バイクライフ

【ショベルヘッド再生記13】まさかの上がりバイクか? ハーレーダビッドソンFXSローライダー「ヘッドの古メッキ剥離は小休止。Fフェンダー交換と前後ブレーキマスターの修復へ!」

■タイトル写真:譲り受けて車庫に到着した当時とは、すっかり変わったフロント周辺の図。こうなるまでには、知られざる苦労がありました。

意外に難航した純正フロントフェンダーへの換装

かなり難儀なシリンダーヘッドの古メッキ剥離は、作業の合間にチビチビと続けることにして、前後ブレーキの修復作業を進めることにしました。取り回しのときやトランポに積むにも、作動しないと不便な部分ですからね。

そのほか、今回は前オーナーの三平さんが以前持参して下さった予備部品の中で、これを付けずにはいられまいというステー付きの純正フロントフェンダーへの換装も実施しました。しか~し、やってびっくり。この純正フェンダーの幅がフォークの左右のピッチにギリギリの造りだったため、そう簡単には交換出来なかったのです。

これが当初付いていたフェンダー。軽快感が好ましいのだけど、純正のステー付きにしましょう!
前オーナーの三平さんから、予備部品として後日頂戴したステー付きの純正フェンダー。なかなかに立派な造形
交換する前に、純正フェンダーの裏側の錆取りをし、暫定的ながら補修塗装をしておきます。
フェンダー裏側のブラックの補修塗装が乾燥したら、いよいよ交換の儀へ。
ステー無しのフェンダー(下)は簡単に外せたので、純正(上)と並べて1枚。

ちょいとばかり短気を起こして、ボトムケースを回転させながらフェンダーを通過させようと強硬措置をしたところ、せっかく換えた四角いリフレクターが剥がれかけてしまうという失態も。ここで学んだのは、この形状のフェンダーを脱着する際は、片側だけでもフォークを外さないとダメなのか?ということでした。フェンダーの傷は、いずれ再塗装するつもりだったので、あまり気にせずにおきましょう。

メーターケーブルとギヤ部の接続解除に悩みましたが、「ここで外れるのかよ!?」という独特の仕組みが判明。
ステー付きの純正フェンダーに付属しているケーブルガイドに、ケーブルが通せた♪

そのほかでは、課題であった前輪に接続してあったメーターケーブル外しも行います。純正フェンダーに付いているケーブルガイドに、ケーブルをきちんと通して組み直さなくてはなりません。しかし、このケーブルの外し方がどうも不明だったので、「どーすんだコレ?」とプライヤーで軽くグリグリやってみると、予想と違う箇所がネジ止めになっていて、そこでホイール側のギヤ部品から外せる事が分かりました。国産車のケーブルとはこんなところの組み方が違ったようです。

純正フェンダーを縮めたり、ボトムケースを回転させて押し込んだりしていたらこの有様です(ガクッ)。後日塗装するつもりだったのでまだ良いんですが……。
純正フェンダーを使うと、ケーブルに干渉気味になるため、写真のキャリパーサポートを少し削ることにします。
ちょこっと削り、スピードメーターケーブルに優しい(?)キャリパーサポートになりました。
この頃のある晩。懇意にしているCB750関連の友人の紹介で、千葉県船橋市内のアメリカンバー“ショベルヘッド”さんを探訪。居心地の良いお店でした。

フルードが「きな粉」みたいに!? 前後ブレーキマスターシリンダーの分解

さて、フロント周りの見栄えは、いかにもローライダーらしさが増して少しご機嫌になりました。その勢いで、時間がかかりそうなブレーキ周辺の復旧作業を始めましょう。どっちから先にやろうか迷ったものの、キャリパーに手を加えたリヤマスターの周辺がホースや取り付けステーが外れたままでブラブラしていたので、先行して作業開始です。

なぜだか胸騒ぎがして、後回しにしていたリヤマスターに着手の時が来た!
元々粗い造りだったリヤマスターの取り付け金具は、錆落としとエッジ処理を実施。
ホース類も外し、単品になったリヤマスターです。

