目次
サイドスタンド+1速で安心駐車
3月の話で恐縮です。暖かい日も増え……と始めたいところですが、春ってこんな感じでやって来るんだっけ?
3月の初めには輸入車の試乗会が雪の舞う箱根で行われました。道路脇には残雪が目立ち撮影的に春を感じさせるには難しい。そこで開き直って北欧のようなイメージで撮影しました。
で、その1週間後には20度を超える暖かさ。箱根の雪も溶けたはずと、GB350で初の箱根ツーリングに行って来ました。
その後、全日本ロードレースの事前テストがツインリンクもてぎで行われたのですが、その日の朝がマイナス4度。サーキットが真っ白。
そして東京モーターサイクルショーぐらいからまた暖かくなり、再び20度を越えた日に桜を見にGB350で出かけて汗をかくという感じ。
例年以上に寒暖差を感じるのはバイクに乗っているからでしょうか?
さて少し前の話になりますが、深夜に起きた大地震の話です。そのときには自宅におりまして、落ちついてからバイクを見に行きましたが幸いなことに無事でした。
実はバイク置き場のすぐ横に出っ張りがあり、駐車するときもヒヤヒヤ。地震でバイクが揺れたら、転倒する前にタンクがベッコリいくはず。
ちなみに駐車するときは、ほぼ必ずギヤを1速に入れてサイドスタンド。というのも東日本大震災の際に、メインスタンドで駐車していたバイクは倒れ、サイドスタンドのバイクは立っていたという話を聞いたから。
これは多くの方々から聞いたので、地震に強いのはサイドスタンドの方だと思います。
サイドスタンドの話を少し続けます。GB350はメインスタンドも標準装備ですが、自分的にはメンテナンスや洗車のとき以外はほぼサイドスタンド。出かけた先でもギヤ1速+サイドスタンドで駐車です。
仕事でバイクを置き撮りするとき、お手伝いさんがいない日は自分で移動させます。乗らないのに、押して動かすだけです。なんて仕事なんでしょうか(笑)。
しかも斜め、真横、正面、後ろ、反対側……日なた、日陰などアングルを変える度にバイクを押して動かします。その度にサイドスタンドは上げて、ギヤを抜いて、移動したら1速に入れて、サイドスタンドをかけて置く。そして撮ってまた動かすの繰り返し。何度も何度も。
バイクメディアの撮影は、ほぼこういう感じ。油断すると借り物の高価な撮影用バイクが倒れますので、必ず毎回サイドスタンドが出切っている事を二度三度と確認してから置きます。これが身についているので、仕事の仲間は撮影じゃなくても「コンコン」とサイドスタンドを蹴って確認してからバイクを傾けます。
一方、一般のオーナーの方々はバイクを押して動かす事が少ないし、ご自分のバイクなので慣れているんだと思います。でもね、一般オーナーさんの取材だとバイクをご本人に動かしてもらいますが、その度に「あっと、今サイドスタンド大丈夫ですか?」と声かけ連発がカメラマンのあるある(笑)。
おなじみの箱根へGB350で初ツーリング
GB350で初の箱根ツーリングへ行きました。冒頭にも書きましたが3月の20度超えの暖かい日に、友人と二人で。自分の家(横浜方面)から箱根に行くには景色が良い西湘バイパスの方がベター。
しかし令和4年12月まで小田原付近で災害復旧工事をしており、小田原市内の混雑する道に下りないと箱根に行けません。ゴールデンウイーク中は走れるようですが、詳しくはNEXCO中日本のwebサイトで最新情報をチェックして下さい。
そこで厚木小田原道路で行く事にして、平塚PA(下り)で待ち合わせ。ここにはgoozというコンビニあります。ここのキャラメルバニアコーヒーとくるみパンで軽く腹ごなし。
自分も友人も箱根は仕事で行くおなじみの場所。正直言うと行き飽きてます。
でも、自分のバイクで行くとなると最高な気分。普通ならターンパイクか箱根新道ですが、その前にガチの撮影で使う秘密のスポットへ。
その場所に自分のGB350を置いて写真を撮るのは最高な気分。天気も良く、綺麗な一枚が撮れる予定なのに、そういえばここは午前中は逆光だった。バイクなのでレフ板(*)が無い。ストロボもない。カメラマンモードオフでのツーリングなので普通に記念撮影して移動。
*編集部註:光を反射させて、暗い部分を明るくさせるための布や板状の道具。
「バイクで箱根なら椿ラインでしょ」と言う自分。「バンク角が少ないハーレーに椿ラインはキツイ」と言う友人をなだめすかして湯河原方面へ。
途中で岩漁港へ寄りつつ、湯河原のオレンジラインから椿ライン。走るのに一生懸命だったから椿ラインの写真がありません。といってもトバしてる訳じゃなくて、GB350でワインディングを楽しく走れるように探っていたんです。
