雑ネタ

高性能サスの「高性能」を引き出す!90年代隠れ名車「カワサキZZR600」リフレッシュ計画【第8話】

燃料系全体の見直しで格段に調子のよくなったカワサキ ZZR600のエンジン。低速から高速まで、とても気持ち良く回るようになりましたが、次に気になっていたのが、中古車として購入したときから装着されていたものの、ほとんどセッティングされている様子がなかったリヤのオーリンズサスペンション。
今回はここをリフレッシュして本来の作動性を探っていきます。


リヤサスの作動性に重要な「リンク」のメンテナンス

リヤのオーリンズサスは、ダンピング調整などは車体購入後に自分でしたものの、リンク類を含めスイングアームピボットまでの分解整備をした形跡がない様子でした。年数の経った古いバイクの場合、車重や車速の慣性で、サスの作動性が誤摩化されて動いている足まわりって多いんですよね。

そこで、この部分にいざ着手です。仕事柄(カメラマンです!)、自転車の整備やラジコン関連でフリクションによるロスを減らす記事もよく撮影していたので、自分も足まわりの見直しは是非やっておきたいと思っていました。

手の届く範囲は掃除していたものの、全体的に汚れていたリヤサスリンク周り。たぶん何年もオーバーホールされていなかったと推測して、作業開始。

サス本体はひとまず置いといて、まず取り掛かったのは、左右のマフラーを外し、スイングアームとリンクを分解しての各部の状態確認。
汚れ落としからじっくりやってみましたが、いやもう、ノーマルのスイングアームは表面が平滑な仕上げじゃないこともあり、しつこい油脂汚れがこびり付いていて落とすのが大変。さらにチェーンガイドも、チェーンオイルと土や砂の混じった固まりが多量にくっ付いていました。

チェーンオイルや泥はねの痕跡がたっぷりです。スイングアームの表面の細かい凹凸にも汚れが入り込んでいて、お掃除が大変そうな予感。

ドライバーの先で汚れの付着を軽く剝がしてから、クリーナーを吹き付けてはウエスで拭き取るの繰り返しでした。
でも、たまには下回りやこういう部分を念入りに掃除して、異常がないか確認しておくのは大事でしょう。

リヤブレーキのサポート部分とかスイングアームピボットシャフトにも、表面に腐食があったので、サンドペーパーで研いだり電動工具で修正したり。またブレーキサポート部分は、ついつい研磨してアルミ地肌まで艶出し。けっこうマメに磨かなくちゃなりませんでした。

さらには、リンクピボット部のニードルローラーの入っている部分も、汚れを落として新しいグリスを塗り込みます。それにリンクピボットのピンも、細かいペーパーを当ててスルスルと作動するように仕上げてから、綺麗なウエスに置いて次に組み立てるときまで保管します。

スイングアームのピボットシャフトのナットがめっちゃ強く固着していたので、ミニバイク用で余っていたフォークを利用して、グイっと回しました。こんな廃材(?)も1本手持ちにあると何かと役立ちます。
スイングアームが外れると、こんなにスッキリ。1ヵ所だけ外し切れなかったリンクピボットだけは、外から潤滑油を注油しておきました。
ミクロン単位で見れば削れているのでしょう。ニードルベアリングが当たって、摩耗の跡が残ったピン。外側の汚れを磨き落として、薄く全体にグリスを塗っておきます。
ここまで掃除するだけでも小一時間かかったスイングアームとチェーンガードなど。しつこい油汚れは、年末の換気扇掃除に通ずるシビレるものがありました。
アクスルシャフトは、油分を落としてみると表面が荒れていました。深いキズはなかったので、ペーパーで手作業円筒研磨(?)をし、錆や剥離部分を滑らかにしてグリスを塗布。いずれ新品に交換しようと思います。スイングアームのシャフトも少し荒れてました。

分解して手入れしやすくなったオーリンズサスは、掃除を終えてから、もう少しだけ締めたかったプリロードを調整。スプリングを1回転締めました。
以前、車体に装着状態で調整した際、フックレンチがやや入れづらくてマイナスドライバーとハンマーを使って締め込んだのですが、やはりきちんとフックレンチを使うほうがいいでしょう。

サスの調整を終えて各部の確認と余分なグリスの拭き取りをしたら、リンク類とスイングアームを車体にすべて連結させて組み立て。そしてホイールとマフラーを元通りに組んでいきます。記事では工程を端折ってますが、ホイールのベアリング部分も汚れを落として新しいグリスをたっぷりと入れておきました。
ちなみにリヤブレーキのリフレッシュは、フロント側の微調整も含めて別の機会にご説明したいところです。

