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初代と現行型、スーパーカブとシビックのサイズはどう変わった?
二輪販売台数で世界首位、四輪販売台数では世界8位(2019年)と、今や誰もが認める世界的企業のホンダ。
そんなホンダの名を世界に飛雄させたのが二輪では1958年にデビューしたスーパーカブ、四輪では1972年に登場したシビックであることは間違いありません。
モーターサイクルとも違う、モペットやスクーターとも違う新たなモビリティとしてデビューしたスーパーカブは、登場後すぐに国内の二輪市場を席巻。
初代(C100)誕生から基本が変わらないデザインは二輪&四輪として初となる立体商標登録が許可され、国内外合わせた累計販売台数は1億台以上を誇ります。
一方「市民の」を意味するシビックは世界一厳しいアメリカの排ガス規制を世界で初めてクリアしたCVCCエンジンを搭載するなど、日本車の存在価値を世界にアピールした1台。
国内外で人気を集め、特に現在は北米市場でその存在感をアピールしています。
ともにデビューから現在まで販売が続けられている(※シビックは国内未販売時期あり)長い歴史を誇るブランドですが、両者には大きな違いがあります。
タイヤが2つか4つか?当然そこも違うのですが、初代と現行モデルのボディサイズ拡大率が圧倒的に異なるのです。
C100とAA09、スーパーカブはどれくらい大きくなったのか?
まず、スーパーカブから比較していきましょう。
初代C100型スーパーカブ(50cc)のボディサイズは、全長1780mm×全幅575mm×全高945mm、ホイールベース1180mm。
そして現行モデル・AA09型スーパーカブ50は全長1860mm×全幅695mm×全高1040mm、ホイールベース1210mm。
ボディサイズの違いを詳しく見ていくと、全長は+80mm(巨大化率104%)、全幅は+120mm(巨大化率121%)。
販売規模が国内より圧倒的に大きい東南アジア市場のモデルと車体を統合したことなどによりサイズアップされてはいますが、個人的な印象としては、そこまで大きくなっていないと感じます。
予想外!? 凄まじいシビックの肥大化
一方シビックはというと、初代SB1型のボディサイズは全長3405mm×全幅1505mm×全高1325mm、ホイールベース2200mm。
そして10代目となる現行シビック(5ドアハッチバック)は全長4520mm×全幅1800mm×全高1435mm、ホイールベース2700mm。
全長で比較すると+1115mm(巨大化率133%)!全幅も+295mm(巨大化率120%)と一回りどころではなく驚くほど巨大化していました。
現行モデルのサイズは、初代シビック発売当時、国内で販売されていた4代目クラウンと比較しても全長以外(クラウンは4680mm)は全幅が+110mm、全高は+15mmも上回るほどの大きさです。
ちなみに2021年4月29日に北米での販売を開始した新型シビックはまだハッチバックの発表がないものの、セダンのスペックは全長4674 mm(現行比+24mm)×全幅1800mm(現行比±0)×全高1415mm(現行比±0)と全長のみですが、やはりサイズアップされています。
※北米仕様のスペックはインチ表記なのでmmへの変換時に端数はすべて切り上げ
デザインを含めて変わらないことを売りにするスーパーカブと、状況は違うとはいえ、シビック……というか四輪全般にも通じることですが、ここまでボディサイズが肥大化したのはなぜか?それには大きく3つの理由が考えられます。
シビックのボディ大幅拡大に関わる3つの要因
■その1:販売戦略
シビックだけでなく、長い歴史を誇る車種はモデルチェンジごとにボディサイズが拡大する傾向にあります。
たとえば、現行モデルで12代目となるトヨタ・カローラは初代(デビュー時)のボディサイズが全長3845×全幅1485×全高1380mmだったのが、全長4495×全幅1745×全高1435mmとシビックほどではないもののこちらも大きく拡大していました。
モデルチェンジ時に先代と比べ「室内空間が○○mm広がりました」と居住性向上は大きなアピールポイントとなるため、必然的にサイズアップされるケースが圧倒的に多いのです。
ただ、同じ販売戦略でもサイズダウンをアピールするケースも少なからずあります。
1989年にデビューした8代目日産・スカイライン(R32)や2015年に登場した4代目マツダ・ロードスター(ND)はスポーティーな走行性能などを重視するために先代モデルからのダウンサイジングされたことでユーザーから好評を持って迎えられました。
ただ、スカイラインについて9代目(R33)で室内空間の拡大を図るべく、再びサイズアップがなされ人気を落としてしまいましたが……。
■その2:安全基準の厳格化
四輪のボディサイズが拡大される大きな要因となるのがこれ。
オフセット衝突&サイド衝突、歩行者保護など安全に関わる数多くのクラッシュテストにパスするにはボディサイズを拡大し十分な衝突吸収性能を備えることが必須となるためです。
シビックのボディ拡大も一部モデルではデザイン上の理由がそうさせたケースはありますが、安全基準を満たすためだった事例が圧倒的に多いと思われます。
ただ、拡大の一途を辿ってきたクルマのボディサイズですが道路や駐車場など交通インフラ的にそろそろ限界を迎えてきているのも事実。
BMWのミドルクラスのSUV「X5」は2019年に登場した4代目で全幅が2mを超えてしまいました……。
安全性能も日進月歩で進んでいるなか、技術革新でダウンサイジングされていくかもしれません。
■その3:主要販売市場の変動
ここまで挙げてきたふたつの要因はもちろんですが、シビックが肥大化した一番の理由は主要販売市場が日本からアメリカへ移ったことが一番大きいのではないでしょうか。
初代から2代目、3〜5代目あたりまで国内販売も好調だったシビックですが、コンパクトハッチよりミニバンや当時流行っていたパジェロをはじめとするRVが人気を得てきたことなどで6代目から徐々に販売台数が減少。8代目からはシビックの代名詞だったハッチバックは国内販売が見送られてしまいます。
一方、北米での販売はずっと好調で8代目から現地デザインの専用モデルを投入。9代目(国内未販売)を経て、10代目は北米モデルが日本や欧州で販売されることになりました。
すでにアメリカでは11代目が発表されましたが、北米メインの車種だけにボディサイズ拡大は必須だったのです。
一方、先述したカローラは一時期に比べると減少しましたが国内でのニーズもまだあるため、北米で販売されるカローラとは違い、国内で扱いやすい日本専用ボディが与えられています。
また、現在販売されているボルボ・V60は同車にとって主要市場である日本の要望に応え、全幅を先代の1865mmから立体駐車場でのサイズ制限に合わせて1850mmにダウンサイジングされました。
このように、主要市場のニーズやユーザーの要望がボディサイズ肥大化に大きな影響を与えるのです。
シビックを見て改めて凄さを感じるスーパーカブの普遍性
ここまでシビックの肥大化を考察してきましたが、改めて凄いと思うのがスーパーカブの不変性。
乗降性を考えデザインされたレッグシールドや17インチホイールの採用、レッグシールドからリヤフェンダーへと続くS字シェイプなど初代モデルでデザインやコンセプトは完成していたことがわかります。
国内市場での存在感が薄くなってしなったシビックとは対象的に、いまなお普遍的な人気を誇るスーパーカブって本当に凄いバイクなのですね。
レポート●手束 毅 写真●ホンダ/日産/BMW/ボルボ 編集●上野茂岐
追記5月8日14時:マツダ・ロードスターの写真が「ND」ではなく、「NC」でしたので、写真の掲載を訂正しました。