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バイクキャンプ+ポータブル電源の可能性
対災害用品として注目されているポータブル電源だが、当記事では「バイクでポータブル電源を持っていけば、どんな遊び方ができるのか」ということをテーマとしたい。
映画「イージーライダー」で主人公キャプテン・アメリカは、チョッパーで旅に出かける前に腕時計を投げ捨てる。「時間に縛られた生活とはおさらば」というワケだ。こういう潔い姿勢にはとても憧れるのだが、実際にはなかなかそうはいかない(いかないからこそ映画になるのだが)。
何しろ今はスマホをはじめとして、ガジェットつまり遊び道具が多すぎるのだ。そのパワーの源は「電気」ということになる。もちろんバイクで持っていけるポータブル電源はサイズも容量もパワーも限られる。その限られた範囲で何ができるのか、ということだ。衣・食・住・遊について考えてみよう。
まずは「衣」! 空調服や電熱ウエアがある
夏用の服では、ファン付きの服「空調服」というものがある。元々は作業着として開発されたものなのだが、ジャケットの腰のあたりに小型の電動ファンが付いていて外気を取り込む。ふくら雀(冬のモコモコに毛を膨らませた雀)やミシュランタイヤのキャラクター、ムッシュ・ビバンダムのような格好になってしまうのだが、土木や建築などのハードな作業中も快適に過ごせるように作られたものだから、夏でも長袖が推奨されるバイク乗りにとってはオススメの1着だ。
冬用のバイクウエアやアウトドアウエア、また作業用のベストにはヒーター入りのモデルがあるが、これもなかなか快適。しかし、これらもバッテリーの充電を必要とするタイプもある。ポータブル電源があれば安心だ。
次に「食」、電熱での燻製を提案!
「食」に関しては、残念ながら使用できる機器はかなり限られてしまう。というのも、ホットプレートなどの発熱する機器は1000~1200Wの電力を必要とするため、バイクで持っていけるサイズのポータブル電源の定格300W(瞬時では500W)のパワーではまかない切れないのだ。
逆にクーラーボックスや小型冷蔵庫などの冷やす系のものでは使えるものがあるけれど、バイクで運ぶには大きすぎる。
しかしここに、キャンプ向きで面白い調理道具がひとつある。電池式の燻製器、スモーカーである。円筒形の機器内でスモークチップを加熱させ、パイプを通じて煙を送る。別に食材を入れるための容器と蓋をするためのラップフィルムが必要になるが、食材を入れるための容器はキャンプ用のクッカーを使えばいいから、持っていく道具も少なくていい。自分で作ったスモークサーモンやスモークハム、スモークナッツなどを肴にして酒を楽しむのは、キャンプの楽しみ方として格別だ。
ちなみに燻製作りは家の中ではしない方がいい。家中(服にも)に匂いが染み付いてしまうし、時によっては火災報知器が鳴ることになる。キャンプ向き、という理由もここにある。
そして「住」 あったかグッズや使い慣れた電気式蚊取り、LEDなど
ウインターキャンプで電源サイトを借りて、テントの床に小型のホットカーペットを敷いて過ごしたことがあるのだが、外は雪が降っていたがテントの中ではアロハシャツでいられた。
これは極端な例になるし、バイクで持っていけるサイズの電源ではとても無理な話なのだが、最近は省電力タイプの電気毛布も出ているから、寝る時間だけであればこれに近い環境を作ることは可能だ。シュラフと電気湯たんぽの併用という手もある。
暑い夏、最近は都市部でもパーソナルタイプの扇風機を持つ人が増えているが、キャンプでも熱中症対策として有効だ。虫の嫌いな人のためには、電気式の虫除けや電撃で殺虫する小型機器もある。
明かりに関してはLEDランタンという優秀なキャンプ道具がある。最近はLED特有の青白い光ではなく、電球色と呼ばれる温かみのある光のタイプのLEDもあるから、選択の幅は広がっているのがうれしい。昼間のような明るさは「無粋」としか言いようがないが、最低限の明るさが確保できるのはキャンプビギナーにとっては嬉しいことに違いない。
最後は「遊」。ドローンだって飛ばせるゾ!
