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艶も発色も段違い! プロの塗装仕上げ
自家塗装した燃料タンクは仕上がった!
なので、普段使い用は問題がなくなったわけですが、いよいよパリッと仕立てる「よそ行き用」タンクの補修が始まりました。当記事ではドリーム商會さんでの、プロのタンク塗装作業を紹介します。
埼玉県寄居町にあるドリーム商會さんに、塗装予定の純正黒タンクと、色見本となる筆者塗装の2色のタンクを持参しました。ドリーム商會・小島明夫社長に現物の最終確認をしてもらった後、半月ほど待っていると、下処理が終わって塗装作業を開始するとの連絡をいただきました。
専用のブースで塗装されるタンクは、見事なスプレーさばきで塗られていき、元の黒タンクが生まれ変わっていく光景にワクワクします。しばし作業に見とれた後でその日は撤収し、数日後に仕上げの塗装まで終わったとのことで、引き取りに向かいました。
「エンブレムは自身で付けてはどうでしょう?」と小島社長に勧められ、ピカピカに仕上がったタンクを手にして地元に戻り、時期が冬だったので、塗料の完全乾燥まで2週間ほど室内で保管しておきました。
しかしまあ、なんという艶でしょう。手前味噌ながら、自分で塗った片側がライムグリーンの仕様も素人レベルにしては艶があるように見えたものの……当たり前ですがそれはもう一流のプロの作業、比較にならんのです。
クリアの塗り方、磨き、マスキングの精度、純正色への再現度などなど、すべてが高いレベルで仕上がっていました。
でも、一つ残念なことが。
メーカー在庫の都合で、純正のエンブレムがオリジナルのデカール仕様ではなく、後年モデル用の立体エンブレムタイプしか出ないんです。「うまく貼れるのかなぁ?」と、実行に移すまで、けっこう躊躇しました。
でも、戸惑ってても、せっかくのピカピカタンクが車体に付かないし……。
特に困ったのは、元のデカールと新たな立体エンブレムではロゴの寸法が少し違うこと。どう帳尻を合わせるか、考えなくてはいけないんです。
「Kawasaki」のマークを貼るという、それだけの作業ですが、悩みながら小一時間もかけてしまったんですよ。
なんせ、うっかり斜めに貼っちゃった経験だけは豊富でしたから(苦笑)
お裾分けの純正色塗料で細部の傷も修正
ところで、ドリーム商會さんで仕上げてもらった純正バイオレット色の少し残った塗料を、小島社長が樹脂容器に入れて分けてくれました。
これのお陰で、カウリングの引っ掻き傷のタッチアップもできました。
元オーナーの転倒したと思われる跡で、アッパーカウルやそのほかの部分の放置していた小傷に、とりあえずタミヤの模型用面相筆(ホームセンターなどで売っているものと比べるとなかなかの高級品)で塗料を染み込ませてみる。
少し多めに塗った後、超ミクロンコンパウンドで磨いてならしたら、格段に目立たなくなりました。アッパーカウルに2本大きな傷があったんですが、それもずいぶん上手く消えたし、ほかにもテールカウル部分の擦れた跡やカウル下側の傷もタッチアップしました。
そして、プロの手で仕上がった純正色のタンクを車体に取付けてみると、昔乗っていた新車ZZR600のタンクよりも光沢がスゴイ!?
1999年式あたりの立体エンブレムになったために、雰囲気がZZR600というよりもZX-11の北米仕様っぽい感じになりましたが、大満足です。
ところで話が脱線しますが、実はこの塗装を依頼していた時期、溶接作業などでお世話になっている狩野溶接の社長もご自身の愛車のタンクの復元塗装で迷っていたらしく、自分と同じくドリーム商會さんにタンクの塗装を依頼していたんです。結果、トライアル車のイーハトーブがあまりにピカピカになってしまったお陰で「林道もう行けないかも?」なんて言っておりました。
かくいう私も、ピカピカのタンクになったことで、タンクバッグのマグネット周辺の汚れや金属片が怖くなりました(以前乗っていたホンダ CB750 K1で傷を付けてしまった事があり……)。一層気をつけなければ!
外観がキレイになると、性能面もシャッキリさせたい
各所走行部分の手直し、タンク等の美化が進む一方で、前オーナーの好みで元々派手に手が入っていたほかの部分も、この際だし冬の間に自家塗装してみようかなと考え始めました。
その一つとして、色がところどころ剥げていて、刺し色にしては少々くどい赤色の純正ホイールが気になっていました。そこで思い切って、これを塗り変えてしまおうかと画策。それと、アルマイトをかけてみたい部分もいくつかあるので、そこの分解や下処理もしてみたいなぁ。
反射防止の意味で、フロントブレーキのマスターシリンダー上部のテカテカ社外アルミカバーに何らかの対策は必須でしょうし(表面処理など)、ほかにも違和感を無くしたい部分や質感を上げたい部品もいくつかあります。
そして、無理に純正にこだわる必要はなく、ラジアルポンプ仕様への変更など、今風テクノロジーの導入も有効じゃないかなと考えてるところです。
ブレーキの効きには特に不満はありませんが、タッチ向上を求める改良は、やってみる価値がありそう。ともかくバイクの顔=タンクがこれだけ綺麗になると、そのほかの快適化にも気合いが入ります。
レポート&写真●小見哲彦 編集●上野茂岐
取材協力●ドリーム商會