バイクライフ

2023【マン島TT 現地速報!】10日目 サイドカーTT&スーパースポーツTT決勝「ダンロップ選手(YZF-R6)はスーパースポーツのレース2も制す!」

■サイドカーTTレース1に続いてレース2も制したバーチャル兄弟。写真はコース終盤、ガバナーズブリッジにて撮影。


いよいよ佳境に入ってきたマン島TT、本日はソロウォームアップラップにはじまって、サイドカーTTレース2、スーパースポーツTTレース2が行われた。

6月7日(水):サイドカーTT決勝 レース2

サイドカーについて、簡単ながら解説しておこう。「ニーラー」とも呼ばれるレーシングサイドカーは、レギュレーションによって搭載可能なエンジンは「600cc 4気筒」、「675cc 3気筒」、「900cc 2気筒」のいずれかとなっている。多くのエントラントは600cc 4気筒のエンジンを搭載したレーシングサイドカーで出走している。

ソロ(バイク)と違ってドライバーとパッセンジャーの2人が乗車することもあって車重があるため、走行のほとんどで高回転域を駆使している。それゆえサイドカーの走行音は甲高い4気筒のエンジン音が鳴り響き、ソロとは異なる様相を呈する。

また、公道を突っ走るニーラーの姿は、ソロよりも非日常感が強い。パッセンジャーが大きく身体を乗り出してコーナリングしていく姿は、バイクでは見られない迫力だ。

そんなサイドカーTTレース2を制したのは、ベン・バーチャル選手とトム・バーチャル選手の兄弟コンビ(ホンダ LCR)だ。6月3日に行われたレース1に続いてレース2でもトップを独走して連勝を決め、バーチャル兄弟は連続11回、通算14勝を挙げた。しかも平均速度120.645mph(194.159km/h)でラップタイムレコードを打ち破る新記録を打ち立てての勝利だ。

こちらもバーチャル兄弟。ガバナーズブリッジの先は普段は使われていない旧道を走行する。
スネーフェルマウンテンコースの最終コーナーを立ち上がり、フィニッシュラインに向けてスロットルを開けていくバーチャル兄弟のレーシングサイドカー。
マン島TTで11連勝、通算14勝を挙げたサイドカーのベン・バーチャル選手(左)とトム・バーチャル選手(右)。サイドカーTTで圧倒的な速さと強さを誇っている。マン島TT公式フォトより

6月7日(水):スーパースポーツTT決勝 レース2

スーパースポーツTTレース2(600cc 4気筒)では、6月3日のレース1に続いてマイケル・ダンロップ選手(ヤマハ YZF-R6)が優勝を決めた。しかもファイナルラップの4周目にスーパースポーツTT初となる平均速度130mph超の130.40mph(209.86km/h)を叩き出し、TT勝利数を25に伸ばす快挙だ。
しかもライバルのピーター・ヒックマン選手(トライアンフ デイトナST765RS)も平均速度130mph(209.2km/h)超でラップするなかでの勝利は、値千金以上だろう。

ダンロップ選手が残すレースは、6月9日のスーパーストックTTレース2、スーパーツインTTレース2、そして最高峰クラスとなる6月10日のシニアTTの3レースだ。彼はスーパーバイクTT、スーパーツインTTレース1で勝利を挙げているだけに、今年のマン島TTで最多勝利数記録を更新する可能性は高い。

スーパースポーツTTレース2、ユニオンミルズを駆け抜けるマイケル・ダンロップ選手(ヤマハ YZF-R6)。マン島TT公式フォトより
TT勝利数を25とし、現役最多勝利記録を更新したマイケル・ダンロップ選手。マン島TT公式フォトより

■スーパースポーツTTレース2、スターティンググリッドでジョン・マクギネス選手(手前)と話すマイケル・ダンロップ選手。どんな会話をしていたのかはわからないが、マクギネス選手から現役選手最多勝利を讃える言葉でも交わしていたのだろうか。

*編集部註
スーパーストック:1000cc市販車ベースで軽微な改造のみ
スーパーツイン:700cc2気筒

山中正之選手(ホンダ CBR600RR)はレース1に続き完走!

スーパースポーツTTレース2に出場した山中正之選手(ホンダ CBR600RR)は、スタート前から非常にリラックスした様子でレースに臨んだ。今年からマシンをカワサキからホンダに変え、初めて挑んだTTだったが、マシンのセットアップは順調に進んだ。

「2周目は他の選手と並走状態になりましたが、そのほかのラップでは単独走行でき、自分のペースで走ることができました」(山中選手)

そう話した山中選手は、1周目を19分59秒055、2周目を19分45秒726の好タイムで終えてピットイン。素早いピットワークで給油とシールド交換を済ませると、順調に3周目に突入。

「プレッシャーもそれほどなく、TTを楽しみながら走れました」(山中選手)

そして自分のペースを維持しながらファイナルラップをこなし、1時間20分03秒192、平均速度114.194mph(183.777km/h)でチェッカーを受け、36位で完走を果たした。山中選手はこれでスーパースポーツTTの2レース、スーパーツインTTの1レース、計3レースで完走を果たした。

残すのはスーパーツインTTレース2で、6月9日14時(現地時間)から行われる。今年のマン島TTで4レースを戦う山中選手、最終レースに向けて身体も精神も万全の状態だ。

スーパースポーツTTレース2、スタート前。グリッドにてチームメンバーと記念スナップに収まる山中選手。
スタート前も緊張した面持ちはなく、ずっとリラックスした笑顔でレース開始を待っていた山中選手。
マン島TTの決勝レースは、オフィシャルがライダーの肩に置いた手が離れたときがスタートとなる。緊張の一瞬だ(写真は別日のスーパーバイクTT)。
スーパースポーツTTレース2、スタートでフロントを軽く浮かしながら全開加速していく山中選手。
ピットロードの脇でレースの行方を見守る、チームI.L.Rのイアン・ロッカー監督。TT勝利数10、TT出走139回を誇る偉大なライダーで、現在もクラシックTTなどに参戦する現役選手でもある。
2周目を終えてピットインした山中選手。給油とヘルメットのシールド交換を行い、手慣れたピットクルーたちによって、このレースで最速となる45秒830で作業を終えた。
スーパースポーツTTレース2で4周のレースをフィニッシュしたあと、ピットロードで観戦客やレース関係者たちから祝福を受ける山中選手。
この日は表彰式が行われ、スーパースポーツTTレース2とスーパーツインTTレース1を完走した山中選手にメダルが授与された。

■チームのピットに戻る間も、山中選手を祝福する観戦客が絶えることはなかった。上位入賞者だけでなく、完走したライダーにも、リタイアしたライダーにも惜しみない賛辞を贈るのがマン島TTファンだ。なぜなら誰もが自分の限界にトライした勇者だからだ。

レポート●山下 剛 写真●山下 剛/マン島TT公式フォト

*6月10日追記:スーパーツインTTの排気量説明が誤っていましたので訂正を行いました。誤:650cc2気筒、正:700cc2気筒。

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