バイクライフ

【ショベルヘッド再生記10】  まさかの上がりバイクか? ハーレーダビッドソンFXSローライダー 「作業真っ只中に、まさかの“押収品”到着す」

■タイトル写真:“押収品確認中の犯人役”を自ら演じてくれるノリの良い元オーナーの三平さんです。

磨きと小穴補修処理をしたエキパイは、デイトナの耐熱塗料でいい感じに!

前回、リヤのバナナキャリパーをひと思案して改造を済ませた後に、マスターシリンダーの修理作業を…と予告していたのですが、それに至るまでにまだまだ別の作業がありました。

兼ねてから気に入っていたデイトナの耐熱塗料を、錆落とし済みのエキパイに塗っておこう! ということで、湿度が高くない日に実行してみました。この時期は空いた時間をフルに使ってローライダーの作業に没頭していましたから、どんどん作業が進みました。

第5話の「穴空き部分切開切り貼り溶接」で蘇ったエキパイ。いざ、耐熱塗装じゃ!
定番の黒やシルバーとは違った印象を狙い、信頼のデイトナ製「耐熱ペイントスプレー エキパイ用艶消しチタンカラー」(商品番号68114)を選択。

湿度こそ低めながら気温は肌寒い時間帯もあって、エキパイを脱脂すると指先の冷える気温。そこで塗装前に少しバーナーで温めておき、チタンカラーを軽く吹いて”足付け”。

熱で溶剤の飛びが早いらしく、塗装直後の濡れた艶が短時間で引けると、想像以上に良い感じの色合いになりそうでした。エキパイを、再度バーナーの遠火であぶって徐々に塗り重ね、最後に少しだけ厚塗りしたらしばらく放置。そして半日ほど乾燥させてから、また遠火のバーナーでじんわりとあぶっておきました。

エンジンを回して暖気させる手がまだ使えなかったためなのですが、乾燥後は落ち着いたモノトーンの印象になり、ローライダーに微妙な近代感が出て、好みの色の組み合わせになりそうです。エキパイはこの後室内で保管し、養生しておきました。

しつこく脱脂した後、気温が低かったのでバーナーで全体を少し温めてから塗ってみました。
加熱してから軽く吹いてみたら、乾きが早め。良さそうな感じです。
薄く塗っては加熱→しばらく乾かし、そして最後にちょっと厚めに塗るとこんな感じ。
錆の痕跡やクロームの剥がし切れなかった銅下の残党も消えて、良い感じになりそう。
ぶら下げて乾燥させ、さらにバーナーで加熱して乾燥したエキパイの仕上がりに、思わず笑みがこぼれます。

なんと、前オーナー三平氏から追加の予備パーツを押収!

そんな調子でせっせと作業をしていたところ、元ショベルオーナーの三平さんから連絡が入り、「予備で隠し持っていた部品が色々発掘された」との供述が!「おぉ、それは取り調べをして余罪を追求しなくてはなりませんな♪」と冗談の応酬をした数日後に、三平さんがわが作業場にご出頭。

まさかの発掘部品群が車から続々と降ろされ、個々の部品をチェックしてみると、以前荒れたクロームを落とすのに七転八倒したS&Sのクリーナーカバーの同じタイプでピカピカの個体や、ステー付きの“いかにもローライダー風”という純正フロントフェンダーも“押収品”の中に入っていたではありませんか(狂喜!)。

三平さんの実家に埋もれていたという予備パーツの数々。フェンダーが特に目を引きます。

同様のフェンダーを、ネットオークションあやうくポチりそうだったので、非常に助かりました。

またもう一つの発掘されたS&Sのエアクリーナーカバーのピカピカ個体は保存しておきます。私が磨き倒してヘアライン仕上げにしたエアクリーナーカバーも、「もしかしたらチタンカラーに塗ったエキパイと案外合うのでは~?」と、至って客観的かつプラス思考で考えて、マッチングをしてみる事にしました。

左がせっせと磨いたエアクリーナーカバーの元の個体で、右がまさかの”押収品”。これ存在を知っていたら…(笑)
「ワシの苦労が~」と、しょーもない演技をする小見の図
とはいえ再生したエアクリーナーカバーも、これはこれでシブい気もします。
「オレが早く教えておけば…」と、なおも犯人役を演じてくださる三平さんです。

そのほか、三平さんは新しい世代のハーレーTC88(ツインカム88)用のスイッチボックスや電装部品まで予備で持っていたようで、これも使えそう。本当に助かります。

撮影のヤラセで犯人っぽいポーズを自らやってくれた三平さんのノリの良さと、多数の予備部品を押収できたことに感謝するばかりです。前後のオリジナルのフェンダーは、後日また装着の準備をする事にしましょう(リヤフェンダーはけっこうデコボコ)♪

作業の進んでいるローライダーを見た三平さんはたいそう喜んでくださり、それに調子づいて、塗装の終わったエキパイをエンジンに仮付けしてみよう♪という話になりました。

実際に付けて見ると、なんだかカッコ良い。クロームの純正は当然カッコ良いのですが、錆サビだった元の状態から欠損箇所の修復で狩野溶接さんの手を煩わせた苦心作のエキパイが、何事もなかったかのようにチタンカラーを纏い、シックになった様子は感慨深いものがありました。

