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カメラマン柴田のGB350日記#11「0円でできるチューニング=リヤショックで味変と、ABSとトラコンと」

リヤショックは触ってみるべし! 乗り味が変わって二度美味しい

皆さん、こんにちは。カメラマンの柴田です。
お正月明けの積雪以来、ビビリまくってバイクのカバーを外さない日々が続いてます。
だってこの積雪以外の日でも、撮影で山に上がると「コーナーを曲がった先に凍結路面がぁ!」なんて事もありました。これはクルマでの話なので「怖いねー、気を付けよう」で済んでますが、バイクだと思うとゾッとします。
新車のGB350なのに凍結路面で転倒なんて最悪ですから。

というわけで1月と2月中は天気が良い暖かい日の、しかも太陽が出てから太陽が沈むまでが自分のバイクタイムです。一番遠いところで自宅近郊の三浦半島にしか行ってません。そんなユルーいGB350ライフを送っています。

さて、納車されてからの走行距離は2000kmほど、とっくに足まわりもアタリがついて本来の動きをしているはず。サスペンションのセッティングを試すにはいい時期です。
GB350の前後サスペンションの調整機能は、リヤショックのスプリングの強さ(プリロード)調整のみ。5段階の調整ができ、標準は2段目。購入した際には少し硬さを感じたのでアタリが出るまで1段目(最弱)に変更。アサカワスピードに入庫したとき(約600km走行)に2段目に戻し、そのまま乗っていました。

率直に言って調整機構があるサスペンション中では最もシンプル構造のリヤショック。スプリング強さを調整する時はシート下にある専用のフックで回すのが正しい方法。フックを取り出すのが面倒くさい自分はセンタースタンドを立てて両手で掴んで回します。

年明けの走行中に、足まわりに腰の無いフワフワを感じました。2000kmでヤレてくることはないでしょうから、自分がバイクに慣れてきてペースが上がったり、操作が雑になったのが原因かもしれません。
丁寧な運転は心掛けるとして、気持ち良く走るにはGB350を自分に合わせておきたい。なんせリヤショックの調整は無料で手軽に試せますから。

昔、自分のメカの師匠に教わったのが「分からないときは分かる所まで変える」がセッティングの基本。もう一つは「ベストと思うところで止めないで、ピークを過ぎた向こう側まで試してダメ確認をしろ」。
……というわけで、イキナリ5段目(最強)まで強くして走ってみました。

その最強セッティングで走り出したら、ヘルメットの中で思わず「こうなるのかぁー」と叫んでいました。リヤショックの調整だけなのに、自分の知っているGB350ではありませんでした。でも嫌な感じは無く「これはこれでイイかも!」とウキウキしながら近所のテストコース(=いつもの道)を周回する自分。

具体的には車体全体がカチッと感じます。実際に変化しているのはリヤショックのスプリングだけなのに、バイク全体に「しっかり感」が出たような。
シートまで硬くなったようなフィーリングで、それに伴って路面からの情報が増えて、大げさに言うとまるでスポーツバイクのようです。

いや、言い過ぎました。もちろん実際にはスポーツバイクになっていません(笑)。
もともとGB350が緩い車体だからそう感じるだけ。でもその変化量はそれなりに大きくて、以前乗ったGB350Sよりもスポーティな印象です。寝かし込み初期もさらにスッとバンクする感覚。こんなに乗り味が変わるなんてびっくり。

この最強5段目でもフロントが負ける感じも無かったし、調整機構を安心して試せます。
コースをグルグルしながら5段目→4段目→3段目→2段目→3段目と試して、自分の好みは3段目に落ち着きました。4と5段目はスポーティさは増すものの、自分の好きなGB350ならではの「ゆるい良さ」が薄まってしまう。しばらくはこの3段目で走りたいと思います。

