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ホンダ EM1 e:の価格を良く見ると「車両、バッテリー、充電器が個別に値付けされている」
ホンダが、同社として初めてとなる一般ユーザー向け電動スクーター「EM1 e:」を2023年8月に発売する。
多くの人が運転できる原付一種カテゴリー(いわゆる50ccクラス)で設計された電動二輪パーソナルコミューターながら、原付二種(いわゆる125ccクラス)を思わせる余裕の車体サイズは、29万9200円というメーカー希望小売価格を考えても納得できるという印象を持った人も多いではないだろうか。
それとも原付一種としては高価と感じるだろうか。
そんなEM1 e:のメーカー希望小売価格は、じつは車両本体・交換型バッテリー「ホンダモバイルパワーパックe:」、専用充電器「ホンダパワーパックチャージャーe:」を合計したものとなっている。あらためて記すと、それぞれ単品での価格は以下のように設定されている。
- EM1 e:車両本体 メーカー希望小売価格(消費税10%込み)15万6200円
- ホンダモバイルパワーパックe: メーカー希望小売価格(消費税10%込み)8万8000円
- ホンダパワーパックチャージャーe: メーカー希望小売価格(消費税10%込み)5万5000円
ちなみに、ホンダモバイルパワーパックe:という交換型バッテリーについては、将来的には日本の電動二輪車においてデファクトスタンダードになることが確実視されているシステム。だからこそ、上記のように車両とバッテリー関連の価格を別々に設定しておく必要があるのだろう。
もちろん初めてEM1 e:を購入する場合は、車体・バッテリー・充電器のフルセットが必要となる。しかし、ひとつの家庭において2台目のEM1 e:を買うとなればどうだろうか。



一家で複数台を買うときのシステム構成を考える
以下、とりあえず補助金などを無視してシミュレーションしてみよう。
ホンダの発表によれば、ホンダモバイルパワーパックe:をゼロから満充電するまでに要する時間は6時間ということだから、うまく充電スケジュールを調整すれば充電器は1個あれば事足りるはずだ。
つまり、すでにEM1 e:を所有している環境においてもう1台増車する場合には車両とバッテリーだけを購入すればいい。その場合のメーカー希望小売価格の合計は24万4200円となる。バッテリー交換式の電動二輪車というのは増車するほどにオトクになっていくモビリティともいえる。
さらに台数を増やしていった場合には、充電待ちの時間を最小限とするような利便性を高めるためのシステム構成も考えられる。
少々極端なケースとなるかもしれないが、車体が4台あったとして、バッテリーを5個用意するという構成にすると、常に1個のバッテリーは充電器にセットされているという運用が可能になる。電欠寸前で帰宅してすぐ出かけるようなようシチュエーションでも、充電済みのバッテリーを使えばすぐに走りだせるわけで、ノンストレスで電動二輪車を利用できる。
もちろん同じことは1台のEM1 e:に対して2個のバッテリーを用意しても可能だが、その場合は、単純に予備バッテリーのだけコストが上がってしまい、1台あたりのコストが38万7200円となってしまうので割高と感じてしまうのも事実。
しかし、前述したように車両4台+バッテリー5個+充電器1台のシステム構成であれば合計金額は111万9800円となり、利便性を高めつつ1台当たりのコストは27万9950円と抑えられる。
上記はあくまで一例といえるが、このようにユーザーの環境に合わせてシステムを柔軟に構成できるということを前提に、環境にマッチした車体やバッテリー、充電器の買い方を考えていくのが、これからの電動二輪車の買い方といえるかもしれない。
交換バッテリーのサブスクが拡大することに期待
なお、上記のように充電済みのバッテリーに交換することで充電待ちのストレスなく電動二輪車を活用するための仕組みとバッテリー交換ステーションを街のあちこちに用意するというアイデアは昔からある。
そうなるとバッテリーは購入するものではなく、サブスクリプション的に月極の利用料を払って、交換ステーションを利用するというものになってくるだろう。
現時点では、ホンダがバッテリーサブスクのビジネスを展開する予定はないということなので、以下は妄想として理解してほしいが、もしバッテリー交換ステーションが、Honda二輪EV取扱店のすべてに設置されるようになれば車体の購入時からバッテリーのサブスクが利用できるのでバッテリーや充電器を購入する必要はなくなる。
バッテリーサブスクの月額がいくらになるかを想像するのは難しいが、少なくとも電動二輪コミューターを所有するのに必要なコストは車両本体だけとなるため、EM1 e:であれば15万6200円で済むことになる。これであればエンジン車の原付一種スクーターを買うよりもローコストといえるし、電動アシスト自転車を比べたときのコストパフォーマンスも高いと感じるのではないだろうか。
EM1 e:の発表に合わせて「30万円の原付一種なんて高すぎて誰も買わない」といった否定的な発言を見かけることもある。しかしながら、バッテリーサブスク的ビジネスと合わせた電動モビリティのエコシステムが生まれることを期待すれば、電動コミューターというのは非常にリーズナブルな移動手段と捉えることができるのだ。


■バッテリーの共通仕様化を進める国内二輪メーカー4社。現在のところホンダモバイルパワーパックe:を活用する方向で、それを用いたバッテリーシェアリングサービスをENEOSグループの「Gachaco」(ガチャコ)が展開している。現在は法人向けサービス限定となっているが、個人ユースのサービスもサービス内容、利用料金など含め検討中だという。写真はGachacoの東京都世田谷区にある駒沢2丁目ステーション(ENEOSマルチモビリティステーション)。
レポート●山本晋也 写真●ホンダ/Gachaco 編集&キャプション●上野茂岐



























