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ホンダ CB400SF教習車の知られざる秘密「型式すら異なる専用車両!足まわりのセッティングも違う」

普通のCB400SFとは車両型式から違う「教習車専用仕様」

普通二輪の運転免許を教習所(自動車学校)に通って取得したライダーならば、多くの人が初めてのバイクが「ホンダCB400スーパーフォア」(以下CB400SF)だったのではないだろうか。
CB400SFは、400ccクラスながら4気筒かつフロントがダブルディスクブレーキの贅沢な作りとなっているのが特徴だ。

実際、数年前に大型二輪を教習所で取得したリターンライダーでもある筆者も、メインの教習車はNC750だったが、カリキュラムの一環としてCB400SFに乗ったときは、その乗りやすさ、ブレーキ性能の高さなどに驚いた記憶がある。正直、NC750よりブレーキ性能は明らかに優れていて、急制動の試験だけはCB400SFを使いたいと思ったほどだ。

教習車専用仕様のCB400SF(NC54)。2022年現在販売されているのは2017年12月8日に発売された平成28年排ガス規制対応モデル。
教習車仕様のベース車両となった2017年型CB400SF(NC42)。CB400SFは2017年以降も何度かモデルチェンジをしているが、教習車仕様のベースとしては2022年現在も2017年型(平成28年排ガス規制対応モデル)が使われている。
教習車専用仕様のCB400SF(NC54)と普通のCB400SF(NC42)の主要諸元比較。

そんなCB400SF教習車は、教習所がノーマル車を購入して改造しているわけではない。メーカーであるホンダが、教習車仕様として別途に型式を取って売っている専用車種なのだ。その証拠に、市販されているCB400SFと教習車仕様では車両型式が異なっている。
当記事では、2022年現在販売されている教習車が登場した「2017年型」で、教習車仕様と普通のCB400SFの違いを見ていこう。

詳細はスペック比較をご覧いただきたいが、いわゆる一般ユーザーが購入できるCB400SF(以下ベース車)の車両型式が「NC42」なのに対して、教習車仕様は「NC54」となっているのだ。

なぜ、型式を変える必要があるのだろうか。
前述した大型二輪の教習車として多く使われているNC750の場合は、市販のNC750Sと教習車仕様のNC750Lでは、同じ排気量745ccのエンジンながら教習車仕様の最高出力は27kW(37ps)と、NC750Sの40kW(54ps)と比べて驚くほど抑えられていた。
CB400SFも同様に、エンジン出力そのものに違いがあるというなら納得できるが……。

NC750Lのベース車両、2016年型のNC750S。エンジンは745ccの水冷4ストロークOHC4バルブ並列2気筒。最高出力は54ps/6250rpm、最大トルクは6.9kgm/4750rpm。
大型二輪の教習車として多く使われているNC750L。エンジンはNC750Sと同様の745ccの水冷4ストロークOHC4バルブ並列2気筒だが、最高出力は37ps/5250rpm、最大トルクは5.5kgm/4000rpmとベース車両に比べてかなり抑えられている。

教習車仕様のCB400SF「NC54」はトレール量やタイヤサイズが違う

しかしこれまたスペック比較を見ればわかるように、CB400SFの場合は教習車仕様であっても圧縮比も最高出力も最大トルクも全く同じスペックになっている。教習用に扱いやすいセッティングになっているという話もあるが、最高出力が抑えられるというわけではない。

ではどこが異なるのか?注目すべきはシャシーセッティングである。

スペックを比べていって目が留まるのは「トレール量」が大きく異なることだ。また、タイヤサイズも違う。

いわゆる街で見かけるCB400SFのトレール量は90mmで、教習車仕様は100mm。これだけ異なれば、教習車仕様のハンドリングはセルフステアが強くなっていることは確実だ。
バイクは傾ければ自然にステアリングが切れていく、というのはライダーにとっての常識となっているが、そうした特性をいっそう強くしているのはCB400SF教習車仕様のトレール量セッティングにあるのかもしれない。

タイヤサイズについては前後17インチである点は共通だが、教習車仕様のほうがわずかに細身のタイヤとなっている。このあたりも教習車に求められる特性を追求したホンダらしい生真面目な姿勢がうかがえる。

ベース車に対してシート高が5mmほど低く設定されているのも扱いやすさを考慮したものだろう。車重についてもベース車より軽い198kgに抑えられているが、教習車に必須のスピードやギアポジションを示すランプ類、倒したときにマシンを守るバンパーなどを装着することで、207kgまで増えてしまうという。

普通のCB400SF(NC42)の車体サイズ。寸法面での違いは、教習車仕様は全長・全幅・全高がわずかに大きくなっているほか、シート高も低くなっている。
普通のCCB400SF(NC42)のディメンション図。トレール量は90mm。

カラーリングも微妙に違う

このようにベース車と教習車仕様の外見における違いといえば、教習車ならではの装備ばかりに目が奪われるが、じつはボディカラーも異なっている。教習車仕様に用意されているのは、グリントウェーブブルーメタリック、パールフラッシュイエロー、キャンディーブレイジングレッド(ツートーン)の3色。

一方、ベース車となっているCB400SF(NC42)の2017年型が登場した際、設定されたボディカラーは、ダークネスブラックメタリック、キャンディークロモスフィアレッド、アトモスフィアブルーメタリックの3色。同じレッドであっても、教習車仕様とは名称が異なる別の色となっている。

そのほか、ホイール形状もベース車は10本スポーク、教習車仕様は3本スポークと異なる。また、教習車はパッセンジャーシートにグラブバーを備えず、ベルトとなっている。さらにリアサスペンションのスプリングが教習車仕様は黒、ベース車では赤となっているのも違いだ。こうした部分は、オシャレ的な意味ではスッピンが求められる教習車に合わせた仕様といえるだろう。

ちなみに、お値段は消費税抜きの本体価格で、教習車仕様が83万6000円~86万6000円。ベース車は80万4000円~84万4000円となっている。意外かもしれないが、教習車仕様だからといって安くなっているわけではないのだ。

教習車仕様のCB400SF(NC54)。写真の車体色はキャンディーブレイジングレッドで、教習車仕様のみに設定されたカラーリング。
教習車仕様のCB400SF(NC54)。写真の車体色はパールフラッシュイエローで、2017年型では教習車仕様のみに設定されたカラーリング。
教習車仕様のCB400SF(NC54)。写真の車体色はグリントウェーブブルーメタリック。
普通のCB400SF(NC42)。写真は2017年型で車体色はパールサンビームホワイト。教習車仕様のキャンディーブレイジングレッドと似たカラーリングだが、車体色名は異なる。
普通のCB400SF(NC42)。写真は2017年型で、車体色はグリントウェーブブルーメタリック。教習車にも同様のカラーリングがある。
普通のCB400SF(NC42)。写真は2017年型で車体色はグラファイトブラック。教習車仕様のCB400SF(NC54)には存在しないカラーリング。

レポート●山本晋也 写真●ホンダ/モーサイ編集部
編集●モーサイ編集部・中牟田歩実

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