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エンスト知らず!【ホンダ CL250 Eクラッチ 試乗記】優しく悠然と構えるニーハン

クラッチ操作を自動制御する「ホンダEクラッチ」をCB/CBR650R、レブル250に続いて採用したCL250。バイク自体のキャラクターとEクラッチの利便性について、月刊バイク雑誌「モーターサイクリスト」の編集部員が試乗を通して改めて考察してみた。

穏やかな性格が印象的

スクランブラーと言ったら、舗装されている道が今よりもずっと少なかった時代に、ワイルドなライダーがダートで砂煙を上げながら元気良く走らせていたバイク、という印象が自分の中にある。そんなイメージを抱きながら「スクランブラースタイル」を標榜してデビューした2023年型CL250に乗ったときは「意外とおとなしいんだな~」と感じた。

2023年型CL250。メインフレームはクルーザーのレブル250と共用だが、シートレールは専用設計品。最新型ではEクラッチ仕様の追加のほか、ステップやハンドルの形状、シート内部の素材、メーターの構造を刷新。

CL250のエンジンのベースとなっているのは、2011年登場のフルカウルスポーツモデル、CBR250R用に開発された249ccの単気筒エンジン。このエンジンはレスポンス良く高回転までスムーズに回っていくスポーティさが印象的だったが、CL250においては、低中回転域の力強さをより重視して、同じ系統のエンジンを採用したオン・オフロードモデル、CRF250Lのカムシャフトを採用するモディファイが実施されている。しかし、CL250はCBR250Rよりも10kg近く、CRF250Lよりも30kg以上車体が重いせいか、それほどパワフルな感じはしない。タコメーターがないため、うっかりレブリミットに達することもあった。その辺りを初試乗時はもの足りなく思ったのだ。

2011年型CBR250R。並列4気筒エンジンを搭載した1987年発売の同名モデルとは大きく異なるパッケージで登場した。前後17インチホイールを採用。
2025年型CRF250L。オフロードを自在に駆けることを追求した機能的なフォルムを採用している。フロントホイールは21インチ、リヤホイールは18インチ。

だが、今回の新型モデル試乗時には、過去の自分は視点がズレていたのかもしれないと感じた。このバイクはクラシック風のデュアル“スポーツ”モデルではなく、ビギナーも含めて日常で気ままに、気軽に走れるバイクを目指している。そう考えると、エンジンのレスポンスも節度あるものに感じられ、どっしりした車体も安定感、安心感につながっていると思える。乗車姿勢はアップライトで見通しが良く、鼻歌を歌いながらトコトコ走らせるくらいの心持ちがちょうどいい。19インチのフロントホイールは、もちろんオフロードでの安定感につながるが、オンロードでのゆったりしたハンドリングこそ本領のように感じる。

CL250はフロント19インチ、リヤ17インチのキャストホイールを採用。前後タイヤはセミブロックタイプのダンロップ トレールマックスミックスツアーで、オンロードでも自然に走れる。
ライダーは身長168cm、体重54kg。オフロード走行も視野に入れたモデルでは足着きが良くないイメージだが、CL250では体重が軽い筆者でもかかとまで接地。ステップは低めで足の曲がりは緩く、ハンドルは手前で高めなので、高速走行時以外はとても楽な乗車姿勢。

新採用のEクラッチは、発進、変速、停止など、駆動力が変化するシーンでライダーのクラッチレバー操作を必要とせず、最適なクラッチコントロールを自動制御することでスムーズな走りと安心感をもたらすというもの。また、電子制御中でもライダーがクラッチレバー操作を行えば、手動によるクラッチコントロールが可能であり、ライダーの要求に幅広く対応する。

Eクラッチのユニットはエンジン右側に配置。電子制御モーターを使って自動でクラッチ操作を行うもので、同社のDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)と異なり自動変速はしないが、既存エンジンに組み込みやすく導入コストも比較的少ないのが特徴である。
ライダーの変速操作はシフトロッドに取り付けられたセンサーで検出される。
新型で太陽光の反射を抑える改良が施されたメーターパネルの下方に、Eクラッチの作動インジケーターが配置されている(「N」の上で緑色に点灯しているのが作動インジケーター)。

実際にEクラッチを利用して走行してみると、シフトショックが小さく、違和感なくギヤチェンジ可能。停止時にローギヤに入れてからレバー操作なしで発進させても、唐突な押し出し感はない。この装備も、CL250ではスポーティな走りに役立つというより、クラッチ操作に不慣れな初心者が乗る場合や、ベテランでも面倒な渋滞での徐行時などに生じるストレスを打ち消す装備と受け取った方がしっくりくる。CL250 Eクラッチの車両価格は70万4000円で、スタンダード仕様との価格差は5万5000円。これはかなりお得と言えるだろう。

