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【ホンダ CBX】1978〜1982ミニヒストリー ・ホンダ初の並列6気筒公道モデルの軌跡

輸出向けモデルながら、鈴鹿サーキットで行われた媒体向け試乗会

モーターサイクリスト誌でも実車を購入しロングランテストが連載された。写真は当時の編集部員だった大光明(おおみや)氏
CBX(1978):気筒当たり4バルブの6気筒24バルブを誇らしげにアピールするタンク上のデカール

CBXの発表は’77年12月。輸出専用車として’78年からデリバリーが開始されたが、同時期に開発されたCB900Fよりひと足早い登場だった。2輪の6気筒車と言えば’60年代の世界GPを駆けたRC166/174があり、CBXはこれと同様な型式のバックボーンフレームに1047cc空冷6気筒を搭載、ホンダならではのスーパーマシン登場を印象づけた。それ以前に市販化された並列6気筒車には、伊ベネリの750Sei(’72年秋登場。OHC2バルブで後に900に発展)があったが、日本への上陸はわずかであった。

ホンダRC166:1966年に世界GP250ccクラス制覇をねらい開発された並列6気筒エンジンで、最高出力60ps以上を1万8000rpmで発揮する伝説的レーシングマシン
ホンダRC166:1966年の世界GPは同車を駆ったマイク・ヘイルウッドが出場10戦を全勝してタイトルを獲得。なおRC174はRC166をベースに排気量を297ccまで拡大。1967年の350ccクラスで全8戦中6戦優勝でタイトル獲得したマシン。
イタリア・ベネリがリリースした750Sei(1973年モデル)。Seiとはイタリア語で「6」の意

CBXは1000ccクラスの排気量と105psの最高出力を与えられたホンダ渾身のフラッグシップであり、意欲作であった。輸出向けであるにもかかわらず媒体向け試乗会(’78年3月28〜29日)が鈴鹿サーキットで行われ、モーターサイクリスト誌78年12月号のデータでは最高速度225.0km/h、ゼロヨン11秒89を記録。

当初から単体重量104kgの巨大な心臓部とバックボーンフレームの組み合わせからコーナリング時における安定性不足が指摘されたものの、「一般道レベルなら大きな問題はなし、ハンドリングはむしろ軽快でバンク角も意外に深い」との評価を得た。

そして、’78年の第一回鈴鹿8時間耐久レースでは、ロン・ピアス×藤本泰東ペアが11位完走と健闘し注目を集めた。また当時の円高の追い風もあり、相当数のCBXが逆輸入車として日本に上陸。モーターサイクリスト誌でも長期試乗車として’78年9月に購入していた。

’78年の第1回鈴鹿8時間耐久レースに参戦したCBX改レーサーは11位で完走し、注目を集めた

しかしスポーツ性において比較するなら、やや遅れて発売された並列4気筒のCB900Fがより優れていたのは明白であった。並列6気筒のCBXは独自のメカニズムとフィーリングが持ち味と言え、’81年型で大型のカウルやエア式モノショックを備えたスポーツツアラーへの方向転換を行った。

またこの時期技術の進歩はめざましく、ホンダは’82年より水冷V4を主軸に据えた機種展開を開始。このためCBXは同年で販売を終了した。センセーショナルなデビューで幕を開けたCBXだったが、その生涯は’78〜82年のわずかに5シーズンと短命であった。

CBXからわずかに遅れ、1978年に発表された海外向けモデルのCB900F。空冷並列4気筒901ccエンジンは最高出力95ps/9000rpmを発揮し、乾燥重量は232kg。国内向けにはCB750Fが販売され人気を集めた

ホンダCBX(1978〜1982)約5年の変遷

’78~79年 CBX Z

CBX Z:ペルセウスシルバー
CBX Z:キャンディグローリーレッド

初期型は’78年にデリバリーを開始、同年には日本にも相当数が上陸。アメリカ仕様のパーツリストでは’79年型と表記され、年度記号はZ、車台打刻はCB1~で始まる。仕向け地はアメリカ、カナダ、南ア、輸出一般キロ表示、輸出一般マイル表示、英国、欧州一般、仏、独、豪州があった。アメリカ、カナダ、南ア仕様はハンドルバーが高く幅広で、ステップもやや前方。最高出力は103bhpと105psの表記の違いがあるがほぼ同一である。車体色はペルセウスシルバーとキャンディグローリーレッドの2色。機種コード422。


’80年 CBX A

CBX A:キャンディグローリーレッド

年度記号はA、ホイールが裏コムスターとなり初期型との判別は容易。テールカウルにキーロックできるフタ付きの小物入れが設けられ、スイングアームピボットがブッシュからニードルベアリング支持となり、後輪のリム幅も2.15→2.50に。Fフォークはエア併用式となり内部にもスライドメタルを追加、リヤショックはFVQダンパーが装備された。そのほか、キャブレター内部構造とカムシャフトが変更され、最高出力はフルパワー仕様100psとややダウンされた。車体色は北米がブラックとキャンディグローリーレッド、欧州はペルセウスシルバーも存在。機種コードは469。車台打刻はSC03~に変更。


’81年 CBX B/’82年 CBX C

CBX B:マグナムシルバーメタリック
CBX C:パールアルテアホワイト

ツーリングに適した大型カウルが備えられた後期型で、’81年型の年度記号はB、車体色はマグナムシルバーメタリックのみ。’82年型の年度記号はCで、車体色はパールアルテアホワイトのみでテールカウルにグラブバーが追加された。後期型に共通の特徴はリヤがプロリンク式となり、エアサス(ダンパーは3段階調整可)を採用。フロントフォークを35→39mmに大径化されたほか、前輪にベンチレーテッドディスクと2ポットキャリパーが備えられた。外装も一新、脱着式サイドバッグは仕向け地によりオプション。機種コードはともにMA2、車台打刻はSC06~だ。


CBXの試作段階のスケッチでは「CX1000」の仮車名となっていたが、この段階から前傾エンジン、ダイヤモンドフレームの構成は決まっていたように思える

カタロググラフィティ

カタロググラフィティ・1
カタロググラフィティ・2
カタロググラフィティ・3
カタロググラフィティ・4
カタロググラフィティ・5
カタロググラフィティ・6
カタロググラフィティ・7

【ホンダCBX(1978) 主要諸元】

■エンジン 空冷4サイクル並列6気筒DOHC4バルブ ボア・ストローク64.5×53.4mm 総排気量1047cc 圧縮比9.3 気化器VB61A(28mm径) 点火方式トランジスタ 始動方式セル
■性能 最高出力105ps/9000rpm 最大トルク8.6kgm/8000rpm 
■変速機 5段リターン 変速比1速2.438 2速1.750 3速1.391 4速1.200 5速1.037 一次減速比2.269 二次減速比2.200
■寸法・重量 全長2260 全幅780 全高1145 軸距1485 最低地上高150 シート高810(各mm) キャスター27.5°  トレール120mm タイヤサイズF3.50-V19 R4.25-V18 乾燥重量247kg
■容量 燃料タンク20L オイル5.5L
■輸出車(1978年型欧州一般仕様)

文●高野英治  まとめ●モーサイ編集部  写真●八重洲出版アーカイブ

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