バイクライフ

奇跡のシンデレラフィット! ホンダ新型フリードと特定小型原付「ストリーモ」で始める7輪生活

消費税非課税、300万円以下で買えるスロープ仕様を福祉車両限定にするのはもったいない

かつて「サイコーにちょうどいいホンダ」というキャッチコピーで人気を博したコンパクトミニバン「フリード」が2024年6月にフルモデルチェンジ、3代目へ進化したことはご存知の方も多いでしょう。

新しくなったフリードは、プレーンでシンプルライフ感が魅力のAIR(エアー)と、SUV的なアウトドアテイストを持つCROSSTAR(クロスター)の2系統のラインアップとなっています。それぞれに1.5Lガソリンエンジンと、1.5L「e:HEV」ハイブリッドのパワートレインが用意されるなど、日本市場のニーズに応えた展開となっているのも特徴です。

左が5ナンバーボディのAIR、右はSUVテイストで3ナンバーボディのCROSSTAR

とはいえ、新型フリード・クロスターにスロープ車が設定されていることは、ご存知ないかもしれません。大きなテールゲートと低床ラゲッジに折り畳み式のスロープを組み合わせ、さらに電動ウインチも標準装備することで車椅子のまま乗り込めるようになっている仕様です。

このように記すと、デイサービスや医療機関などが業務で使う「福祉車両」でしょう? と思いがちですが、フリードに限らずホンダのスロープ車は「いかにも業務用」といった印象を受けない仕様となっているのが特徴です。むしろ、高齢者など車椅子ユーザーが家族にいるファミリー向けといったイメージです。
だからこそ、新型フリードの場合スロープ仕様はSUVテイストのクロスターにしか用意されていなかったりします。

新型フリード・クロスター(e:HEV)のスロープ仕様
後部座席の下に電動ウインチを標準装備。リモコンで巻き上げが可能

これはリアルなカーライフを考えると、ユーザーに寄り添っているといえます。じつは筆者も肉親が車椅子ユーザーだったため先代フリードのスロープ仕様を日常使いしていたこともありますが、常に車椅子の老親が乗っているわけではありません。むしろ利用時間の9割以上は「フツーのクルマ」として使っていました。

日常的には福祉車両テイストを薄めて、パーソナルカーとして感じられるよう工夫されているのはうれしいポイントでした。それがフリードのスロープ車を選んだ大きな理由だったともいえます。ちなみに、スロープは前倒しで格納することもできますので、日常の買い物などではミニバンらしい広大なラゲッジを活用できるのも美点です。

しかしながら、一人のバイクユーザーとして見たフリードのスロープ仕様はちょっと残念に感じるところもありました。アルミ製の立派なスロープが備わっているのでバイクも載せられそうですが、キャビンのスペースは車椅子に合わせたサイズ感となっているため、現実的にバイクを載せて、トランポ的に使うことは難しいからです。

サーキット向けのトランポとして使おうとしたわけではありません。観光地に旅行に行く際、原付のレジャーバイクを載せておいて、現地でのプチライドを楽しめないかと考えていたのでした。まさに、かつてホンダが初代シティとモトコンポのコンビネーションで提案した6輪ライフを夢想していたのです。

ホンダ初代シティのラゲッジスペースに搭載できるよう開発された原付のモトコンポ。1981年11月にシティとモトコンポ、2車同時発売となった

フリード・クロスターのスロープ車にピッタリ収納できる3輪EV「ストリーモ」。しかもウインチをかけやすい!

前置きが長くなりすぎました。そんなことを思い出しながら新型フリードのメディア向け試乗会に向かいました。そして会場入り口に展示されていたのが、この記事で紹介しているタイトル写真。フリード・クロスターのスロープ車に、特定小型原付ストリーモを載せようとしているシーンを再現した展示です。

二輪ファンであればご存知でしょう。ストリーモは、ホンダの新事業創出プログラム「IGNITION」により生まれた3輪の小型モビリティです。ホンダでの経験を活かして二輪エンジニアが開発・設計したもので、前輪のインホイールモーターで駆動する立ち乗り電動車両。原付一種仕様もありますが、16歳以上であれば免許不要で乗ることのできる特定小型原付の有力モデルとして注目を集めています。

ストリーモはフロントを折りたたんでコンパクトにすることもできるので、乗車状態のまま載せることにこだわる必要はないかもしれませんが、バックミラーが不要となる特定小型原付バージョンであればフリード・クロスターのスロープ車にそのまま載せることができる、というのがこの展示のポイントです。

しかも、ストリーモのフロントグリップは電動ウインチをかけるのにぴったりの位置と形状。ストリーモの全長もフリード・クロスターのスペースにピタリと収まるサイズです。念のために確認すると、けっしてストリーモを載せることを前提に設計したわけではないそう。まさに奇跡のシンデレラフィットというわけです。