EクラッチがあればUターンするときもクラッチレバーを操作する必要なし。リヤブレーキで速度を調整すればいいだけなので気が楽だ。

なお、クラッチレバーを握るとEクラッチの作動がキャンセルされ、レバーを離してクラッチをつなぐと再び作動するようになるが、復帰まではわずかな間がある。なので、例えば「クラッチレバーを操作してシフトアップ→直後にクラッチレバーを握らずシフトアップ」というような操作は受け付けない。Eクラッチに頼ると決めた場面では、発進から停止までクラッチレバーには終始触れないほうが無難だと思われる。

2025年型CL250/Eクラッチは、快適性向上をねらってシート内部の素材が従来型から変更されている。
2025年型CL250/Eクラッチは、メインステップが従来型より足着き性に配慮した形状、具体的にはコンパクトなものに変更されている。

カスタムも楽しめる!

CL250は「シンプル/タフ/素材感」をスタイリングコンセプトとしており、自分好みにカスタムするのも楽しい。

純正アクセサリーのヘッドライトバイザー(2万9260円)、ヘッドライトバイザーストライプ(440円)、ナックルガード(2万20円)、リアサイドカバー(7590円)、リアサイドカバーストライプ(770円)、アップフェンダー(2万350円)、フラットシート(1万6390円)を装着すればラリーマシン風に変身させられる。

オフロードイメージを強化する純正アクセサリー装着車。

また、「ともに旅をする相棒」としての存在を提案するものとして、アジアンカスタムショップのドープが監修し、パーツメーカーのデイトナが制作したコンプリートカスタム車も存在する。ワンオフのようなスタイルだが、ホンダ二輪車正規取扱店で合計価格34万5840円(工賃別)のカスタマイズパーツを注文すれば入手できる。

これぞカスタム車!なルックスのクールアドベンチャースタイル。

その他のEクラッチ採用車

記事執筆時点でCL250以外にEクラッチ仕様が存在しているのは、CB/CBR650R、レブル250/Sエディション、CB750ホーネット、XL750トランザルプ。このほかには、大阪/東京モーターサイクルショー2026では、CB400スーパーフォア Eクラッチコンセプト、CBR400Rフォア Eクラッチコンセプト、CBR400R Eクラッチコンセプトが出品されており、発売が待たれるところだ。

CB650R Eクラッチ。EクラッチはON/OFF切り替え可能で、価格は108万9000円。スタンダードモデルの価格は103万4000円。
CBR650R Eクラッチ。EクラッチはON/OFF切り替え可能で、価格は写真のグランプリレッドが118万8000円、マットバリスティックブラックメタリックが115万5000円。スタンダードモデルの価格は110万円。
レブル250 Eクラッチ。EクラッチはCL250と同じくクラッチレバーを握ったとき以外は常時稼働するタイプで、車両価格は69万3000円。ヘッドライトカウルなど純正アクセサリーをパッケージ装着したレブル250 Sエディション Eクラッチは73万1500円。スタンダードモデルは63万8000円。
CB750ホーネット Eクラッチ。EクラッチはON/OFF切り替え可能で、価格は114万9500円。2026年型はEクラッチ仕様のみの展開となっている。
XL750トランザルプ Eクラッチ。EクラッチはON/OFF切り替え可能で、価格は143万円。CB750ホーネットと同じく、2026年型はEクラッチ仕様のみの展開。
CB400スーパーフォア Eクラッチ コンセプト。Eクラッチはエンジン左側に配置されている。
CBR400Rフォア Eクラッチ コンセプト。CB400スーパーフォア Eクラッチ コンセプトと同じく、Eクラッチはエンジン左側に配置。
CBR400R Eクラッチ コンセプト。399cc並列2気筒エンジンを共有するクロスオーバーモデル、NX400にもEクラッチ仕様が用意されるのだろうか?

ホンダ CL250 Eクラッチ 諸元

エンジン種類:水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブ ボア×ストローク:76.0×55.0mm 総排気量:249cm3 最高出力:18kW<24ps>/8,500rpm 最大トルク:23Nm<2.3kgf・m>/6,250rpm 燃料タンク容量:12L WMTCモード燃費:34.0km/L 変速機:6段リターン 全長×全幅×全高:2,175×830×1,135mm ホイールベース:1,485mm シート高:790mm 車両重量:175kg タイヤサイズ:(F)110/80R19 (R)150/70R17 カラー:グレー、イエロー 価格:70万4000円 発売日:2025年10月24日

report:林 康平・・・バイク歴14年のスポーツライディング好き。愛車は2016年型ニンジャZX-10Rと、一昨年手に入れた1998年型スーパーシェルパ。近頃は舗装林道がマイブーム。

photo:北村誠一郎/ホンダ

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