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「RC」の名とともに復活するKTMの大排気量スーパースポーツ
KTMのスーパースポーツが大排気量クラスで復活する。車名の頭にRCと入るKTMの同カテゴリーのモデルは、2008年登場の1190RC8からスタートしている。ワールドスーパーバイク参戦を視野に入れて開発されたRC8シリーズは、その後排気量を1148ccから1194ccとしてパワーアップしたRC8Rへと進化。しかし2016年に生産を終了。その間RCシリーズは小排気量の単気筒シリーズで125、250、390といったモデルがラインアップされて現在に至るが、大排気量Vツインスポーツの座はしばらく空席のままだった。
だが、2025年からこの座がよりスポーツ性を研ぎ澄ましたモデルで埋まることになりそうだ。その名は990RC R。2025年の第二四半期にデビュー予定とアナウンスされる同車は、公道走行も可能なピュアスーパースポーツを謳う。
MotoGPレースのほぼすべてのクラスで得た経験をフィードバックして造り込まれた990RC Rは、公道でのスポーツライディングの楽しさを高度に提供するのはもちろん、サーキットで遊べるトラックエディションに簡単に変身できることもアピールする。
コンパクトな947cc並列2気筒LC8cエンジン搭載のロードゴーイングレーサー
990RC Rに搭載されるパワーユニットは、車名の数字でも分かるように、現行990系と基本を共用する947cc並列2気筒LC8cエンジンで、公道モデルとしてEURO5+に準拠する環境性能を確保。その上で128psの最高出力と7000rpmで103Nmという高トルクを発揮。
コンパクトな並列ツインを抱えるフレームはスチール製で、スーパースポーツモデルとしてフロント荷重重視で最適化した設計。キャスター角は25度に設定し、ステアリングの正確な応答性をねらってフォークをオフセットさせている。高い剛性を確保した車体で、アルミ製サブフレームと合わせて低速時の機敏さを損なわず、ストリートでの荒れた路面からレーストラックまで、加速時の最適な感触と安定性を実現しているという。
またRC Rのもう一つの主要な特徴は、人間工学に基づくライディングポジションの追究。足元、ヒザ、腕の左右6点の接触点の最適化している。タンクの造形にぜひ注目してほしいが、トラック仕様プロトタイプではさらにライダーのベストな接触点を増やすべく、タンクのニーパッド、タンク前側に設置された腕をホールドするパッド、調整機構付きのステップなどが装着されている。
また、フルアジャスタブルのWP製APEXオープンカートリッジフォークフォークやWP製フルアジャスタブルリヤショック、軽量なアルミキャストホイールとミシュラン製タイヤの組み合わせも、ライダーとマシン、そしてあらゆる路面での最適なコンタクトに貢献しているとアピールする。
(なお上記装備は市販版のトラック仕様で同様になるかは未定)
サーキット走行用「トラックエディション」への容易な換装もねらったRC R
そして外観のスタイリングフォルムは、MotoGPからの技術的フィードバックを感じられる部分。ブレーキングやコーナリング時の安定性に貢献するエアロウイング、レースシーンからインスピレーションを得たボディワーク、エッジ処理などに、レーシングマシンの血統をよく表している。
また990RC Rトラックエディションへの簡単な変更も、KTMのキャッチフレーズ「Ready to Race」を象徴している。保安部品の取り外し、レースチューン用の機構やフルエキゾーストへの換装で、レーストラック仕様へ変身可能。即ラップタイムに集中可能な世界へと誘ってくれるものだと、KTMはアピールする。
性能スペックや仕様は詳細が公表されておらず、不明な部分が多いものの、公道での爽快なスポーツランから、レーストラックでのハイパフォーマンスまでを、ピュアに追究したスーパースポーツの復活に期待したい。990RC Rのリリースは2025年春以降となりそうだ。
まとめ●モーサイ編集部・阪本 写真●KTM