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2023【マン島TT 現地速報!】9日目 スーパーストックTT決勝&スーパーツインTT決勝「ダンロップ選手は24勝でTT勝利数・歴代2位に」

マン島TT決勝レース3日目は、スーパーストックTTスーパーストック(1000cc市販車ベース=軽微な改造のみ)とスーパーツインTT(750cc2気筒)の各レース1が行われた。TTがスタートしてからというものずっと晴天に恵まれてきたマン島だが、本日は朝から曇天。マウンテン区間の天候が不安定のためレーススタートが遅れた。
そのため10時30分にスタート予定だったソロウォームアップラップは13時30分に延び、さらに道路閉鎖解除を1時間はさんだため、日本人ライダー・山中正之選手が出場するスーパーツインTTは4時間30分遅れとなる18時30分スタートとなった。

6月6日(火):スーパーストックTT決勝レース1

まず行われたのはスーパーストックTTレース1。トピックとしては感染症のため治療に専念していたマン島出身ライダー、コナー・カミンズ選手(ホンダ CBR1000RR-RファイアブレードSP)が今年初となるTTに出場したことだ。

レースは1周目序盤でマイケル・ダンロップ選手(CBR1000RR-RファイアブレードSP)がトップに立ったが、中盤でピーター・ヒックマン選手(BMW M1000RR)がセクタータイムで自己ベストを上回るタイムを記録してトップを奪う。ヒックマン選手はそのままリードを守り、ファイナルラップの3周目にはその差を7秒以上に広げ、独走体制に入った。ヒックマン選手はそのまま逃げ続けてトップでフィニッシュ。51分05秒245、平均速度132.937mph(213.94km/h)で勝利した。

ヒックマン選手はこの勝利でTT勝利数を10とし、スタンリー・ウッズ選手、イアン・ロッカー選手、ジャコモ・アゴスチーニ選手といった偉大なTTライダーと肩を並べた。

スーパーストックTTで勝利し、TT勝利数を10としたピーター・ヒックマン選手(BMW M1000RR)。

6月6日(火):スーパーツインTT決勝レース1

しかし18時30分にスタートとなったスーパーツインTTでは、マイケル・ダンロップ選手(パットン SR-1)が先のレースの雪辱戦とばかりに1周目からトップを独走。そのままリードを広げ、3周のラップを終えてチェッカーを受けたときには2位のマイク・ブラウン選手(パットン SR-1)に20秒以上の差をつけた。

ダンロップ選手はこの勝利によってTT勝利数を24とし、歴代記録2位。叔父のジョイ・ダンロップ選手の記録まであと2つとした。残りのレースで記録を超えられるかに、ますます注目が集まる。

スーパーツインTTに出場した山中正之選手(カワサキ ER-6f)は31番手でスタート。1周目を順調に終えてピットインし、給油を済ませて再スタートする際にセルモーターが回らず、10秒ほどタイムロス。しかしそれ以外はマシンも山中選手も順調で、3周のレースを無事に終えて完走した。

「まずは最後まで走れたことがよかったです。2周目からは、46番の選手(デイビッド・マドセン-マクダル選手。カワサキ Z650)と並走状態になって、お互いの不得意なところで追い抜く、得意なところで抜き返すことが続きました。そのため自分のペースで走れなかったのですが、相手が先を行っているときはラインなど勉強になる部分もありました」(山中選手)

2周目はグースネックで山中選手が先行し、マウンテン区間をずっとリードしたが、マウンテン区間の最後となるクレッグニーバーで抜かれたという。

「それでも熱くなることなく、冷静にレースに集中できました。先行されると前が見えなかったりセクターによってはタイムが落ちたりしましたが、完走してトータルで振り返ってみるとこれでよかったと思ってます。2018年のときは区間タイムを意識しすぎて転倒もしましたし、それではダメなんだと気づかされたんです。ひとつのことを意識しすぎると全体がダメになってしまうんですね」(山中選手)

最終的にはマドセン選手に先行されたが、山中選手は1時間03分41秒529、平均速度109.055mph(175.5km/h)でスーパーツインTTレース1を終えた。

明日はサイドカーTTレース2、スーパースポーツTTレース2が行われる。もちろん山中選手はスーパースポーツTTに出場予定で、身体もマシンも万全の体制を整えている。

スーパーツインTTで勝利したマイケル・ダンロップ選手(パットン SR-1)は、TT勝利数を24まで延ばし、現役選手最多となる記録を打ち立てた。
スーパーツインTT、2周目。46番のマドセン選手と抜きつ抜かれつのレースを繰り広げる山中正之選手(47番 カワサキ ER-6f)。

■マウンテン区間のガスリーズメモリアルには、2013年のマン島TTで亡くなった松下ヨシナリ選手を偲ぶベンチがある。一般客は40分近く歩かなければ辿り着けない場所なのだが、レース中はいつも数人の観戦客がやってくる。

■おまけのオフショット。マン島TTの写真といえば、白く塗られた石垣を思い浮かべる人も多いだろう。本日のレース写真もそこで撮影したものだが、この石垣の正体は橋の欄干だ。ここには小さな川が流れていて、道路(コース)の下を通っている。

■おまけのおまけ。橋の下はトンネル状になっていて、人が通行できるほどの大きさがある。そのため観戦客やカメラマンはこのトンネルを使ってコースを横断して撮影をしている。ただし地面はとても滑りやすく、靴やズボンに赤土がつくとなかなか取れない。

レポート&写真●山下 剛

*6月10日追記:スーパーツインTTの排気量説明が誤っていましたので訂正を行いました。誤:650cc2気筒、正:700cc2気筒。

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