■タイトル写真:ホンダRS125Rのフレームを生かしたというこのバイクを初めて見た時、ベース車がまるで分かりませんでした。それもそのはずですが……
類は友を呼ぶ!? 濃厚カスタムプライベーターとの交流
昨今、SNS上では、バイク関連の情報交換やミーティングのお話をよく見聞きします。年齢層が広いとは言え、突っ込んだカスタムをするライダーの年齢層は高めであり(筆者も含めて、ですね)、筆者が随分前に連載記事で触れていたレーサーや、ストリートバイクの記事を読んで下さっていた読者の方と交流をいただく機会もあったりします。
そうした元・読者の方々の中には、私よりもよほど突っ込んだカスタムを施して実にエポックメイクなバイクを製作してきた重度(重症?)な愛好家をお見かけします。そんな中のおひとりで、不肖ワタクシが数10年前に製作したOHVスーパーカブエンジンの出鱈目なレーサー(ヤマハSDRのフレームにOHVカブのエンジンを無理やり積んだ車)の記事を面白がって読んでくれていた方がいました。
ところがご本人の製作したカスタム車両には、当方の奇妙なレーサーよりよほどまともに走りそうなSDR-Fと命名された「4ストエンジンのSDR」や、あろうことか温厚なキャラクターのスズキ・ボルティに2ストのRG250ガンマのエンジンを積んだ「ボル・ガンマ」なんてのも拝見できました。またパッと見たところベースの車体がほとんど分からない謎のカフェレーサー的な不思議なバイクも含め、いくつもの奇天烈なカスタムを製作していたのです。

そこで、これらをどんな方が作ったのか興味津々で連絡。約束を取付け、お会いできたのは、4月下旬の晴れた週末の事でした。撮影に良さそうな場所を教えてもらい、筆者はその場に前夜から車中泊。翌朝、トランポの中でラーメンをすすっていると、温厚そうな男性が控えめに声をかけてくださいました。
本業、金属加工の腕を生かした、奇想天外カスタム
待ち合わせ場所にいらして、取材に協力して下さったのは神奈川県の相模原市界隈にお住まいの本田 久さん。本業をお尋ねすると、想像通りというか金属関係の精密切削等に長年従事されている「その筋の大ベテラン」でした。前編として今回紹介する2台でも、エンジンのマウントや各部に創意工夫が施されており、数々のワンオフ部品に興味津々。それら部品を自分で作って、思うがままに創造性溢れるバイクを作ってこられた事に敬意を表したい気分です。
RG250ガンマのエンジンを搭載したボルティは、一見大人しめな全体の見た目とは裏腹に、いかにも加速したそうな心臓部に目が行きます。ちょっと”競争”を仕掛けた小排気量スポーツタイプや、甘く見た重量級バイクのライダーは、その速さに驚かされたのではないでしょうか。




また、RS125R(ホンダの市販レーサーNF4)のフレームを流用し、独自の部品や重量車のパーツも使用して製作されたオリジナリティ満載のスポーツ車も興味深いものでした。一見して、ベースの車両がまったく想像できないこの車体。タンクをチョップして整形し直したり、各部に強度適性に応じたアルミ材を使った削り部品を採用して、独特の風貌を持っていました。
ドゥカティ900SSのフォーク、ヤマハMT-09のヘッドライト、デイトナのトラッカータイプのシート等を使用したかと思えば、エンジンはなんとヤマハのSG03(2代目マジェスティ)用を、台湾製のアルミシリンダーを使ってチューニングをしてあるとのこと。



【RS125R大改造カスタムの各部仕様】
概要:ホンダ(RS125R)NF4のアルミフレームをベースに公道用ナンバー取得
■細部仕様
サイドパラレルアーム:7N01材自作/ラジエターステー兼センターカバーのような物:7N01板材/シートレール:自作7N01角パイプ/アルミタンク:NF4用をチョップ/タンクキャップ:A2017で削り出し/トラッカーシート:多分デイトナ製/リヤサス:社外アドレスV125用を別体サブタンク化/スプリング:ホンダ・グロムノーマル流用でアルミ7N01角パイプで作ったアームを介して作動/フロントフォーク:ドゥカティ900SS用(スプリングVJ21=スズキ・ウルフ用)/トリプルツリー:A2017材総削り出しワンオフ/ヘッドライト:ヤマハMT09用/ハンド:ディライト製ドゥカティ用アルミ(クランプは下だけA2017削り出しワンオフ)/フロントホイール:NSR50用/フロントブレーキ:ホンダグロムノーマル/フェンダー:自作カーボンハンドレイアップ3プライ/メーター:エースウェル1600デジタルメーター/キャブレター:ケイヒンPWK35+ワンオフ3D削り出しマニホールド/マフラー:ドゥカティ純正テルミニョーニを切貼り。サイレンサー内部は自作チタンバッフル内蔵/エンジン:ヤマハSG03(台湾製アルミシリンダーキット)/リヤブレーキ:SG03用ノーマル流用/リヤブレーキホース:64チタン削り出しバンジョー+エア抜き部ほか64チタン部品多数/テールランプ:ヤマハセロー250純正品/ペイント:ガンメタぽいカラーでガンコート
こちらのRS125R大改造カスタム車は現在売りに出されており、今後は別のオーナーの手に渡る模様で、前出した「ボル・ガンマ」も本田さんの手元から離れているとのこと。面白いバイクを製作して、ある程度納得したら手放して新たな素材を探すのでしょう。いじり好きのその生態(!?)、いやはや筆者もよく分かります。
模型の世界のマニアのような感覚で、作る過程をとことん楽しまれているのでしょう。前編ではこの2作をご覧いただき、後編ではじっくり拝見して、当日撮影させてもらった異色のSDR-Fをご紹介しましょう。こちらも乞うご期待!

レポート●小見哲彦 写真提供●本田 久さん
小見哲彦(こみ・てつひこ)
無類のバイク好きカメラマン。
大手通信社や新聞社の報道ライダーを経験してバイク漬けになった後、写真総合会社にて修行、一流ファッションカメラマン、商品撮影エキスパートのアシスタントを経て独立。神奈川二科展、コダック・スタジオフォトコンテスト等に入選。大手企業の商品広告撮影をしつつも、国内/国外問わず大好きなバイクを撮るように。『モーターサイクリスト』誌ほか多数のバイク雑誌にて撮影。2021年からは、防衛関係の公的機関から、年間写真コンテストの審査員と広報担当人員への写真教育指導を依頼されている。現在当ウェブで「ハーレーショベルヘッドのFXSローライダー再生記」「ホンダ・エイプカスタム記」などを連載中。




