椿ラインは海に近い奥湯河原から箱根の大観山まで一気に登るワインディングで無料の一般道。
クネクネとヘアピンコーナーが多く平均速度は低いけど、ずっと登りなのでGB350はアクセルは全開まで回します。全開だけどエンジン回転数の上昇が緩やかなので、長く全開を楽しみながら次のコーナーへ向かいます。
このときに排気量が小さいバイクと違って、エンジンが苦しい感じがしないのがGB350の美点だと思っています。
自分的にワイディングを気持ちよく走っているときは、ブレーキを使わずにアクセルのオンオフだけで穏やかに加減速しつつコーナーを繋いで行く感じ。
バイクや車が後ろに並んじゃいそうな場面では、先を譲りつつ走りました。それでもコーナーを立ち上がったらアクセル全開でバババッバと威勢の良い排気音で加速。ブレーキは使いたくないのでコーナーの随分と手前からアクセルオフ。登りなのでブレーキ無しでも減速できます。
コーナーに差し掛かるときにちょうどいい速度で侵入できるようにしたい。アクセルを閉じ続けてコーナーに入るときにはアクセルを開けられるくらいまで減速した方がいい感じ。
と思ったらスリッパークラッチのせいか、エンジンブレーキが弱いので予定した速度よりも速く侵入してしまい、慌ててブレーキを使ってしまうときがありました。
のんびり気分で走っているので、逆にドキッとする瞬間です。
GB350でワインディングは攻めるの? 攻めないの?
自分はレースの撮影も長くやっていて、スピードの世界も好きです。若い頃にスポーツバイクに乗っているときはエンジンをギュイーンと高回転まで引っ張って加速、ギョワーンとエンジンブレーキが強く効く感じで減速しながら走ってました。刺激が足りないときはブレーキが必要なくらいまでさらに加速しつつ。それがワイディングの走り方だと思ってました。
GB350で走る椿ラインでも速度を乗せたままコーナーに向かって、アクセルオフとブレーキで一気にギューっと減速しつつ旋回してみました。それはそれで楽しいのですが、自分の心の中から「これってGB350のコーナーリングじゃないよな」と言う声が聞こえてきます。目線も路面に集中し、アドレナリンが出てる感じ(笑)。後ろでハーレーがマフラーを擦る音が聞こえました……。
まるでヒザを擦るくらいバンクさせて走ってような話に聞こえるでしょうが、そうではありません。
自分はオフロード育ちなせいか「バイク傾け恐怖症」。どうもタイヤを信じて傾けていくのが苦手。今でもステップを擦るくらい傾けると背中がゾゾゾとします。
一度、落ち着こうとアクセルを戻して目線を上げると、いつも仕事で来るときとは山の景色が違って見えました。GB350に乗って箱根の美しさを再発見です。この緩い走りとアドレナリン走法の中間くらいが良いと思うのですが、なかなかちょうど良い走りが見つからないうちに大観山に到着。
アクセルもブレーキも全部使って「そのバイクでの最も速いコーナーリングをしているときがバイクの優劣とか価値です」というベクトルとは申し訳ないくらい真逆な自分の気持ち。
でも今後のバイク界にはゆったり楽しめるGB350のようなバイクがもっとあっていいと思うし、自分もそう思える歳になってGB350に出会えて良かった。
この日はひとり乗りだったのでその気になって走っていましたが、息子とのタンデムが中心になっているので緩い走りが標準になって来たのかも。
そんな話をしつつ大観山で遅めのランチ。海沿いは20度でしたが、山の上はかなり寒くなっていました。そろそろ街に帰る時間です。
帰りはターンパイクで下りますが、もちろんここでもGB350は楽しいバイクです。椿ラインと違ってコーナーは大きく緩く見通しが良いので気分最高。ペースが上がりますが、GB350は車体がしっかりしているので不安なく走れます。
椿ラインで目覚めたGB350の走らせ方への興味。GB350はのんびり系ですが、自分にライテクへの向上心が無いわけじゃありません。下手より上手い方が楽しいでしょ。飛ばさないけど上手い感じ。バイク女子にモテそうじゃありませんか?
変な妄想が止まらないので、今回はこの辺で。
箱根までは150kmほどの日帰りのんびりツーリング。山に登った割には平均燃費が34km/L。走りも優しいがおじさんの懐にも優しい。
カメラマン 柴田直行
モーサイや月刊モーターサイクリストでも撮影しているプロカメラマン。
バイク雑誌を中心に30年以上に渡って撮影活動。子育て時期とデジタル化の波を同時に被ってXR250を手放したが約8年ぶりにリターン。50歳代のバイクライフをGB350と共に再スタート。