自分はプロのテストライダーではありませんが、自分同様、半年も乗って身体がGB350になじんでいるオーナーさんなら誰でもその変化は分かるはず。
もしもGB350を購入して「エンジンはいいけど、足まわりが……」と思っている人は強い方向に調整してみるのもいかも。
同時に、スポーツバイクでは社外のリヤショックに交換する人が多いけど、GB350でもグレードの高いリヤショックを試したい気持ちがフツフツと(笑)。

調整範囲は1段から5段まで、標準位置は「2」。4段目と5段目はそれなりにスポーティな味わい。自分の好みは3段目。左右は絶対同じ段数にしてね。自分の好みにバイクの乗り味が変わるって楽しいよ。ぜひ試してみて。

GB350の電子制御「ABSとトルコン」を試してみたら

GB350はクラシックスタイルのデザインですが、最新の運転支援機能も装備しています。
クルマでは当たり前の機構となっているので今さらではありますが、ABSとはアンチロック・ブレーキ・システムの略。滑りやすい路面でもタイヤがスリップすることなく安定して減速できるブレーキ機構です。
近年では大型バイクだけでななく様々な排気量のモデルへの普及も進んでいますね。

多分、GB350で半年走る間にABSを作動させたことはある……と思う。でも、「今、ABS効いた」と実感したことがない。
自分の知識の中ではABSが作動すると、レバーやペダルにキックバック(ブレーキ液圧の押し返し)で教えてくれると思っていたからです。

ABSもトルクコントロールもホイールの回転センサーの情報を元に作動しています。これは前輪のセンサー。ABSは回転が止まらないよう(=ロックして滑らないように)ブレーキを調整。トルクコントロールは前後輪の回転差を感知して燃料噴射量を調整しスリップを抑制。
こちらは後輪のセンサーリング。目立たないように黒い小さなリングにしてある。輸入車も含めて大体こんな感じだけど、逆に目立ってもいいくらいカッコ良くデザインできないかなぁ。
前輪のセンサーとリングのクリアランスが狭いっ。実際には1mmくらい。オフロードを走った場合、埃などが入って悪さしないかちょっと心配。

という訳でまたまた近所のテストコースへ行って(周囲の安全を確認しつつ)、40km/hほどから急制動を試してみました。
後輪は薄くロックする→しないの気配があるので、ABSは作動していると思われる。システム的にはキックバックがあるらしいが、それを感じる前に止まるって感じ。オレが鈍いだけなのか。

そのときの様子を言うならば、パニック的にガツンッとブレーキをかけたとしても、まるで自分が絶妙な急制動を決めたかのように自然な感じで止まります。ライダーが制動力に負けて前方に倒れそうになりますが、車体が不安定になることは皆無。
もっと速いスピードで試しても同じです。
ABSが作動すると制動距離は伸びてしまう……なんて話もあるみたいですが、GB350に関しては制動力も十分あると感じました。

こうなるとトルクコントロールも試してみたくなります。アクセルを開けて後輪が回るときにスリップしてしまうのを防ぐのがトルクコントロールシステム。しかしアスファルトではトルクコントロールが作動するほど後輪を滑らせるのは、自分で腕前では無理(笑)。

そこで郊外にある未舗装路へ。土は硬く締まっているものの、砂利が少し浮いているような道、減速も加速もタイヤがスリップしやすい路面と言えます。ABSやトルクコントロールのテストにはもってこい。まずはABSから始めました。

ちなみに自分は30歳くらいの頃にレクリエーション的にモトクロスを楽しんでいたので、それなりにオフロードの心得があります。未舗装路の経験が無いのにこんなことすると最悪の場合、転倒しますのでご注意下さい。
とはいえ未舗装路で「ブレーキをガツン」は勇気が入ります。全国2000万人読者の応援を胸にリヤブレーキだけガツン。

頭の中ではガガーっと後輪が滑るイメージでしたが、何もおきません。GBはスーッと進み、緩やかに減速して停車。ブレーキと言うよりもアクセルを戻したから減速したって感覚です。ということは、ABSが効きまくってロックを防いでいるということ。

