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たき火での困りごと
キャンプツーリングでの大きな楽しみである「たき火」。
寒い季節は暖房として、それ以外の季節では調理の熱源として利用できますし、実用でなくてもたき火は野外のテレビと例えられるほど、見ているだけでも飽きないキャンプの醍醐味です。
とはいえ、キャンプでたき火をするときにライダーキャンパーが気をつけなければいけないのが、火の粉などによるライディングウエアへのダメージです。
個人的な話になりますが、筆者は左利きのため、たき火のときは左手に握った火ばさみで薪や炭を追加したり、おき火をいじくっていたりするのですが、炎の近くに手を伸ばすせいか、そのときに着ていたバイクウエアは左腕(そで)のあたりが溶けていたり、穴が空いてしまったものが多いです。さすがに懲りて、ゴアテックス製ウエアを着ているときはたき火はしない! と誓ったこともありました。まあ、火に強い素材の服に着替えるなど解決方法はありますが、荷物を増やしたくないというワガママ気質がジャマをして、たき火のときは火の粉や、炭の爆(は)ぜに気をつけようー、というまったく解決方法にならない気持ちの問題に逃げていたりもします。
でもなぁ……、やはり対策はしたいぞ、荷物にならない何かいいアイテムはないかな? とここ数年考えていたのですが、ついにありました、モンベルの2023年春夏の新製品に!
それが「フエゴ アームカバー」です。
コンパクトなアイテムだけど効果は絶大じゃないか?
フエゴ アームカバーはモンベル独自の難燃性素材「フレアテクト」を使用した製品です。フレアテクトは火の粉を受けても穴が開きづらく、燃え広がりにくい性質を備えています(注 火から完全に身を守るものではありません)。
こういった腕を守る難燃、防炎のアイテムは以前から市場にあります。筆者も使ったことがありますが、難燃、防炎性能は十分でもキャンプでのたき火で使用するとなると使い勝手はいまひとつといったものが多数でした。しかし、この製品はさすがモンベル、わかってらっしゃると口にしたくなってしまうほど、それまで不満に思っていたことに気を配られた作りになっていたのです。
気に入った点のひとつ目は、かなり大きめなサイズに作られていることです。
調理用や溶接用のアームカバーは室内での使用や薄着のときに着用することを想定しているのか、冬の野外で厚着をしているときは服がじゃまをしてうまく装着することができませんでした。けれども、この製品はたっぷり余裕をもった作りで装着はストレスフリーです。
試着時の筆者の服装は高機能インナー+長袖Tシャツ+防風フリース(かなり厚手なもの)+テキスタイル素材のアノラックといったレイヤードでしたが、この上からフエゴ アームカバーを装着しても腕がすんなり通り、二の腕あたりまで引き上げるのもスムーズ。
形状が意図的にルーズフィットにできていることはもちろんですが、モンベルがリリースしているシュラフやテントの収納袋同様にテーパード形状なので、それも厚着時にスムーズに着けられる理由のひとつだといえます。
さらにS 、M、Lの3サイズ展開なので、体格(腕の長さ)に合わせて選ぶことができます。もちろん試着する際は実際にキャンプする服装、レイヤードで試してみることをオススメします。
もうひとつ、気に入っている点があります。
手首側と二の腕側にくる部分はゴムが入っていて、腕を動かしてもアームカバーのズレが少ないのがいいです。二の腕側のゴムは調整式になっているので、季節が移ろい、着るウエアが変わったとしたとしてもフィット感の調整ができるのはうれしい仕様です。
前述したようにたき火時に筆者はそで、腕のあたりを焦がしたりしてしまうことが多いので、今シーズンのたき火ではフエゴ アームカバーを季節を問わず使おうと考えています。
もちろんこれだけでは少し不安という方にはフエゴ エプロン、フエゴ ブランケット、フエゴ パーカ、フエゴ ワークキャップ、フエゴ ハットなどモンベルにはたき火を安全に楽しめるようフレアテクトを使った製品が充実しているので、それぞれのスタイルに合わせてチョイスするといいでしょう。
ライダー目線でモンベル2023年春夏新製品をピックアップ
レポート●飯田康博 写真●モンベル/飯田康博