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住友ゴムは6月23日、所有する市島工場(兵庫県)と岡山県にあるタイヤテストコースで国蝶であるオオムラサキの羽化が始まったと発表ししました。
ダンロップ、ファルケンブランドのタイヤを製造販売する住友ゴム
住友ゴムといえば、DUNLOP(ダンロップ)やFALKEN(ファルケン)などのブランドを有し、乗用車用、トラック・バス用、産業車両用など、さまざまなシーンで活躍するタイヤ製品を展開しています。
もちろんバイク用のタイヤも製造しており、2012年からは世界最高峰の二輪ロードレースである「FIMロードレース世界選手権」のMoto2、Moto3クラスにタイヤ供給を行っています。
また「FIM世界耐久選手権シリーズ」でも2022年は4チームにタイヤを供給、さらにオフロードレース「AMAスーパークロス」や「モトクロス世界選手権」、「全日本ロードレース選手権」をはじめ、さまざまなカテゴリーにおいてタイヤサプライヤーとしてレーシングライダーの足元を支えています。
スクーターやビジネスモデルバイク用から、大排気量スポーツバイク用まで豊富なラインアップを展開し、多くのライダーにとっても馴染みのある存在です。
国蝶なのに準絶滅危惧種……オオムラサキ
今回、市島工場と岡山県のタイヤテストコースで羽化の始まった「オオムラサキ」は、羽を広げると10cm以上になる大型の蝶で、オスのみ羽の表側が美しい紫色に輝くのが特徴です。1957年に日本昆虫学会によって国蝶に選ばれましたが、雑木林が少なくなってきた影響で生息地が局地的になり、現在では準絶滅危惧(NT)にも指定されています。
オオムラサキが分布するのは国内では北海道から本州、四国、九州、国外では中国、ベトナム、台湾、朝鮮半島で、日本の国蝶ではありますが南限は宮崎県野尻町だといい、鹿児島県や沖縄県には生息していないそうです。
成虫は6月下旬~7月下旬にかけて羽化し、8月に産卵を終えると死んでしまうとのこと。
餌となるエノキの木から育てた、超本格的なオオムラサキ育成
実は住友ゴムでは、15年前の2007年からオオムラサキの育成に取り組んでいます。
と言っても、育成を始めてすぐに羽化に漕ぎ着けたわけではなく、2007年はオオムラサキの幼虫の餌となるエノキの木を種から育てることから始まり、木が1m程度に育った2011年から幼虫をケージに放ち、4年越しで羽化に成功。
さらに育成に際しては、川西市環境審議会専門委員で兵庫丹波オオムラサキの会会長の足立隆昭氏にアドバイザーとしての参加を求めるという本格的な体制で、以降毎年オオムラサキの姿を観察しているとのことです。
また、市島工場については敷地の約7割が緑地という豊かな自然環境を有しており、オオムラサキの育成以外にも絶滅危惧IB類(EN)に指定されている日本固有の淡水魚ホトケドジョウの育成など、様々な環境保全活動を行っています。これらの緑化・環境保全活動が認められ、2022年4月には「令和4年度緑化推進運動功労者内閣総理大臣表彰」を受賞しました。
住友ゴムによれば「今後も環境保全や地域との共生を図るため、様々な活動を行っていきたいと考えております」とのことです。
まとめ●モーサイ編集部・中牟田歩実 写真●住友ゴム