リンクで一番汚れの多かった部分。ニードルローラーベアリングの内側もしつこく掃除。黒いゴムのシールはキズがほぼなかったので、内側にたっぷり新しいグリスを指で塗り込んでおきました。
ここも少し動きがシブかったんですが、整備後は指先で回してもスルスルと動いて気持ちイイ。各部がこうなってくると、実走して路面の凹凸通過時の変化を早く試したくなってきます。
簡単にサスのプリロード調整ができるのって、幸せです。スプリングの調整をした後に、黄色いスプリングの汚れ落としと保護艶出しもやっておきました。
鋳物で出来た湾曲型連結アームもしっかり汚れを落とし、リンク部分の組み立て完了です。時間に余裕があったら、このアームも研磨して表面処理加工したくなりました。重要な部品の割に目立たない箇所だし、コストがかけられない部品なんでしょうね~。

抵抗感の減ったリヤスイングアームの動き

リンク類の分解整備時に、ホイールを外してサスの連結を解いた段階では、スイングアームが自重で下がってくるスピードがどうもノンビリした動きでした。油分が切れて作動抵抗がある感じ……。
でも、これでは高性能サスの効果が十分に生かし切れません。きちんと整備すれば、ツーリングでゆったりと走る際の快適性の向上を見込めるのではなかろうかと、野望も膨らみます。

そして整備完了後にセンタースタンドを外してストンとまたがると、以前よりふわっとリヤが入る感触が得られました。チューニングではなく、本来あるべき状態に戻ったのかも。
確認した限りでは、各部の消耗や損傷がなかったのは幸いでしたが、スイングアームピボットやアクスルシャフトは、いずれ新品に交換するか研磨してユニクロめっきしておいてもいいかもしれません。

ところで、リヤの作動がしなやかになったことで、作動性向上を望みたくなるのがフロントのサスペンション。現状は昨今の高性能バイクのリニアな作動性には及ばないものの、特に悪くはない。けれど「もうちょっとリヤとうまくバランスするように出来ないものかな?」とも感じます。

中古での購入時、フロントフォークはオイルシールが劣化で抜けていたためショップさんが交換を……ということだったのですが、気がつけばインナーチューブには細かい錆のピンホールがダストシールの往復部分にも点在していました。
そうした部分は600番くらいのペーパーで修正をかけて乗っていましたが、この機会にフロントフォークのオーバーホールもやりますかね!?

雨の日のツーリングなど、リヤが流れてもフロントがしっかりしていると安心感がまるで違いますしね。ここはひとつ、実績のあるプロにお願いしてみたいと考えています。


今やツーリングの実需品、USB電源を導入

おおがかりな作業をするついでに、前々からツーリングに行くときにはあったらいいなぁと思っていたUSB電源を導入してみました。最近の新車には標準装備されていたりもしますけど(笑)。

フロントのブレーキスイッチから電源が引けて、配線が比較的楽そうなデイトナの「バイク専用電源 メインキー連動 USB1ポート(USB 5V2.4A)」をチョイス。ボディアースはカウリングの横部分に落として配線は完了です。

配線作業がしやすそうなのと、メインキーと連動な点に着目して選んだデイトナ「バイク専用電源 メインキー連動 USB1ポート」(価格は3300円)。複数系統出力のある製品も存在しますが、私は1個あれば良いかな。
1ポートMAX5V 2.4Aの高出力で、スマートフォンの急速充電もバッチリ対応とのこと。配線長は+側約180mm、-側約800mm、USB側約500mmで、電源差し込み口を覆う防水樹脂キャップも同梱されています。

そして機器本体の取付けは、車体購入後に取付けたETC車載機ホルダー付属のバーにマウント出来たので解決。
ちょうど車載機の下に設置できたし防水性もよさそうなので、スマホやi-padの旅先での充電に安心感が増しました。既にこうしたUSB電源を付けている方も多いと思いますが、シングル端子でも、やっぱりあると便利ですよね〜!

ZZR600はフロントマスターシリンダーの下側にブレーキランプスイッチがあります。ハンドルに付いたままだと作業と写真撮影がやりにくいので外して作業。
充電ユニットをハンドルに付属の結束バンドでクランプする前に、ちゃんと通電しているかの確認をします。付属の配線は右側カウル上側カバー下のメーターカバー取付けボルトに、マイナスアースを落としました。
上がアンテナ一体型のETC車載器で、その下にバイク専用USB電源を搭載した状態。個人的にスマホのナビはあまり使わないけれど、旅先での電池残量が安心になります!

レポート&写真●小見哲彦 編集●阪本一史/上野茂岐 取材協力●デイトナ

取材協力

デイトナ

https://www.daytona.co.jp

 

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