では再度勇気を出して前後ブレーキをガツン。リヤのみよりはかなり制動感がありますが、おだやかに減速して停車します。自分的にはロック確実というくらいブレーキをかけていますが、それを無視するように減速はゆったり。車体がぶれて怖いようなことも発生しません。

この時もABSが効いている感じが希薄ですが、ABSなしではロック→スリップ→転倒しているかもしれない。GB350のABSはオン/オフの切り替えはなし。必要な時には必ず作動しますから、作動する/しないの比較はできません。

ちなみにGB350のABSは専用セッティングの前後独立制御式。最新のバイクを全部乗っている訳ではないので、個人的意見になってしまいますが、GB350は価格も抑えたお値ごろ感のあるバイクなのに、ABSはしっかりしたものが装備されていると感じました。クラシックスタイルなのに最新装備という、GB350のこういう所も好きです。

さて今度はトルクコントロールです。
これを試すためにローギヤで走りながらアクセルをガバッと開けてみました。ところが後輪がスリップせずに加速するではないか!
……いや、トルコンが効いているのではない模様。GB350のエンジンや車体特性だと思いますが、強過ぎないトルクで穏やかに加速するので、もともとトラクションが優れているようです。
トラクションとはタイヤと路面の摩擦力、またはスリップせずに路面を捉える力です。これが良いとあらゆる場面でライダーを助けてくれます。

メーター脇のランプ。Tマークがトルクコントロールのランプ。作動時は点滅する。ABSと違ってこれはトルクコントロールはON/OFFを選択できます。ABSのランプはキーONで点灯。5km/hで消灯。走行時に点灯/点滅しているのは故障のお知らせ。

が、トラクションが失われないとトルクコントロールは作動しないわけで。

今度はほぼ停止状態からアクセルを一気に全開まで開けました。出だしはやっぱりGB350らしく穏やかにトトトーと加速。その後エンジン回転の吹け上がりとともにガガガーッと加速。
その途端に来ました!
ボッボッボとトルクコントロールが作動しました。ボッボッボの間は速度は落ちませんが、加速もありません。

以前、冬のに舗装されている峠道でスーパースポーツを取材した際には、普通に流している状態でも「Tマーク」がチカチカしていました。車両の特性上、かなり繊細にセンサーが制御を行っている証拠なんだと思います。
一方、GB350のトルコンは介入範囲は滑り出しの数値がそれなりに大きくなってから燃料噴射を瞬間的に間引いて、トラクションを回復させている仕組みなんだと思います。作動中はメーター内の「Tマーク」も点滅してます。

ABSと違ってこちらは「トルコン効いてます」という作動状況がはっきりと分かりやすい。もともと滑りにくい特性のエンジンなので、トルコンが作動している時は無理な運転状況に入っているかもしれません。ライダーも少しアクセルを緩めてトラクション回復を助けた方が良いでしょう。
ちなみにそのままアクセル開け続けたら数秒ほどトルコンが作動し、トラクションが回復しつつ加速し始めました。このときは「全開+良トラクション」なので思ったよりスピードが出ます。

GB350で未舗装路は楽しいのか?

この写真は2021年のモーターサイクリスト誌用に撮影したもの。この林道はフラットで走りやすかった。ライダーさんはオフでもかなりの手練れだが、やはり楽しい範疇を超えることなくにスムーズに走っていた。

以前「GB350はオフも楽しい」という話を聞いていたので、自分でも試してみたいと思っていました。

さて、この未舗装路で思ったよりもスピードが出ている状態ですが、減速しようと思ってもABSが効いて緩やかにしか減速しません。自分なりに率直に言うとGB350は未舗装路でトルコンが作動するほどの走りをすると、楽しいという範疇を超えてしまいます。これを踏まえてGB350の未舗装路での自分的インプレです。