いやしかし、古バイクのマスターシリンダーを開けた過去の経験から予想した状況とは違う、異様な光景を目の当たりにしました。茶色く醤油状になったフルードではなく、粉がいっぱい! 黄色っぽい粉がマスタータンクにぎっしりと詰まっていました。

「なんじゃこりゃぁ!?(松田優作さん風味)」 実際、一人っきりの作業場で思わず声が出ました。

予想外のリヤマスターの惨状ですが、いつまでもひるんでいる場合ではありません。中身を掻き出して、マスターのインナーを強制的に引っこ抜き、シリンダー内壁を真鍮ブラシで清掃して新品のインナーキットをラバーグリス等を併用して慎重に組み込みます。ホース類の再接続には、シールテープを巻き直してバンジョーもしっかりねじ込んで固定。

リヤマスターの細部を確認。プランジャーで押される部分が、奥に引っ込んだままですな(イヤ~な予感)。
リヤマスターの内部。なんですかね、この物質は? ブレーキフルードが“フルード”じゃなくなってます。
あまりにも面白くて、ひとり顔面を引きつらせながらリヤマスター内部の謎の物質除去を開始。
経年劣化により、リヤマスター内のサークリップが簡単に折れました。
無理にピストン部分をひっこ抜いても傷が出来そうなので、数日CRC556を浸透させてみましょう。
タンク側にもCRC556を噴射して浸透させておきました。
ホースに接続する側のリヤマスター。こちらからもCRC556を注入して浸透させておきました。

「新しいフルードはフロントが終わってから入れれば良いかな?」と、一旦車体に全部組み込んでおきました。

続くフロントマスターの中身。こちらは内部固着がひどく、サークリップを外した後でもうんともすんとも言わず、ホース側の穴からポンチでどついてやっと取れたという状態でした。除去出来た瞬間、古いピストンやスプリング等が3mほど飛んで行きました。

こうした”ドッキリ作業”をやっていたのが午前2時過ぎという時間帯。少々疲れてしまったので、フロントマスターの作業はここで打ち切り。

リヤ側のマスターは一旦そのままにし、フロント側へ。ブレーキレバーの支点はサークリップ方式です。
ブレーキレバーを外した後は、スプリングなどを抜きます。
続いてワッシャーと防水のための保護材っぽいクッション(?)も取外します。
フロントブレーキのマスターも、ピストン部分はサークリップよりも奥で止まったままでした。
慎重に外すとサークリップは無事に取れましたが、ピストンがぜ~んぜん外れず(激怒)。
作業が前後しますが、フロントマスターのタンク内はこんな色調でした。
フルードがきな粉と化していたリヤマスターと比べ、フロント側はまだ液体の名残りが感じられます。
ホースを外し、フロントマスターの固着ピストン引っこ抜きの打開策へと進みます。
引っ込んだまま固まっているフロントマスターのピストン、どうしてくれましょうか……
結局、ホース側からピンポンチでどついて撤去したピストン部材。ここは新品に交換ですねー。
分解したフロントブレーキ部。マスター解体作業に没頭した後の、深夜のカップ麺とコーヒーは格別でした。

オリジナルを極力重視したい気持ちはあるのですが、「ブレーキや電装は、もしかしたら後年の部品にした方が良いかもしれんなぁ」という想像が働きます。快適なライディングのためには、次世代のEVOハーレー部品の流用も、検討すべきかもしれませんね。  (つづく)

文と写真●小見哲彦

著者プロフィール

小見哲彦(こみ・てつひこ)
無類のバイク好きカメラマン。
大手通信社や新聞社の報道ライダーを経験してバイク漬けになった後、写真総合会社にて修行、一流ファッションカメラマン、商品撮影エキスパートのアシスタントを経て独立。神奈川二科展、コダック・スタジオフォトコンテスト等に入選。大手企業の商品広告撮影をしつつも、国内/国外問わず大好きなバイクを撮るように。『モーターサイクリスト』誌ほか多数のバイク雑誌にて撮影。2021年からは、防衛関係の公的機関から、年間写真コンテストの審査員と広報担当人員への写真教育指導を依頼されている。

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