二人で「けっこう良いね~」と少々悦に入り、夕刻まですっかり和みの時間を過ごしました。

赤錆&緑青の生えていたエキパイが、デイトナの耐熱チタンカラーですっかり蘇った♪

初めてのS&S製キャブレター分解、そして清掃作業

S&Sクリーナーカバーのピカピカ個体がせっかく来たし、外しておいた同社製キャブレターを分解整備しました。ミクニやケイヒンなど国産キャブは各種いじった事がありますが、S&S製のキャブを分解するのは初めて。どこにトラップが潜んでいるか、未知の世界です。

全体を観察した後に、必須作業であるフロートチャンバーを開けてみようと、見た感じでは外れるであろうネジを外してコンコン叩いても外れません。「なんでかな?」と思ったら、隠しネジみたいな雰囲気で別の箇所の長いネジ1本が残っていました。冷静に確認していなかったら、無理にこじ開けて壊すところでした(あぶねー)。

このS&S製キャブ、これで外れるだろうと思われたネジを外しても取れないわ…と、そこで一考。
「このネジが怪しいかも?」と外してみたら、やっぱり長いですね。
めでたくフロートチャンバーが外れました。短気を起こさなくて良かった(本当)。
フロートチャンバーを外す際に取ったネジ4本。

フロートチャンバーの汚れは、よくありがちな緑色の腐ったガソリンのゼリー状カスではなく、茶色い残留色という感じで予想ほどひどくはなく、国産の4連キャブなどだと十中八九詰まっているはずのパイロットジェットが、その内径の大きさゆえか、全く詰まっていませんでした。さすが1340ccの2気筒エンジンに、たった1個で混合気を送り込むキャブだなーと思いました。

フロートとバルブをチェックします。フロートには亀裂や割れもなく異常なし。
ありがちな緑色&腐ったガソリン臭ではなく、茶色の汚れ。意外と悪くない状態に安堵。
メインノズル&ジェット周辺のニス状の汚れはクリーナーで落としましょう。
さすがは大口径パイロットジェットです。「ちっとも詰まってない!」でも一応清掃。
各部キャブクリーナーを吹き、エアを通して確認しておきます。

隅々までエアを通し、内側を綺麗にして確認後、パッキン等を取り替えて元通りに復元。その後、せっかくなので外側の白錆を落とし、何日かかけて暇な時間で磨きに邁進しました。

この作業の際に、スロットルワイヤーの装着ステーでワイヤーの通る割り部分のエッジも、ペーパーをかけて微妙に丸め処理。スロットルワイヤーの取り付け時など、ちょっと荒っぽい接触があってもワイヤーを傷めないように、“おまじない”をしておきました。

キャブのフロート室ドレンの内側には、汚れが溜まっていました。ピックツールで掻き出した後に清掃。
じっくりやっていたら日が暮れて来ました。暖色系LEDランプの下で撮影。
キャブレターは概ね良かろうということで、ひとまず復元の方向へ。
組み立てた後に、キャブ全体の錆を軽く落としてみました。

些細な事かもしれませんが、スロットルやクラッチのワイヤーって、出先で切れちゃうとホント面倒なんですよ。なので、気になるエッジやバリのある箇所は手を入れておきたいところです。

こうした細かい部分でも、表面のユニクロめっきやコーティングは剥がれてしまうので、全部ユニクロメッキなりクロームめっきなりをし直せたら良いのですが(長期間作業は止まるけど)。

そして、さらなる光沢への欲望が渦巻き、深夜のサンドペーパー攻撃を自室で展開。
スロットルワイヤーを通すミゾも、エッジの丸め処理に励みました(暇人プレイ)。
傷んだ状態のバッテリーケースカバーに悩みつつも、手元には240番のペーパーが…。そして次回へと、つづく。

こうしてキャブ、エアクリーナーケースの再生が進みました。ジワジワと車体の各部に手が入り作業が進んでくると、こうした年式のハーレーでは有りがちなオイル漏れの痕跡をまず一掃して、下回りの清掃もしておきたくなります。

それにリヤマスターシリンダーの整備、大きなバッテリーを収めるバッテリーケースも外して点検しなくてはなりません。次はそのあたりの作業をお伝えしたいと思います。 (つづく) 

【取材協力】株式会社デイトナ(耐熱ペイントスプレー エキパイ用艶消しチタンカラー) https://www.daytona.co.jp/

文と写真●小見哲彦

著者プロフィール

小見哲彦(こみ・てつひこ)
無類のバイク好きカメラマン。
大手通信社や新聞社の報道ライダーを経験してバイク漬けになった後、写真総合会社にて修行、一流ファッションカメラマン、商品撮影エキスパートのアシスタントを経て独立。神奈川二科展、コダック・スタジオフォトコンテスト等に入選。大手企業の商品広告撮影をしつつも、国内/国外問わず大好きなバイクを撮るように。『モーターサイクリスト』誌ほか多数のバイク雑誌にて撮影。2021年からは、防衛関係の公的機関から、年間写真コンテストの審査員と広報担当人員への写真教育指導を依頼されている。

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