている。
サスペンションは、前後ともにフルアジャスタブルなオーリンズ製ブラックラインコンポーネントが採用され、ラジアルマウントのブレーキキャリパーはISR製でフロントは対向6ピストン、リヤは4ピストンタイプを採用。
なお、外観的なフィニッシュとしてエンジンはオイルラインを部分的に隠すように設計され、新たなシリンダーヘッドカバーとオイルクーラーも開発されている。そしてサイドビューでは、オープンになった吸気ファンネルからスロットルボディを経てシリンダーヘッドに流れ込み、その後メガホン形状となった排気ハイプへと続く流れが力強いビッグボクサーサウンドを想像させる。
テールセクションは上質なレザー製シングルシートに統合されたデザインとして、エンジンを主役としたダイナミックなロードスターの外観を強調している。モダンなLEDヘッドライトはDRL(デイタイム・ランニング・ライト)が組み込まれたアルミリング状の外観が特徴で、これら細部のそれぞれがR20コンセプトの個性を引き立たせているようだ。
開放型となっている吸気系は、市販型ではエアボックスが設けられるはずで、保安部品類の配置も今後の検討事項だろうが、空油冷ビッグボクサーのパンチのある走りに期待を持たせる1台だ。







まとめ●モーサイ編集部・阪本一史 写真● BMWモトラッド、モーサイ編集部
2025年3月29日追記:記事の一部を訂正しました。
2025年4月2日追記:タイトルに誤りがあり訂正をいたしました。