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「自分のヘルメットはぴったり」と思っていても、じつはジャストフィットしていない可能性もある! そこで注目したいのがSHOEIのP.F.S.(Personal Fitting System)。当記事では、日々SHOEIヘルメットを愛用する人気YouTuber「ゆとりfam.」のいよさんが、P.F.S.に挑戦。本当にフィットしたヘルメットはどこまで快適なのか!?
真のジャストフィットを!
一般的に、ヘルメットのサイズは「はち」の周長を基準とする数値で設定されているが、人間の頭形は個人差が非常に大きく、いくら周長が合っていても、理想的なフィットを得られることはほとんどない。この点に着目して、2011年から独自のヘルメット内装調整サービスのパーソナルフィッティングシステム(以下P.F.S.)を展開するのがSHOEIだ。
同社が取得した膨大な計測データによると、例えばはち周りが56〜58cmの人はMサイズとされているが、頭部の前後長と左右幅がMサイズの適正数値内に収まっている確率は約46%、サイズ調整なしでも問題のない頭形の確率は6〜7%しかないという。
頭の幅が基準値より広いと、頭の左右部でヘルメットの重量を支えることになり、その部分が圧迫されて痛みを感じることがある。
一方で前後のフィッティングが弱いので、風圧が加わると側頭部を中心にヘルメットが回転するようにブレる傾向がある。逆に前後長が既定値より長いと、おでこなどが圧迫されて痛くなりやすい。
また、耳から頭頂部までの高さも重要で、この距離が基準値から外れていても、同じように部分的な圧迫を生みやすいのだ。
そこでP.F.S.では、ユーザーの頭形を細かく計測し、蓄積されたデータを基準にベースとなるサイズを判定。
センターパッド裏側にサイズ調整用パッドを追加して、装着時に隙間となる部分を埋めることで、頭部全体が均等にフィットするよう調整を加える。
今回、ゆとりfam.いよさんがP.F.S.を体験。
未調整状態でも「違和感ないような……」と話していたが、調整後に再び走行したところ、快適性向上だけでなく運転のしやすさに驚いていた。
「ヘルメットなんて多少はズレて当たり前だと思っていたのですが、調整後は後方の目視確認時におでこ付近のズレがなくなり、それだけでこんなにも運転しやすいのかと感動。頭とヘルメットが一体化した気分でした。ヘルメットって自分の感覚だけで選びがちだし、適正なフィッティングを知らないまま過ごしている人も多いはず。でも、P.F.S.でまさにオーダーメイドな内装を手に入れたら、運転の質も上がります!」
SHOEIのP.F.S.は2022年10月から有料化されたが(目安金額は新規購入時3300円、持ち込み時は6600円)、技術講習を受けた専任スタッフが在籍するSHOEIテクニカルショップは近年増加して現在は約90店舗に。近隣の対応店舗で、ぜひジャストフィットの快感と痛くならないかぶり心地を手に入れてほしい!



P.F.S.に使われる計測器具はSHOEIが独自に開発!!
頭部形状計測用の器具や計測システム全体で特許を取得。頭部の前後幅と左右幅、耳の付け根から頭頂部までの高さが測定できる。P.F.S.を実施する全店舗がこの器具を所持している。


頭部の周長だけでなく、横幅、前後長、耳の付け根から頭頂部までの高さも大切!!
ヘルメットは基本的にはち周りの周長によるサイズ設定になっている。これは帽子に由来するもの。しかし帽子とは違ってヘルメットは変形しないので、周長だけ合わせてもジャストフィットの可能性は低い。
前頭部は眉毛の上側1〜2cm、後頭部は頭蓋骨がもっとも張り出した部分、横は耳の付け根から上側2cmが計測基準。これらを結んで周長も図るが、サイズ判定には影響しない。
何度も調整し、真のジャストフィットを追求
硬度の異なるウレタンパッドを追加
計測した頭部形状を基に、センターパッド裏側の各部にパッドを追加。硬度の異なるパッドを併用することで、装着時のフィット感を高める。なおチークパッドについては、好みに応じてオプションパーツにより厚みを変更できる。




見た目からも分かるジャストフィット
いよさんがフルフェイスのZ−8を使用してP.F.S.を体験。頭部形状データに基づく第1推奨サイズはSで、それなら前後に少しパッドを追加すればOKという診断だったが、試着してみるとSサイズではキツさを感じた。そこで、サーキット走行など高速域での走行は想定していないこともあり、Mサイズをベースに調整を加えてもらった。頭形に対して大きなサイズなので未調整状態だと深くかぶりすぎていることが眉毛の位置からも明らか。しかし各部にパッドを追加することで、適正な位置とフィット感に!


P.F.S.の調整データは保存され、次回購入時にも活用される

P.F.S.の価格は新規購入時3300円、持ち込み対応は6600円。
※店舗により料金は異なる。また、持ち込み作業を実施してない店舗などもあるため、詳細は全国のSHOEIテクニカルショップへ問い合わせを。
昨年10月新設のSHOEIオフィシャル総合会員サイト「my SHOEI」では、製品登録情報にP.F.S.の調整内容も追加可能。次回購入時にテクニカルショップでも情報が確認できる。
P.F.S.はテクニカルショップのほか、東京&大阪にあるSHOEI Galleryでも実施!
2020年3月に東京、2021年12月には大阪に設立されたSHOEI Galleryでは、現行ヘルメットのフルラインアップやオリジナルグッズなどの展示や販売に加えて、P.F.S.も実施。コロナ禍ということもあり、2022年現在は来店が1時間に1組のWEB予約制となっている。


レポート●田宮 徹 写真●長谷川拓司