先述のトラクションの良いエンジンはトルク変化も少ないので、ゆっくり走っている分にはいきなり後輪が滑ってライダーを驚かせる様なことがありません。アクセルのオン/オフに対しての反応も穏やかです。サスペンションも柔らかいので、小さな凸凹は良く吸収してくれるので乗り心地もいい。
シートに座っても、ステップに立っても楽に走れるポジションも良かった。気にするとしたら埃だらけになるので、この後の洗車くらい(ちなみに全体的にスカスカな車体なので洗車も楽でした・笑)。

GB350はその特性で未舗装路をススーと走りやすく乗りやすい。この楽しい感じはフラットで乾いた凸凹の少ない条件の良い未舗装路でも時速30kmくらいまで。
調子に乗ってスピードを出すと、落ちたくない穴に落ちます。オフ車じゃないのでショックを吸収しきれず振り回され、その時の車重が180kgなので素人の手には負えません。これはGB350だけでなく、オフロード寄りじゃないアドベンチャーバイクも同じ事が言えますが……。

同じく2021年のモーターサイクリスト誌用に撮影したもの。ステップやハンドル位置が立ち姿勢を作りやすく快適に走れる。ダウンマフラーだが最低地上高もそれなりに確保されているので無理しなければ走れる。前後ともサスペンションのストロークは120mm。
今回自分が走ってきた未舗装路。散歩している人に「良いバイクですね」と声をかけられた。土埃を立てない様にススーと走ります。フラットで走りやすく舗装路と違って独特の開放感あり。

余談ですが林道を走っていた若い頃の自分は、道に土があると意味もなくモトクロスみたいにアクセルを開け閉めして走っていました。皆そうだったので、土の上はそうやって走るものだと思っていました。

一方、最近林道で見かけたライダーの方々はアクセル一定での走行でした。正直「それで楽しいの?」と思っていましたが、昨年CRF250ラリーで林道へ行く機会があったので、今風のアクセル一定で走ってみました。
モトクロス的が「ガッガッガーッ」だとすると、アクセル一定走行は「スーススー」的な感じ。

今のバイクはエンジントルクがあるので、登りでも「ガッガー」が不要で「ススー」と走れました。「ススー」でもペースを上げると、CRF250ラリーじゃないと堪え切れないほど凸凹で振り回されます。振り回されても「ススー」と走るのは難しくて楽しく、林道を走る新しい醍醐味を堪能することができ、林道走行への意識がガラリと変わりました。

さて、GB350の話に戻ります。結論としてゆったりな範囲を超えなければススーと走りやすいGB350は、その景色や開放感も含め未舗装路を楽しく走れました。
しかしオフ車で未舗装路を走る時の特別な操作感や爽快感といった楽しさはありません。また林道には大きな凸凹やぬかるみが必ずありますから、林道に行きたいならCRF250ラリーの方が絶対に楽しいでしょう。

普通の道を普通に走っているだけで楽しいGB350。特別な事情がない限り、自分のGB350で林道へ入ることはないと思います。
ということは「GB350の未舗装路のインプレは不要なんじゃないの? 」と思ったでしょ。ほら自分の師匠が教えくれた「ダメなところまで確認してこそ、本当に良いところが分かる」ってヤツですよ。ここまで読んでくれた方、こんな結論ですいません。これに懲りずにまたよろしくお願いします。

走り回っていて見つけた立派な門のお屋敷。横浜の郊外で東海道からは離れているが、古い大きな農家がたくさん。
未舗装路脇にあった使い道不明なビニールハウス風。植物に占領されているのか?それともこれでいいのか。夏にまた来れば分かるだろうか?

カメラマン 柴田直行
モーサイや月刊モーターサイクリストでも撮影しているプロカメラマン。
バイク雑誌を中心に30年以上に渡って撮影活動。子育て時期とデジタル化の波を同時に被ってXR250を手放したが約8年ぶりにリターン。50歳代のバイクライフをGB350と共に再スタート。

https://www.shibaphoto.com/

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