株式会社ストリーモが製造・販売を行う「ストリーモ」。2023年7月に発売し、台数を区切ってweb応募からの抽選という形で販売されている
ストリーモをフリード・クロスターのスロープ車に搭載した状態。高さも長さもちょうど良く収まる

ストリーモの航続距離は満充電で約30km、観光地などで走り回ることを考えれば十分でしょう。また、最高速度6km/h以下となる走行モードに切り替えれば自転車走行可の歩道を走ることもできるので、そうした使い方にマッチしそうです。

フリード・クロスターのスロープ車とストリーモの7輪生活は、前述したシティとモトコンポが提案した6輪生活を令和に復活させるもの!? いえ、積載性の良さを鑑みれば、これまでにない新しいモビリティライフを楽しめるかもしれません。

このようにレジャーユースの夢も広がるフリード・クロスターのスロープ車は、基本的には福祉車両ということで消費税は非課税となるのも隠れた魅力。メーカー希望小売価格は1.5Lガソリンエンジン車で297万7000円、ハイブリッドは329万5000円となっています。これは通常モデルの税込み価格と比べて、約13~16万円高とリーズナブルです。

ストリーモの特定小型原付仕様(ミラー無し)の価格は30万円。ガソリンエンジンのフリード・クロスター スロープ車であれば合わせて330万円の予算で、7輪生活が楽しめるのですから、検討したくなりませんか。

レポート●山本晋也 写真●山本晋也/ホンダ 編集●上野茂岐

CONTACT

■ホンダ・フリード

https://www.honda.co.jp/FREED/

 

■ストリーモ

https://striemo.com/

  1. 【STAR OVERALL DAX125】発売!約100年振りに復刻したオーバーオールから感じる「未来のヴィンテージ」

  2. 【限定モデル】最上級! 大型ツーリングバイク『Gold Wing Tour(ゴールドウイング ツアー)』が50周年記念の限定仕様でさらにゴージャスに!?

  3. Hondaの新たな電動スクーター『CUV e: 』が登場!走行性能と先進装備が充実!

  4. 50歳からライダーデビュー。エネルギッシュな女性ライダーが考える悔いのない人生

  5. 今から『GB350 C』をベタ褒めするぞ?気になってる人はご覧ください!

  6. 『Rebel 1100シリーズ』が熟成されて魅力度アップ。『Rebel 1100 S Edition』がタイプ追加!

  7. 大きなバイクに疲れた元大型ライダーが「Honda E-Clutch」で体感したある異変とは?「バイクの概念が変わりました」

  8. 【バイク初心者】本格的なバイク整備はプロに任せる!でもこの『3つ』だけは自分でもチェックできるようになろう!【バイクライフ・ステップアップ講座/3つのセルフチェック 編】【Safety】

  9. 【比較】新型『GB350 C』と人気の『GB350』の違いは?ざっくり10万円強も価格差……ちょっと高いんじゃない?と感じる人へ!

  10. 新型『NX400』ってバイク初心者向けなの? 生産終了した『400X』と比較して何が違う?

  11. ベテランライダーが『CBR650R E-Clutch』に乗って感じた楽しさ

  12. 定年後のバイクライフをクロスカブ110で楽しむベテランライダー

  13. CL250とCL500はどっちがいい? CL500で800km走ってわかったこと【ホンダの道は1日にしてならず/Honda CL500 試乗インプレ・レビュー 前編】

  14. 【王道】今の時代は『スーパーカブ 110』こそがシリーズのスタンダードにしてオールマイティー!

  15. 新車と中古車、買うならどっち? バイクを『新車で買うこと』の知られざるメリットとは?

  16. ビッグネイキッドCB1300SFを20代ライダーが初体験

  17. “スーパーカブ”シリーズって何機種あるの? 乗り味も違ったりするの!?

  18. 40代/50代からの大型バイク『デビュー&リターン』の最適解。 趣味にも『足るを知る』大人におすすめしたいのは……

  19. ダックス125が『原付二種バイクのメリット』の塊! いちばん安い2500円のプランで試してみて欲しいこと【次はどれ乗る?レンタルバイク相性診断/Dax125(2022)】

  20. “HAWK 11(ホーク 11)と『芦ノ湖スカイライン』を駆け抜ける

おすすめ記事

【編集部さとうのVITPILEN 701日記】08.rpm:銀から白へ! 純正オプションでVITPILENの雰囲気がガラッと変わる!? 【RIDEZ】のジェットヘル3連並び、シブくない!? [大阪モーターサイクルショー2023]から 【バイク擬人化漫画】ニーゴーマン!第34話:バイクだって気になっちゃう!? 車両重量のお話【隔週連載】

カテゴリー記事一覧

  1. GB350C ホンダ 足つき ライディングポジション