最近の映画におけるドローンの役割というのは凄まじい。人の目線の高さから一気に高空へと駆け上がる。昔はヘリコプターを使わなければ撮れなかった映像がいとも簡単に撮れてしまう。もちろんカメラの差はあるけれど、技術的にはオモチャのようなドローンでもそれが可能だ。大掛かりな機材を使わなくても、個人でそれが楽しめるようになったことは非常にありがたい。もちろんドローンもケースはそれなりのサイズになるから、「キャンプ道具と一緒に」というわけにはいかないかもしれない。
ホテルやペンションなど宿泊まりで、そこからバイクで野外に出かけて撮影し、ドローンのバッテリー充電を行ない、ポータブル電源の充電は宿で、ということになるだろう。しかし、そういう遊び方ができるというのは、今までなかったことだ。
釣りやアウトドア遊びに限らず、キャンプ場で過ごしたり、焚き火の火起こしから着火までをYouTubeに載せたりということも最近とても流行っているが、それらの撮影や編集を現場で行なうこともポータブル電源があれば可能になる。
PCやダブレットで、ホラー映画を見るというのはどうだろう。『13日の金曜日』初版などのようなキャンプ場を舞台にしたものなら最高だ。冬のキャンプで凍えながら『八甲田山』を見るのもいいかもしれない。グループキャンプなら、シーツを画面にしてプロジェクターで映すというのもアリだろう。ポータブル電源はそれを可能にしてくれる。
Bluetoothのスピーカーというものもあるが、キャンプでは遠慮しておこう。隣のサイトと100m以上離れていたとしても、特に夜間は音がよく聞こえる。トラブルのタネになるようなことはやめておいた方がいい。
このようにポータブル電源があれば、スマホの充電以外にも、さまざまな道具の充電が可能になり、遊びの幅を一気に広げることが可能になる。しかし、道具というのは使いこなしてこそ意味があるものだ。
ポータブル電源も、どの機器をどのくらい使えば、どれだけ電気が減るのかは、その人の使い方次第と言えるし、遊びの場で使いこなしておいてこそ、災害対策用品として使う時にも、その経験は活きてくるハズだ。
ホンダ「LiB-AID(リベイド) E500 for Work」主要諸元
■高品質な電源供給を特徴とする。Hondaパワープロダクツ取り扱い店にて販売。高クッション素材のコーナープロテクターで堅牢性を誇る。
メーカー希望小売価格:14万800円
サイズ:全長266×全幅85×全高226mm
重量:5.6kg 内蔵電池:充電式リチウムイオン 容量:377Wh
定格出力:300W 最大出力:500W
充電時間:約6時間
AC出力口数:2口 USB出力端子:2口
JVC「BN-RB62-C」主要諸元
■3WAY電源で広く家電製品に対応。別売のポータブルソーラーパネル(BH-SP68-Cなど)との接続で、屋外でのエコロジー充電が可能。
公式オンラインストア価格:7万4800円
サイズ:全長193×全幅300×全高192mm 重量:6.5kg
内蔵電池:充電式リチウムイオン 容量:626Wh
定格出力:500W 最大出力:1000W
充電時間:約8.5時間(ACアダプター使用時)
AC出力口数:3口 DC出力口数:3口 USB出力端子:3口
JVC「BN-RB62-C」利用の場合の使用機器への給電回数・使用時間の目安
レポート●鈴木アキラ 編集●黒田 卓
■ホンダ
https://www.honda.co.jp/battery/
■JVCケンウッド
https://www.jvc.com/jp/portable-power-supply/
■ロゴスコーポレーション
■グリーンハウス
https://www.green-house.co.jp/